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米づくり4年目の稲刈り! 手刈りと天日干し、今年はうまくいく?

  • 2021年10月23日
  • コロカル
手刈りは大変だけど、楽しい!

伊豆下田に移住してから、自分たちが食べるお米をつくり始めて4年目の津留崎さん一家。今年も稲刈りの季節がやってきました。手植え、手刈り、天日干しがすべてできたのは1年目だけ。今年は手植えはできましたが、手刈りと天日干しは果たしてうまくいったのでしょうか…?

やってきました4回目の稲刈り!

先日10月9日にわが家の田んぼの稲刈りをしました。2017年に下田に移住し、その翌年18年に米づくりを始めたので、4回目の稲刈りです。

稲穂

稲刈り直前の田んぼの様子。しっかり実ってくれました。

畦の草刈りをする妻

稲刈りを数日後に控えて畦の草刈りをする妻。草刈り機の扱いも手馴れた感じになりました。写真右側、お隣の田んぼはひと足先に天日干しを始めています。

わが家の田んぼは自家消費用、手伝ってくれた友人たちに分ける米をつくる一反弱の小さい田んぼなので、手植え手刈り、そして天日干しにこだわっています。

この天日干しですが、米の産地では効率的な機械乾燥にかけるのであまり行われていません。でも、自給用の米づくりの田んぼが多い地域や機械の入りにくい中山間地ではいまでも行われていて、伊豆はまさにそんな地域。わが家の田んぼ周辺では天日干しが当たり前に行われています。

では、この天日干しと機械乾燥は効率だけが違うのかというと、それだけではありません。天日に干すことでアミノ酸と糖の含量が高くなる。籾を下にして干すことで、稲藁に残っている養分が籾に落ちていき、旨みと栄養分も増すといわれています。

とはいっても、手植え、手刈り、天日干しが最後までできたのは最初の年だけです。

1年目は天候に恵まれ、手植え手刈り天日干しの三拍子が見事にそろいました。

2年目は、全国に甚大な被害をもらたした台風19号が稲刈りの直前に接近。悩みに悩んだ末、手刈り天日干しをあきらめて急遽機械で刈り、そのまま機械乾燥としました。

3年目の昨年は、稲刈りを予定していた週末に台風直撃……ということで平日に日程変更。参加表明をしてくれていた友人たちも急な日程変更で都合がつかず、また、娘や娘の友だちも学校があるので来れず。人数的に手刈りでは到底終わらなそうだということで、機械を借りて刈りました。

でも、せめて天日干しはしたいと、稲架(はさ・はざ)を組んで天日干しをしていたのですが、田んぼにイノシシが入ってしまい、干してある稲を片っ端から食べ始めました。このままにしていたら、イノシシの餌を一生懸命育てたことになってしまいそうだということで急遽撤収。結局は、天日では乾ききらなかったので、残りは機械で乾燥しました。

「ハーベスタ」という機械で脱穀

昨年、急遽天日干しを取りやめた際には、お隣の田んぼの方に 「ハーベスタ」という機械をお借りして脱穀。皆様にお世話になりっぱなしです……。

稲刈り前の段取りで悩ましいことが……

で、今年はどうなるか? 期待と不安を胸に天気予報とにらめっこ。どうやら天気は大丈夫そうなので予定どおり土曜日開催ができそうです。その後の天気も安定しているし、一時期よりはイノシシもおとなしい。これは手刈りして、乾くまで天日干しできちゃうのではないか? 1年目以来の手刈り天日干しをすべく、段取りを進めました。

その段取りで悩ましかったことがふたつ。

まず、ひとつが、稲架掛けの竹です。1年目の稲刈りの前に、竹を山から伐り出し、その竹で稲架を組み、天日干しをしました。数年は使えるとは聞いていたその竹ですが、状態を確認したところ、何割かがだいぶ傷んでいる。

竹伐採の様子

1年目の竹伐採。このときは全部(長さにして400メートルほど)を揃えなければいけなかったので、本数がかなり多くかなり大変でした。今回は何割かなので、そこまでの作業ではない。

ということで「稲刈りまでに、また竹を伐りに行かなければ」と、ここしばらく頭の片隅でずっと思っていたのですが、仕事やら自宅リノベやらで手一杯でなんとなく後回しに。

やっと重い腰をあげたのが稲刈り数日前のこと。前回、伐らせてもらった竹林の所有者に竹を伐る了承をもらって、どれくらい竹を伐るか? 検討するために田んぼの奥にストックしてある竹を確認しに行きました。その竹林は田んぼからは車で20分以上もあるので、伐採したらトラックで運ぶ段取りです。

竹を確認しつつ、隣の田んぼの方とそんな状況を話していると、「そんな遠くから持ってくるんじゃなくて、そこの竹伐ったらいいじゃないか、地主さんに聞いてやるよ。逆に喜ぶよ」と、すぐそこの竹林を指さしながら、ありがたいお言葉をかけていただきました。

そして、許可を得て、田んぼから徒歩1分の竹林の竹を伐採できることになったのです。

というこで、稲刈り前日に近くの竹林で竹を伐って、田んぼに運ぶという、何ともギリギリな段取りで準備を進めました。そして、何本か伐って、田んぼまで運んでいると辺りが暗くなり始める。伐ったのがまだ残っているし、まだ足らなそう……。我ながら段取りの悪さに情けなくなるけど、この近さなので当日運ぶのでもよいかと、とりあえず終わらせました。

田んぼ近くの竹林

田んぼ近くの竹林の竹を伐って田んぼに運びました。多くの地方で放置竹林が問題となっています。稲架もそうですが、以前はさまざにま使われていた竹の使用用途がなくなってきていることがその原因なのでしょう。こうして竹を有効利用することが、放置竹林を拡げないことにもつながるともいえます。

伐りたての竹

伐りたての竹、キレイな色です。

そして、もうひとつのお悩みが、通常、稲刈りの頃には田んぼの水を抜いてぬかるみを取るのですが、なかなか水が抜けてくれないことです。

水をしっかり抜くためには、田んぼに溝を掘ります。その作業を何度かやったのですが、いよいよ稲刈りという段階になっても、どうにも一部分のグズグズが直らない。

ということで、こちらもギリギリの段取りですが、前々日、前日に水が抜けきらない箇所に溝を掘り、水の抜け道をつくってあげる作業をしました。

暗い中、溝掘り作

前日は暗くなるまで溝掘り作業。多くの人が都合をつけて集まってくれるのに、ぬかるんでて作業できない! では申し訳なさすぎます。

やってきました稲刈り当日! 参加者、総勢30名以上……!?

ということで、準備不足の感は否めませんが、やってきました稲刈り当日。朝到着してすぐにぬかるみを確認すると、前日の溝掘りの効果があってかなり改善されてました! とりあえずちゃんと作業ができそうな感じでひと安心。

参加を表明してくれているのは大人も子どもも15人ずつくらいの総勢30名以上!

1年目は大人と子ども合わせて15人ほどでした。夕方までかかり、その日のうちに終わらない? と不安になったことを覚えています。しかも、1年目のときは娘とその友だちは小学1年生。もちろん手伝ってくれて助けにはなったのですが、正直、戦力とはいいがたかった。

竹を運ぶ子どもたち

1年目の稲刈りのときの娘と友人たち。一生懸命手伝ってくれるその姿がかわいすぎます。でも、危なっかしいので目を離せません……。

こんな小さかった娘もいまや小学4年生。随分たくましくなりました。そんな娘のクラスメートだけでも6人も参加してくれる予定です。クラスメートのお兄ちゃんやお姉ちゃんも何人か。これは結構な戦力になるのでは? と期待してしまいます。

稲刈りのコツを伝授中

まずは集まってくれた人たちに手順やコツを説明します。我ながら農家のおっちゃんぽいなあ。

稲刈り開始! さあ、果たしてその日のうちに終わらせることができるのか?

大勢で稲刈り開始

5月末に植えたときにはひょろひょろとした苗でした。こんなにたくましくなって……と感慨深い思いを持ちつつ、ザクッザクッと刈ります。

稲を刈る子どもたち

子どもたちも夢中で刈ってます。やっぱり1年生のときとは違う。毎年、同じ作業をすると成長ぶりがよくわかるのです。

刈った株は、その本数にもよりますが6株から10株くらいをひとまとめにして、藁で束ねます。藁はもちろん、昨年のこの田んぼで出た藁。刈るのも手間がかかりますが、束ねるのも手間がかかるので、しばらく刈ったあとは刈る担当と束ねる担当と、なんとなく分かれて作業を進めます。

刈った稲をまとめて置いておく

このように刈った稲をまとめて置いておきます。何度か参加してくれている友人たちは手慣れた手つきです。

稲をどんどん束ねていく

まとめて置いておいたのをどんどん束ねていきます。

刈り終わったスペースに稲架を竹で組み、藁で束ねた稲を掛けていきます。

稲架を竹で組む

稲架に束ねた稲をかける

頼もしすぎる友人たちが、段取りよくどんどん作業を進めてくれます(ありがとうございます!)。そして、やっぱり竹が足りなそうだ、ということで自分は子どもたちと共に竹林へ。

竹の枝打ち

子どもたちに先日、倒しておいた竹の枝打ちをしてもらいました。みんな初めての体験に目がキラキラしてて、こちらまでうれしくなります。

長い竹を運ぶ子どもたち

子どもたちが長〜い竹を運んでくれてます。近くで竹を伐採させてもらえたのは本当に助かりました。

そして、補充された竹も使ってどんどん稲架を組んでいきます。想定よりかなり早いペースです。人数がいるとやっぱり違います。

半分以上の稲が刈られた田んぼ

開始2時間足らずでこんな状態!

地産地消のランチタイム

そして、だんだんと稲架掛けが完了していったその奥に、何やら煙が立ち上り始めました。

田んぼの奥に立ち上る煙

これだけの人数が集まるので、昼ごはんはせっかくならその場でこの田んぼの米を炊いて、その場で食べてもらいたい! ということで、妻が倉庫から引っ張り出してきた羽釜を持参してきていました。

とはいっても、羽釜でうまくご飯を炊ける自信はないし、そもそも稲刈りの段取りでそんな余裕はない気もします。

そこで、近くで田んぼをやっていて、前回の稲刈りでも機械を貸していただいたりと何かとお世話になっている方に羽釜ご飯について相談。結果、「俺が炊いてやる!」とのありがたすぎる申し出をいただき、甘えることになったのです。

羽釜でご飯を炊く

頼りになる先輩や友人がたくさん。本当にありがたいです。

そして、9割方、稲架掛けまで終わった頃に「ご飯が炊けたぞ〜」との声が響く。たくさんカラダを動かしたのでお腹もペコペコ!! ということでランチタイム!

炊き上がったつやつやの白米

おいしそうに炊いていただきました! この田んぼでとれた米を、この田んぼでいただく。究極の地産地消!

カレーをよそう

カレーは飲食店に勤める友人がつくってきてくれました。「こんなおいしいカレー食べたことない!」と興奮した子どもたちがモリモリ食べてくれ、2升炊いたご飯がどんどんなくなっていきます!

つけ合せがずらりと並ぶ

つけ合せの福神漬やらゆで卵やらは妻が用意。

カレーを堪能中

参加者が農道に座ってランチ中

楽しいランチタイム終了! 多くの方は予定がありここで撤収。午後の部は少人数でひっそりと。

稲を束ねる津留崎さん親子

午後の部、スタート! 娘とこうして作業できるってのは何よりも幸せなことです。

稲を束ねる子ども3人

小学4年生、働くなあ……。

そして、最後の束を稲架に掛けます。

最後の束を稲架に掛ける

稲架掛けまで終了! 時刻は14時。9時に開始、ランチタイム1時間として4時間でここまでできました!

稲架掛けが終わった田んぼの風景

横一列にかけられた稲

疲労感は半端ないのですが……みんなで力を合わせて作業する充実感とやりきったという達成感に包まれた幸せな1日でした。

こうべを垂れる稲穂

さあ、これからはしばしイノシシと台風との闘いになるのですが、無事に2週間ほど天日に干して充分に乾燥したら、脱穀して新米の完成となります(雨が続いたら乾きが遅くなるので3週間ほど干します)。

かけられた稲の前で記念撮影する津留崎さん親子

今年の米はどんな出来か?田んぼに稲架掛けされた稲が立ち並ぶ「この列島の原風景」ともいえる景色を眺めながら、新米を待つのもまた楽しい時間です。

効率化が進み、稲を天日干しする田んぼが少なくなっているいま、この景色をつくり出すことに一役買えたことがなんだか誇らしくもなってきます。

機械で刈って、機械で乾燥させたらすぐに新米を食べることができる。でも、ゆっくりじっくり天日で干して米をおいしくしてくれるのを待つ。そんな非効率的な営みから見えてくるものがある、そんな気もしています。

友人たちの協力があって、この景色がある

稲刈り後、1週間がたったある日の夜中。風の音で目覚めてしまうくらい、風が強い。目覚めるなり、稲架が倒れてないかなあなと不安に思っていたら、田んぼの近くに勤める友人から、「倒れてなかったよ」とメッセージが入っていました。

月明かりに照らされた稲架

友人から送られてきた写真。夜、わざわざ車のヘッドライトを当てて確認してくれています。

実は、わが家は田んぼから結構離れてるので、そう頻繁には確認に行けません。なので、田んぼの近くに住む友人や勤める友人たちに、通りすがりでよいので、稲架が倒れてるのを発見したら連絡してもらえないか? とお願いしてるのです。

すると、友人たちが頻繁に様子を見て連絡をくれるようになりました。倒れてはなかったけど、何本か落ちてたから掛けておいたよ、そんなメッセージも時に入ります。田植えから草取り、稲刈りまで散々お世話になったのに、ここにきても引き続きお世話になっているのです。

あらためて、わが家の米づくりは、そして、この景色は自分やわが家だけでできるものでは到底なくて、多くの友人たちの助けがあってできているのだと感謝したくなりました。

友人たち、いろいろと教えてくださる周りの田んぼ先輩たちの協力なくしてはできないことではありますが、米づくりに挑戦して本当によかった。4回目の稲刈りを終えたいま、心からそう感じています。

水分が抜け稲藁の色になった稲

稲刈り後、10日ほどたった稲の様子。刈りたては青みがかっていた茎が、水分が抜けて稲藁の色に。あと少しで天日干しが完了。手伝ってくれた友人たちや子どもたちに早く食べてもらいたい、回数を重ねるごとにその思いが強くなっています。そのためにも、あと少し、気を抜かずにしっかり管理していきたいです。

稲刈り参加者全員で記念撮影

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram

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