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料理やお茶、化粧水に虫刺されにも! 庭の植物の意外な活用方法

  • 2021年7月8日
  • コロカル
身近にある植物を生かす、暮らしの知恵

庭の草木が生い茂るこの季節。下田で暮らす津留崎徹花さんは、草刈りしたあとに葉っぱをいろいろなことに使っているそうです。匂いの強烈なドクダミは万能薬に。よもぎやレモングラスなどのハーブはお茶に。身近な植物を活用して楽しんでいます。

草刈りついでに万能薬を仕込む

春から夏にかけて、下田はまばゆいばかりの青葉で彩られます。そして、わが家(まだ新居には引っ越していません)の庭の草木もまた、とてつもなく元気に。とくに雨が降ったあとは「んん!?」と目を疑いたくなるほどで、少し前に草刈りした場所が一瞬にして覆われてしまいます。

移住してきた当初は夫に任せきりだった草刈りですが、ふたりがかりでやらないと間に合わない。ということで、私も扱いやすい充電式草刈機で草刈りをするようになりました。

1年目は人生で初めて経験する草刈機を使いこなせず、手が痺れるうえに作業が進まない。正直、「もう庭なんていらない……」と、泣きそうになることも。

ですが、4年目ともなるとそれなりに慣れてきました。草がまた伸びてるな、と思ったらパパッとやれるくらいにフットワークが軽くなり、少しずつコツも掴めてきたので、以前に比べるとだいぶ作業がスムーズに。

田んぼで草刈り中

こちらは田んぼでの草刈り。田んぼの畔もまた草がどんどん伸びていく。友人たちの力を借りながら、草刈りや草取りをしています。

そうして少し余裕を持てるようになったいま、あらためて暮らしに役立てられる草木のありがたみを感じています(いや、もちろん草刈りは大変ではありますが)。

たとえば裏庭の草をガーっと刈って、終わったら蕗を収穫して茹でたり、よもぎを天ぷらにしたり。庭の草でちょっとした薬や化粧水もつくっています。草刈りをしながら、これはあれに使えるな、これに使えるな、と考えながらあとで拾うというやり方です。

カゴに入った野草

たとえばあの強烈な匂いを放つドクダミ。ドクダミはかなり繁殖力が強いので、あっという間に庭の広範囲を覆ってしまいます。それを草刈機で一気に刈りあげたあと、ごっそり収穫してチンキをつくります。

チンキというのは、薬草をエタノールに浸けて成分を抽出させた液体のことです。ドクダミは5月〜6月頃に白い花をつけるのですが、花が咲いた時期のドクダミが一番薬効が強いとされています。つまり、一番草刈りが必要な時期と重なるのです。

以前はチンキをつくるためにドクダミを手で刈っていたのですが、少し面倒に感じていました。それを、草刈りをしたついでにつくるようにしたら、とても楽になりました。

ドクダミの花

ドクダミの白い花。美しいけど匂いがすごい……。ですが、アルコールに浸けておくと消えていい香りになるんです。

物干しで吊るしたドクダミ

一気に刈ったドクダミをざっと洗い、物干しで吊るして水気を切ります。

瓶に入ったチンキ

左が昨年つくったドクダミチンキ。右が先月仕込んだものです。

チンキのつくり方

ドクダミには殺菌作用があるとされ、虫除けや虫刺され、やけどや切り傷などに使えます。たとえば私は蚊に刺されると、塩でこすって流水で洗い、そのあとチンキを塗るのですが、市販の痒み止めより効果があると私は感じています。

ドクダミ以外にも、庭にある枇杷の葉でもチンキをつくっているのですが、これも同じく虫刺され、やけど、切り傷、肌の痒み、風邪っぽいときの喉の痛みや、歯痛のときに口に含んだりと多用途で、わが家の手放せない万能薬です。

庭にある枇杷の木

手前右が4年前に夫が植えてくれた枇杷の木。最初は小さかったのですが、いまでは十分に葉を収穫できるほどに成長。その左奥が柿の木、右奥が同じく住み始めてから植えたバナナ。熱帯ジャングルのようになっていく……。

枇杷の葉もドクダミもチンキのつくり方は同じです。私は収穫したらざっと水で洗って、水気がなくなる程度に軽く乾かします(水気があると腐りやすくなってしまうので)。

ハサミでざっくり切った葉っぱを、消毒しておいた保存瓶にギュウギュウに押し込め、かぶるくらいの焼酎を注ぎ入れます(アルコールから出ていると、その部分が腐りやすくなるので注意)。

ときどき瓶を逆さに揺らしたりしながら、ドクダミは3か月くらい、枇杷は約1年ほど置いてできあがりです(できあがったら、葉っぱはとりのぞきます)。

ハサミでざっくり切った葉っぱ

瓶に入った枇杷の葉チンキ

一昨年仕込んだ枇杷の葉チンキ。長期間常温で保存できるので、毎年多めに仕込んでいます。

私はチンキを水で薄めて化粧水としても使っています。というのも、市販の化粧水や乳液を使うと痒くなってしまうことがあり。ここ数年はドクダミチンキ化粧水をつくり、その後に市販の太白ごま油をつけるようになりました。太白ごま油は食用に使っているものを、ポンプ式のボトルに移し替えています。

髪の毛の保湿も同じものを使用しているので(市販のものだと頭皮がかゆくなってしまうので)、1本で料理にも肌にも髪にも使い回せて便利。

しかも、ごま油とドクダミ、どちらにも抗酸化作用があるとか? 美白効果もあり、シミが薄くなる……!? とも言われていますが、その効果は私にはよくわかりません。ですが、保湿力も使い心地もとてもよいです。枇杷の葉エキスも化粧水として試してみたのですが、私はドクダミのほうがしっとりするように感じています。

3種類のスプレーボトル

出張にも旅先にも必ず持参するスプレーボトル。ちょっと喉が痛いというときには口を大きく開けてシュッシュなどなど、あると安心。化粧水は傷まないように、冷蔵庫で保存しています。

枇杷の葉は、お茶にも使っています。以前、下田の友人がお茶にしているのを見て試しにやってみたところ、クセがなくて飲みやすく夫も気に入りました。

枇杷の葉の裏にある産毛をブラシで取り除き、水で洗ってから2センチくらいに刻みます。それを天日干しにして、カラカラになったら冷蔵庫で保存。およそ4枚分の葉っぱに2リットルほどの水を入れて10分ほど煮出したらできあがり。温かいままでも冷たくしてもおいしいです。

ティーポットに入った枇杷の葉のお茶

庭のもので、いろいろなお茶が楽しめる

枇杷以外にも、お茶に使えるものが庭にあります。天ぷらにしてもおいしい、よもぎです。

洗った葉を天日干しで乾燥させ、私は密閉容器に入れて冷蔵保存しています(カビ防止のため)。それを熱湯で2分くらい煮出すと簡単にお茶ができるのですが、体が温まるし、香りにいやされる。パッと部屋中に広がるよもぎの香りが私は好きなのですが、夫と娘は苦手なので、私だけの楽しみです。

よもぎの葉を天日干し乾燥

よもぎの葉のお茶

鍋で鹿肉の煮込みを調理中

友人からの助言で、よもぎを西洋ハーブの代わりに使ってみたらとてもおいしい。たとえばこれは鹿肉の煮込みなのですが、月桂樹やローズマリーとはまた違う草っぽい苦味を含んだ香り。

ちょっとすっきりしたいな〜というときは、ハサミを持って庭のレモングラスとミントを摘みます。友人から株分けしてもらったのですが、これまたものすごい元気に育ってくれていて、使い放題。

レモングラスだけでもミントだけでもいいのですが、私は両方一緒に耐熱瓶に入れて熱湯を注ぎます。粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やしておき、暑いときに飲むと体のほてりがすっと引いていくような感覚です。

庭に生えたレモングラス

東京で暮らしていた頃は、レモングラスがこんなに猛々しい草だとは知りませんでした。

収穫したミントとレモングラス

ミントもペパーミントとスペアミントが生えているので、2種類とレモングラスを同時に。

ミントとレモングラスのお茶

この日は暑かったので、氷を入れて冷やしました。「これおいしいね〜!」と、夫もお気に入り。レモングラスには整腸作用があるそうなので、胃弱の夫と私にはぴったりです(なるべくならホットがよいですね)。

伐採した木で洋服を染めてみる

庭には柿の木もあるのですが、これが車の屋根に引っかかってしまうほど伸びてきたので一部伐採しました。ただ捨てるのはもったいないのでお茶にしてみようと思ったのですが、つくり方を調べるてみると蒸し器で蒸さないといけないということ。うーん、面倒だな……と思い、ほかの活用法を模索。

そういえば、ちょうど汚れた白いシャツを染めたいと思っていたのを思い出し、染め方を調べてみる。すると、色止めもスーパーで売っているミョウバンでできるとのことで、やってみることに。

伐採した柿の木の枝

鍋に入れた柿の葉

染め方はネットで検索するといろいろと出てくるので、そちらを参考にしていただければと思います。ちなみに、私は大鍋3分の2くらいの葉っぱを2リットル程度の水で20分ほど煮出しました。媒染の材料でかなり色の出方が違うようなので、次回また別の方法で試してみたい、と思うような楽しい経験でした。

染め上がったシャツ

仕上がりは薄いたまご色という感じでした。草木ならではなのか、すごくやさしい雰囲気になり、汚れも目立たなくなり大満足、うれしい。

この秋から暮らす予定の、リノベーション中の古民家の庭には、ゆずや金柑、ニューサマーオレンジの木もあります。昨年からすでに収穫していて、寒いときには毎日ゆず湯に入り、金柑シロップを仕込み、瑞々しいニューサマーオレンジも味わいました。

私が移住したいと思った理由のひとつに、自然の中で暮らす知恵への憧れがありました。

たとえば取材でお会いした徳島県の山奥で暮らす女性は、天ぷらを食べたくなったら裏山に山菜を摘みにいき、胃が痛くなったら山で採ったセンブリをお茶にして飲んでいました。当時、東京で暮らしていた私には、そうした自然に寄り添った暮らしがとても新鮮で、魅力的に映ったのです。

下田の自然の中で暮らして4年がたち、少しだけあの女性に近づけたような。そんな自分の変化がうれしい今日この頃です。さあ、明日も草刈りだ。

晒で包んだ米糠とゆず

ゆずと精米したあとの米糠を晒に包み、お風呂の浴槽に。糠でお湯が白濁し、柑橘の香りとあいまってまるで温泉。ひどく気に入ってしまい、冬は毎日これを楽しんでいました。

文 津留崎徹花

text & photograph

Tetsuka Tsurusaki

津留崎徹花

つるさき・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。料理・人物写真を中心に活動。移住先を探した末、伊豆下田で家族3人で暮らし始める。自身のコロカルでの連載『美味しいアルバム』では執筆も担当。

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