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急げ!シーズン終了間際!青森県生まれのハート型さくらんぼ〈ジュノハート〉

  • 2022年7月4日
  • コロカル
20年以上かけて生まれた、念願の新品種

先日初競りが行われ、1粒4万円と過去最高値の評価を得たさくらんぼ〈ジュノハート〉は、20年以上の歳月をかけて開発された、青森県生まれのオリジナル品種。2020年に全国で販売をスタートし、徐々にその人気が高まっています。

その名の通り、ハートの形をしたかわいらしい外観と、500円玉より大きな大玉であること、歯応えのあるしっかりとした果肉が特徴で、山形生まれの甘味が強い〈紅秀峰〉と、果皮の色が濃く光沢のあるカナダ生まれの〈サミット〉を掛け合わせて生まれました。

市場出荷前の〈ジュノハート〉。〈佐藤錦〉が、直径22mm〜25mm以上で大玉と言われている中、〈ジュノハート〉は、3L(直径28mm以上)が主体。ここからさらに選別され、4L(直径31mm)以上で、色など一定の基準を満たしたものは、ジュノハートの最高峰〈青森ハートビート〉として出荷されます。

市場出荷前の〈ジュノハート〉。〈佐藤錦〉が、直径22ミリ〜25ミリ以上で大玉と言われているなか、〈ジュノハート〉は、3L(直径28ミリ以上)が主体。ここからさらに選別され、4L(直径31ミリ)以上で、色など一定の基準を満たしたものは、ジュノハートの最高峰〈青森ハートビート〉として出荷されます。

りんごの生産量日本一で知られる青森県ですが、県南東部に位置する南部町は、りんごをはじめ、桃、洋梨、あんずなど、古くから果樹栽培が盛んな地域で、「フルーツ王国」と呼ばれています。

なかでもさくらんぼは、りんごの防風林として栽培されてきた歴史をもち、のちに観光農園化され名産となった、南部町を代表する農作物。摘果や葉摘み、剪定など、栽培には手間がかかりますが、りんご栽培で培われた技術と、昼夜の寒暖差が大きい気候などから質の高い果樹が育まれてきました。

果物狩りができる観光農園も多い南部町。新鮮な野菜や果物の直売所〈名川チェリーセンター〉はさくらんぼが看板の目印になっています。

果物狩りができる観光農園も多い南部町。新鮮な野菜や果物の直売所〈名川チェリーセンター〉はさくらんぼが看板の目印になっています。

シーズンには、〈名川チェリーセンター〉に採りたてのさくらんぼが詰まった箱が、所狭しに並びます。

シーズンには、〈名川チェリーセンター〉に採りたてのさくらんぼが詰まった箱が、所狭しに並びます。

しかしながら、これまでは県独自の品種がなく、さくらんぼのイメージがあまりなかった青森県。「ブランド力のある、世界で戦える日本一の品種を開発しよう」と、青森県の〈りんご研究所 県南果樹部〉が1996年に品種開発を開始。以来約150通りの交配に挑戦し、〈ジュノハート〉は誕生しました。

〈りんご研究所 県南果樹部〉に残る〈ジュノハート〉の原木は24歳。品種の交配は花で行われ、〈紅秀峰〉のめしべに、〈サミット〉の花粉を付け受粉、育った果実の中にある種を植えるところからスタートしました。同じ品種を交配しても、生まれる種の性質はひとつひとつ違うため、どんな品種も原木は1本だけ。〈ジュノハート〉の原木は、2005年に発生した大規模な山火事を免れ生き残ったことから、「幸運のさくらんぼ」と呼ばれるようになり、家庭の幸福を司るローマ神話の女神「Juno」が品種名につけられました。

〈りんご研究所 県南果樹部〉に残る〈ジュノハート〉の原木は24歳。品種の交配は花で行われ、〈紅秀峰〉のめしべに、〈サミット〉の花粉を付け受粉、育った果実の中にある種を植えるところからスタートしました。同じ品種を交配しても、生まれる種の性質はひとつひとつ違うため、どんな品種も原木は1本だけ。〈ジュノハート〉の原木は、2005年に発生した大規模な山火事を免れ生き残ったことから、「幸運のさくらんぼ」と呼ばれるようになり、家庭の幸福を司るローマ神話の女神「Juno」が品種名につけられました。

〈ジュノハート〉の誕生は、さくらんぼ農家にとっても念願。生産者のひとりである山本又一さんも、「ずっと青森県独自の品種がほしかった」と、話します。

〈南部錦〉〈絢のひとみ〉〈佐藤錦〉など、さまざまなさくらんぼを育成している山本又一さん。

〈南部錦〉〈絢のひとみ〉〈佐藤錦〉など、さまざまなさくらんぼを育成している山本又一さん。

又一さんは、もともとはりんご農家でしたが、約30年前、りんごの価格が低迷した時期に思案し、栽培の主をさくらんぼに転換します。

「37年前に、同じ地域の農家さんたちが、りんごの防風林だったさくらんぼの木をはじめて観光農園化しました。そうしたら国道が混み合うくらいお客さんが集まったんです。あの時、観光で畑が盛り上がるということを農家さんたちも生まれてはじめて体感したのではないでしょうか。りんごを買いに南部町には来ないけれど、さくらんぼのためにはお客さんが足を運んでくれる。その光景を思い出して、さくらんぼ栽培に踏み切りました」

以来30年、山形にも研修に赴き、南部町=さくらんぼ産地としての価値向上に貢献してきました。

100年前に防風林として植えられた〈南部錦〉の木が、以前はりんご畑だったという園地の脇に残っています。現在はさくらんぼが6割、他に桃、プラム、「八助梅」と呼ばれるあんず、りんごも手掛けています。

100年前に防風林として植えられた〈南部錦〉の木が、以前はりんご畑だったという園地の脇に残っています。現在はさくらんぼが6割、他に桃、プラム、「八助梅」と呼ばれるあんず、りんごも手がけています。

世界に通用するさくらんぼを目指して

〈ジュノハート〉として出荷するためには、世界を見据えて設定された厳格な基準があります。

「大玉な分、雨に弱く割れやすいですし、実が大きくなるスピードや、色付くスピードも他の品種と比べて早いため、収穫の見極めが難しいです。さらに、大きさの基準を満たしていても、色が一部満たされていないと規格外。風の擦り傷もダメ。育成は大変です。でも、日本一になるにはこれくらい厳しくないとね」と又一さん。

大変だけれど、期待も大きい。これからの展開にワクワクしている様子も感じられました。

統一した規格で出荷できるよう、農家に共有されている収穫適期判別カラーチャート。3L、4L、5Lの大きさが開いた穴があり、大きさの判断に使用されています。熟成度合いに伴う色味も指数が3〜6まであり、4〜5が適正とされています。

統一した規格で出荷できるよう、農家に共有されている収穫適期判別カラーチャート。3L、4L、5Lの大きさが開いた穴があり、大きさの判断に使用されています。熟成度合いに伴う色味も指数が3〜6まであり、4〜5が適正とされています。

現在も主力の〈佐藤錦〉。収穫時に見極め、選果機、さらに箱詰めの際と何度もチェックを行い、贈答用の果実を選び抜いています。写真は選果機で選別する様子。〈ジュノハート〉は厳格な基準をクリアするために機械は通さず、選果もすべて手作業で行います。

現在も主力の〈佐藤錦〉。収穫時に見極め、選果機、さらに箱詰めの際と何度もチェックを行い、贈答用の果実を選び抜いています。写真は選果機で選別する様子。〈ジュノハート〉は厳格な基準をクリアするために機械は通さず、選果もすべて手作業で行います。

「収穫して2、3日置くと、ふわっと桃の香りがするんですよ。さくらんぼ自体は香りがないので、こんな品種は〈ジュノハート〉だけだと思います」とうれしそうに話す又一さん。

育てる〈ジュノハート〉は現在100本。いずれは収穫体験もできるようにしたいと考えているのだとか。

〈南部錦〉〈絢のひとみ〉〈佐藤錦〉など、さまざまなさくらんぼを育成している山本又一さん。

米糠や魚粉、豚糞など混ぜた有機肥料を使用し、摘果や葉摘みを2回に分けて行うなど、丁寧な栽培で知られる又一さんは、「ひと粒ひと粒にかける時間がとても多いと思います」と、手間隙を惜しみません。だからこそ、えぐみがない、美しい色や形のさくらんぼが育くまれています。

従来のさくらんぼとは違う、新しい果実を食べているような印象も受ける〈ジュノハート〉。例年は7月中旬まで流通していましたが、温暖の今年はおそらく7月上旬まで。贈答品は、〈青森ハートビート〉が2粒入りで1080円〜。〈ジュノハート〉が15粒入りで6000円〜。人気のため、すでに受付を終了しているものもありますが、一部百貨店などで販売されているので気になった方は早めに問い合わせをしてみてください。

スイーツで味わう〈ジュノハート〉

贈答品には不向き。けれども形も味も歯応えも〈ジュノハート〉。そんな果実はスイーツに活用され、青森県内のパティスリーなどで商品化されています。

八戸の洋菓子店〈ル・スゥブラン〉で提供されているのは〈ジュノハートのサヴァラン〉(700円)。グリオットチェリーとダークチェリーのシロップが染み込んだサヴァラン生地、さくらんぼゼリー、生クリームの層の上に、ハート型の7つの〈ジュノハート〉が贅沢に並べられている、さくらんぼづくしの逸品です。

サヴァラン生地の層の中には、ブリュレのような食感のクレムゥが隠れています。中央の球体はさくらんぼソース、スポイトの中に入るのはさくらんぼの蒸留酒キルシュ。生クリームと、ソースと、サヴァラン生地と、ゼリーと……さらにキルシュを加えて、と、どれと合わせても〈ジュノハート〉の甘みや食感が引き立ち、7つの果実を違う味わいで楽しめます。

サヴァラン生地の層の中には、ブリュレのような食感のクレムゥが隠れています。中央の球体はさくらんぼソース、スポイトの中に入るのはさくらんぼの蒸留酒キルシュ。生クリームと、ソースと、サヴァラン生地と、ゼリーと……さらにキルシュを加えて、と、どれと合わせても〈ジュノハート〉の甘みや食感が引き立ち、7つの果実を違う味わいで楽しめます。

「〈ジュノハート〉の、すももとさくらんぼの間のような不思議な食感や、きれいな形を生かしたいと思って考案しました。お客様からの問い合わせも多いので、年間を通して販売できるようになるとより地域活性にもつながりますね」とオーナーシェフの蛯名啓悦さんは話します。

旬は本当に短いので、〈ジュノハートのサヴァラン〉の発売も約10日間の期間限定。持ち帰りもできますが、カフェスペースでいただくのがおすすめです。

information

ジュノハート

Web:ジュノハート

information

ル・スゥブラン

住所:青森県八戸市類家4-18-13

電話番号:0178-44-0094

営業時間:10:00〜19:00 (2022年8月3日より10:00〜18:00)

定休日:月・火曜日(火曜日不定営業あり) ※その他臨時休業の場合あり。ホームページで告知されます

Web:ル・スゥブラン

*価格はすべて税込です。

writer profile

Haruna Sato

佐藤春菜

さとう・はるな●北海道出身。国内外の旅行ガイドブックを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より夫の仕事で拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。暮らしを豊かにしてくれる、旅やものづくりについて勉強の日々です。

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