こんにちは。「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。
「栗」の季節がやってきました!
甘くてホクホクした栗は、私の大好物。毎年、猪や猿と競争しながら栗拾いをするのを楽しみにしています。栗のお裾分けも活発になる秋の田舎暮らし。今回は、ご近所さんたちから教わった簡単・おいしい「栗の調理法」と「保存方法」を紹介します!
見てください、この宝の山。手に持つとずっしり重く、それだけで幸せな気持ちに。
まずは選別!小さな現場監督。選別に目を光らせます。
栗を拾ってきたら一番にしないといけないこと、それは「選別」。万が一栗の中に虫がいたら、ほかの栗にも穴を開けてしまいます。そんな悲しいことが起きてはいけない。おいしく栗をいただくために、きれいな栗と穴あき栗はすぐに別々に。
こーんな小さな穴でも油断してはいけません。
糖度がアップする保存法とは?選別をしたら、「保存用」と「すぐ調理する用」に分けていきます。
我が家の場合、栗はお正月のおせち料理に使いたいので、皮つきの生の栗は保存用袋に入れてそのまま冷凍します。
栗は水分が少ないため、解凍してもそこまで風味が変わらず普通にお料理できるので便利。一度にたくさんの栗仕事をする時間がない! という方は、一旦冷凍しちゃってもいいかと思います。茹でてから冷凍しても、皮を剥いてから冷凍してもOK。
また、栗は0℃に近い温度で保存することで、でんぷんが糖化して甘みが増します。栗を新聞紙で包み、保存用袋に入れてから、冷蔵庫のチルド室で数日寝かせて調理するのがおすすめです。
ごろごろ転がる栗のイガから実を取り出すあのワクワク、最高です。虫食いのない栗を発見して笑顔のシェアメイト。
穴あき・虫食い栗も、全部いただきます! 栗の状態別メニューさて、選別し、保存して栗の糖度を上げたら、さっそく料理です。我が家では、栗の状態によってさまざまな料理をつくっています。
【穴のあいた虫食い栗】
・モンブラン
・栗のポタージュ
・栗きんとん
・栗ペースト
【きれいな栗】
・栗の素揚げ
・栗の渋皮煮
・栗の甘露煮
・栗と猪肉の角煮
・栗ご飯
・栗おこわ
虫食いのある栗も、食べられないところをカットして、ざっくり皮を剥いて調理。ちょっと渋皮が残ってても気にしない! ひとつひとつを完璧にこなすよりも、ズボラ万歳でおいしく楽しく食べるのが、我が家流。ここ大事なポイントです(笑)。
鬼皮を簡単に剥くための、ひと工夫とは?ちょっと煮て冷やすと鬼皮がスルッと剥けます。
栗ってとにかく食べるまでが時間かかるんですよね。下処理をしている間にモチベーションが下がらないように、簡単に鬼皮が剥ける方法を紹介します。
・沸騰したお湯で5分くらい煮る
・冷水(できれば氷や保冷剤の入っているものがベター)で冷やす
・栗のお尻の部分に包丁をあてて、ベリッと剥く
「ひと晩水に漬ける」というレシピもありますが、そんなに待ってられないー! という人にぴったり。鬼皮がベリッと剥けて気持ちいいですよ。うまくいけば渋皮もペロンと剥がれます。
包丁を使って、栗のお尻側から鬼皮をベリッと剥がします。
ちなみに、剥がした鬼皮を重曹で煮れば、草木染めの染料にもなります。栗の鬼皮や渋皮は少量でも色が濃く出るので、染色にぴったり。私は剥いた鬼皮も冷凍しておいて、気が向いたときに草木染めを楽しんでいます。
〈栗レシピ4選〉 栗を手に入れたら、まずはこれ!!栗の素揚げ。20分くらいでつくれちゃうので、ちょっとしたおやつにぴったり。
最近のイチ押しは「栗の素揚げ」。すぐに食べられるし、手間もかからずおいしい!!
【栗の素揚げのレシピ】
・上記の方法で鬼皮を剥く
・170度くらいの油で10分程度素揚げする
以上! 絶対に揚げたてを食べてください。
栗のホクホクと、渋皮のパリパリ、食感が最高です。新しい栗のおいしさに驚くこと間違いなし。塩をかけて食べれば、ビールにもよく合うおつまみに。蜂蜜や黒蜜をかけて食べれば、甘いスイーツに。
栗料理ならこれが一番好きかも! 重曹水につけると渋みが抜けてもっとおいしい。
ただ、栗によっては渋皮がエグいときがあるので、鬼皮を剥いたあと重曹を入れた水にしばらく浸けてから揚げると、よりおいしくいただけます(揚げる前は、水分をよく切ってください)。
重曹水に浸けるのはちょっと大変という方は、食べるときに渋皮をとって食べてくださいね。素揚げすると、渋皮がスルッと剥けます。
超簡単なのに、まるで高級料理店の味!栗料理ってい〜っぱいあってどれつくろうか迷っちゃうと思うのですが、個人的に好きなのが「栗のポタージュ」。形を気にしなくていいので、虫食いや穴あきの栗でつくれるのがうれしい。
見た目が地味(笑)! でも味は一級です。
【栗のポタージュのレシピ】
・栗10個の渋皮を剥いて、小さめに刻む
・みじん切りにしたニンニク1片と玉ねぎ1個をバターで炒める
・玉ねぎがキツネ色になったら栗を入れて炒め、水を入れて煮る
・ミキサーにかけ、牛乳または豆乳を入れて、塩・胡椒で味を調える
水と牛乳(または豆乳)の分量はお好みで。濃厚な味にしたい場合は、牛乳多めがおすすめです。「あ、豆乳も牛乳もない」ってときは、水だけでつくっても◎。味が薄くなっちゃうとおいしくないので、水は少なめにするのがポイント。
パンにつけても、ご飯と一緒に飲んでもおいしい……!!!
蒸し器でつくる、栗の中華風おこわ味が薄くなっちゃったので、調味料を足して追加で蒸しました。いい感じに仕上がって満足。
おこわ、大好きなんです。産後寝込んでいるときにご近所さんがつくってきてくれた、栗や銀杏がごろごろ入っているおこわがおいしくて、おいしくて、忘れられなくて……自分でもつくってみました!
【栗の中華風おこわのレシピ】
・もち米を浸水する
・水に戻した干ししいたけ&干したけのこ・ごぼう・にんじんなどをごま油で炒め、醤油・酒・みりん・塩で濃いめに味つけする
・もち米の水を切り、フライパンでお米が透明になるまで炒める
・栗、干ししいたけ&干したけのこの戻し汁、先ほど炒めた具材を加えて汁気がなくなるまで炒める
・蒸し器で20〜30分蒸す
甘めが好きな人はお砂糖入れても◎。銀杏を拾ってきたので、次は銀杏も入れたいなあ。彩りもきれいになるはず。
自家製濃厚モンブランのすすめ白玉、栗、生クリーム、きなこ、黒糖、自分の好きなものだけを詰め込んだモンブランパフェ。
おうちでつくる「モンブラン」、最高なのでぜひ紹介させてください。
【モンブランのレシピ】
・栗を甘く煮てペースト状にする
・栗ペーストを生クリーム・牛乳と混ぜ、絞り器で形が絞れるくらいの滑らかさにする
・薄力粉・卵・ベーキングパウダーをミックスして生地をつくり、小さなホットケーキを焼く
・生クリームを泡立てる
・ホットケーキを土台にして、生クリームを乗せ、その上に栗のペーストを乗せて完成!
モンブラン、つくるの難しそうと思っていたけれど、意外と簡単にできてびっくり。
余った栗ペーストでモンブランプリン。蕎麦みたいな見た目だけど、しっかりおいしいです(笑)。
保存用ポリ袋の角にハサミで小さく穴を開けて、そこから栗ペーストをぎゅーっと絞り出せば、市販のモンブランっぽくなります。栗ペーストはあまりかたくなりすぎないほうが加工しやすいかも。栗の甘露煮を乗せると、さらにテンションが上がります。
パフェにしても楽しいし、プリンの上に乗せて食べてもリッチな味わいです。黒蜜やきなこと合わせても。
虫食い栗の活用法虫食い部分を切り落としたために、栗ご飯に入れるには小さい、形が悪い……そんな栗でもペーストにすれば問題なし!
茹でた栗をペーストにして、保存用袋に空気が入らないようにぴったり入れれば、冷凍して長く楽しめます。小さな保存用袋に小分けにして保存するのがベストですが、量が多い場合は、袋の上からお箸などであらかじめ折り目をつけておくと、使うときに必要な分だけ折って取り出し、解凍できるので便利です。
シチューの隠し味にしてみたり、お砂糖を混ぜてパンに塗ってみたり、生クリームと混ぜれば、即席モンブランができちゃいます。解凍してすぐに使えるのも楽ちんでうれしい。
栗仕事はみんなでお喋りしながら。ひとりだとなかなかの重労働。でもたっぷり食べたいから、がんばります。
栗を収穫してから、毎日なにかしら栗料理をつくっては楽しんでいます。冷凍保存もできるけど、このおいしさは今だけ……! みなさんもどこかで栗に出合ったら、ぜひ試してみてくださいね。
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いとしまシェアハウス
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CHIHARU HATAKEYAMA
畠山千春
はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。ブログ:ちはるの森