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暮らしは? 家庭は? 新型コロナで考えたこと。移住者たちのZoomトーク・後編

  • 2020年7月10日
  • コロカル

撮影:三村ひかり

小豆島で暮らし「小豆島日記」を連載中の三村ひかりさん。岩見沢市の美流渡(みると)地区で暮らし「うちへおいでよ! みんなでつくるエコビレッジ」を連載中の來嶋路子さん。伊豆下田で暮らし「暮らしを考える旅 わが家の移住について」を夫と連載中の津留崎徹花さん。

コロカルで連載する移住者3人が、初めてZoomでつながり、新型コロナウイルスで揺れるそれぞれの思いや暮らしについて語ったクロストークの後編です。前編はこちらから。

いまの暮らし、実はそんなに変わってない…?

徹花: 今回のことで生活が激変したかというと、わが家は比較的大きな変化がないかもしれない。そもそも移住してから生活費があまりかかってないし、夫は通常どおり仕事をしているので。

私も移住する前は東京で毎日のように撮影してたけど、最近は東京の仕事は月に1、2回。移住前に比べると収入は4分の1くらいに減っているけれど、そんな生活スタイルだったので、激減とか激変という感じでもなく。

三村: そうか。でも暮らせてるしね。

徹花: 震災を機に暮らし方を変えたくて下田に移住したけど、今回のことがあって、移住してよかったと思った。東京にいて、ずっと先まで仕事の予定が入っていて、そんななか急に学校が休みになりました、なんていうことになったら夫と喧嘩になってたかもしれない。今日は外せない現場だとか、こっちだって撮影だよ! とか、ぜったいそんなことになってた(笑)。

いまはこれだけ周りに自然があって人混みもなくて、仕事も詰め込んでいないから、気持ち的にすごく楽。

自宅のすぐ近くには海が。人もいなくて遊ぶこともできる。(撮影:津留崎鎮生)

自宅のすぐ近くには海が。人もいなくて遊ぶこともできる。(撮影:津留崎鎮生)

來嶋: ほんとにそう思う。自然に助けられました。あと北海道は場所が広いから、もともとソーシャルディスタンスだったことに気づきました(笑)。うちの子の小学校ももともと少人数制だから、机の配置はほとんど変わってないです。道を歩いていても、ほとんど人にも会いませんし、公園にもひとりも子どもがいないなんてことも当たり前です。

近くの山に入って山菜採りに熱中したという來嶋さん。山を歩いているあいだはコロナの恐怖感が薄まっていったという。(撮影:來嶋路子)

近くの山に入って山菜採りに熱中したという來嶋さん。山を歩いているあいだはコロナの恐怖感が薄まっていったという。(撮影:來嶋路子)

三村: 震災で移住した人が増えたなら、今回もまた増えたりするのかな。

徹花: 増えると思う。下田はけっこう別荘の問い合わせが増えてるみたい。東京の人たちが別荘として使うのか移住するのかわからないけど。

三村: 小豆島はまだあまりそんな話は聞かないな。でも移住者は増えるかもね。

小豆島で農業とカフェを営む〈HOMEMAKERS〉の三村ひかりさん。

小豆島で農業とカフェを営む〈HOMEMAKERS〉の三村ひかりさん。

家庭ではいつも事件が起こっている…!?

來嶋: うちは東京でこのコロナ禍を迎えてたら完全にアウトだったと思う。マンションの12階で3人の子どもたちがドタバタしたらもう……。いまでさえ夫や子どもと言い争いが絶えないのに、ものすごいストレスがたまっていたと思います(笑)。

徹花: 來嶋さんの連載読んだら大変そうだったけど、少し落ち着いてきた?

來嶋: 大変ですよ。夫が不安症なのか、最初のうちはウイルスの正体がよくわからなかったこともあって、イライラが募ってて。私が画家のMAYA MAXXさんとのプロジェクトにかかりきりで忙しくて、夫に子どもをまかせてたら、次第に夫の酒量が増えてました……。

徹花: うちは私が荒れてると、旦那に「いまDV増えてるからね」って、冗談ですけど(笑)。でも來嶋さん、いろいろ工夫してましたよね。

伊豆下田で暮らすフォトグラファーの津留崎徹花さん。

伊豆下田で暮らすフォトグラファーの津留崎徹花さん。

來嶋: 家のほかに仕事場を借りていて、そこに子どもと週1日泊まって仕事場お泊まり会をしてました。夫が週4日子どもをみて、週3日は私がみる。そうすれば夫も少し自由な時間がとれるので。

徹花: 工夫してトライしてるなと思いました。

來嶋: でも、うつっぽくなりました。出口がないというか。子どもが3人いて休校でわーわー言ってて、でも私も幸いなことにそれほど仕事が減らなかったから、仕事をしながら子どもをみて……。仕事場があって拠点がふたつあったから、なんとかそれで乗り切れたけど、これがマンションだったらどうなっていたことやら。

子どもをみながら仕事。休校中は大変だったと來嶋さん。(撮影:來嶋路子)

子どもをみながら仕事。休校中は大変だったと來嶋さん。(撮影:來嶋路子)

徹花: 都市部の人たちは、リモートワークだけど家に子どもがいて、いつもは外食している夫のごはんの支度までして、子どもの勉強もみなきゃいけないし宿題多すぎるよ! とか、ほんとに大変そうだなと思って見てました。下田だと、おじいさんやおばあさんもけっこう一緒に住んでたりするし、兄弟も多いから。東京で働いていて核家族で暮らしているお母さんたちはほんとに大変だと思う。

來嶋: 一番辛かったのは、北海道が緊急事態宣言を独自に解除した2週間というのがあって、そのあとの第2波の外出自粛にメンタルをやられました。学校が始まって2週間くらい平和だったのに、また自粛になって……辛かったです。

三村: うちは中学生だったからそんなに構わなかったけど、後半はちょっと心配でした。勉強もそうだし、一番心配だったのは運動不足。こんなに成長期なのに動かなくていいのかなとか。一緒にウォーキンギしたり、ふだん持てない時間を持てたのはよかったけど。一緒に30分くらい歩くといろんな話もするから。

中学生になった三村さんの娘いろはちゃん。このときはまだ数日しか登校していなかった。(撮影:三村ひかり)

中学生になった三村さんの娘いろはちゃん。このときはまだ数日しか登校していなかった。(撮影:三村ひかり)

移住して思うこと。そして今後の仕事と暮らし

徹花: ひかりちゃんはカフェは今後どうするの?

三村: どうしようかな、やめようかな、営業日を減らそうかなとか、まだ悩んでます。いままでの働き方ってなんだったんだろうって、いろいろ思考が回り続けていて、答えは出ていないけど。でも基本的にいままで自分たちがやってきたことは好きだし、いいなと思ってやってきたので、大きく変えるつもりはないかな。

徹花: なるほどね。難しいよね。

三村: 商売って、オンラインであろうとリアルであろうと、人とつながってることなんだなって気づいたんです。“おかげさま”というか、私はあなたが商品を買ってくれたり応援してくれるから成り立ってるし、あなたがおいしい野菜を食べられるのは私がつくってるからだし。ただものを売るんじゃなくて、お互いの感謝があって、野菜を介していい時間や気持ちを与え合えたらいいなと思いました。

だからこれからも、野菜を買ってくれる人とか、応援してくれる人とのやりとりを深めたいなと思ってます。

來嶋: いいですね。私が今回のコロナ禍で気づいたのは、東日本大震災のときは、社会の構造とか仕組みがおかしいんじゃないかと思ったり、子どもをどうするかということで、意識が外に向かっていたんですね。世の中不思議なことがいっぱいで、それに対するひとつの行動として移住したんですが、そうした外の問題がクリアされていたからこそ、今回は、自分の内側に向かう時間がとれたんだと思いました。で、私、実は子育てが苦手だったんじゃないかと気づいたんです。

岩見沢市の美流渡地区で暮らす編集者の來嶋路子さん。

岩見沢市の美流渡地区で暮らす編集者の來嶋路子さん。

徹花: 3人もいらっしゃって、ちゃんとお母さんしてるじゃないですか!

來嶋: 私は東京生まれでひとりっ子で、親が共働きで、ほぼ放置状態だったんです。親と同じように仕事ばかりしていて、子育てに真正面から向き合わないようにしてきたのかもしれない。だから、気づかせてくれてありがとうコロナという気持ちです(笑)。今後克服できるかはわからないけど、苦手であることをまずはしっかりと受け止め、自分のだめな部分やマイナスなことすら原稿に全部さらけ出していこうと思っています。コロナはいい試練でした。

コロナのあいだに、かねてから親交のある画家MAYA MAXXさんとのプロジェクトも進行中。(撮影:來嶋路子)

コロナのあいだに、かねてから親交のある画家MAYA MAXXさんとのプロジェクトも進行中。(撮影:來嶋路子)

徹花: すごいな……。ますます來嶋さんの連載が楽しみ。來嶋さんもご自身に向き合ってるということだけど、私はこんなにも仕事で長期間写真を撮らないということが、産休以来なんです。いまは自分の撮りたいものしか撮ってない。自分の興味のあるものだけ、好きなものだけ撮りに行くということがあらためてできていて。

漁師さんや海女さんから連絡があったら、前は仕事の撮影で行けないこともあったんだけど、いまは連絡があればすぐ行きます。だからあらためて、自分がなんで写真を撮ってきたんだろうということを、考えるきっかけになったというか。

三村: それは、きっといい写真が撮れてるね。

徹花: そうなの。いや、あらためて写真を撮るってすてきなことだなと思ったんですよ。写真ってこんなに人のことを喜ばせられるんだ、それによって自分もこんなにうれしいんだと思って。自分で言うのもなんですけど、すごくいい写真撮るじゃん自分って。久々に原点に戻ったというか。子どもと一緒にフォトセッションに出かけたりすると、子どもも私もワクワクして撮ってるんですね。

もちろんクライアントのお仕事も楽しい現場がたくさんあるし、大事にしていきたい。けど、もう一方で、自分の撮りたい写真を存分に撮っていきたいな〜って、それはすごくいい気づきだった。

下田特産の海藻「はんば」の漁。83歳の海女さんに同行させてもらって撮影。(撮影:津留崎徹花)

下田特産の海藻「はんば」の漁。83歳の海女さんに同行させてもらって撮影。(撮影:津留崎徹花)

三村: すごい。徹花さんのこれからの写真楽しみ。

徹花: それと、下田の豊かな自然のなかで暮らしてるってことにすごく救われてる。うちは米もつくってて、周辺には漁師さんや農家さんもいて、その土地で食料が得られる。すぐそこに土があるっていう強みがあると思う。そもそもそれが当たり前のはずなんだけど、当たり前じゃない現代に、それがすごく強みになってるというか。

米づくりを教えてもらってる農家さんに、田んぼがあって山があって海があって川があって、そういうところがそもそもは人の住む場所なんだよって言われたことが、ほんとに腑に落ちた。だから移住してよかったなと、いっそう思いました。

來嶋: それはたしかにそう思います。私も自然に助けられました。

三村: 同感。私も移住してよかったと思ってるし、みんなのこれからも楽しみ。これから先、どうなっていくかわからないけど、HOMEMAKERSもがんばります!

editor profile

Ichico Enomoto

榎本市子

えのもと・いちこ●エディター/ライター。東京都国分寺市出身。テレビ誌編集を経て、映画、美術、カルチャーを中心に編集・執筆。出張や旅行ではその土地のおいしいものを食べるのが何よりも楽しみ。

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