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青森県産ならではのあたたかさ。青森育ちの羊毛の魅力を伝える〈aomori wool〉が魅力的!

  • 2019年12月26日
  • コロカル

雪の中で育つコリデール種(大鰐自然村)

青森の羊の魅力を伝える〈aomori wool〉

本格的な冬到来を目前に、青森市の〈GALLERY NOVITA〉で、〈冬を彩るaomori wool展2019〜青森に暮らす羊たちと紡ぐ〜〉が開催されました。

主催は、2016年から活動する〈青森県産羊毛の会 aomori wool〉。青森市に暮らす女性6人が、青森育ちの羊の毛を自ら紡いで糸にし、ホームスパンや編み物、フェルト作品の発表を通じて、その魅力を伝えています。

青森ヒバの木板に、青森県産の羊毛、羊毛フェルト、ドライフラワーをあしらってつくられたブローチ(福田直美さん作)

青森ヒバの木板に、青森県産の羊毛、羊毛フェルト、ドライフラワーをあしらってつくられたブローチ(福田直美さん作)

青森ならではのあたたかい毛質

「羊はその土地に合った毛質に育つので、青森の羊の毛は寒さから体を守るために空気をふくんで弾力があり、あたたかいんですよ。ムッチリ、ボンな毛質です」と話すのは、ホームスパン作家で、代表の中川麻子さん。

羊毛の本来の色を生かした中川さんのホームスパン作品・大判ショール。「なるべく染めたくないと思っているので色のついた羊を探しているけどなかなか出会えないの」写真は階上(はしかみ)町のサフォーク。色つきはめずらしい。

羊毛の本来の色を生かした中川さんのホームスパン作品・大判ショール。「なるべく染めたくないと思っているので色のついた羊を探しているけどなかなか出会えないの」写真は階上(はしかみ)町のサフォーク。色つきはめずらしい。

写真左がその全容。

写真左がその全容。

中川さんは、メンバーのホームスパン作家大村知子さんと、〈aomori wool〉結成前から織物の技術指導や作品発表を行なっていましたが、当時使用していたのは輸入の羊毛。「地元の羊の毛をつかいたいな」とぼんやりとは思っていましたが、まだ青森の羊には出会っていませんでした。

大村さんが実際につかっている織機。以前は着物も織っていたそう。

大村さんが実際につかっている織機。以前は着物も織っていたそう。

今回出品された大村さんのホームスパン作品・大判ショール

今回出品された大村さんのホームスパン作品・大判ショール

未(ひつじ)年に訪れた転機

転機が訪れたのは、未年の2015年。「お正月の新聞に青森で飼育されている羊の記事が掲載されていたんです。『青森にも羊がいるんだ』ってはっとして、すぐに紹介されていた階上(はしかみ)町の牧場に電話をかけました」

牧場で育てられていたのは、県内でおもに飼育されているサフォーク種で、肉食用。飼育のために毛刈りは行われますが、出荷されていたのは肉のみで、羊毛は廃棄されていたそう。

流水や急な温度変化でも縮みにくく洗濯機洗いに強い、初心者でも紡ぎやすく扱いやすいなど、良質な毛が特徴のサフォーク種。

流水や急な温度変化でも縮みにくく洗濯機洗いに強い、初心者でも紡ぎやすく扱いやすいなど、良質な毛が特徴のサフォーク種。

「捨てられているなんてもったいない!」と思った中川さん。羊毛を買い取り、翌年からは毎年毛刈の手伝いに階上を訪問。活動を続けるなかで青森市在住のつくり手と出会い、現在はメンバー全員で毛刈りの手伝いから糸紡ぎまで、すべて手作業で行っています。

紡ぎ車での糸紡ぎの様子

紡ぎ車での糸紡ぎの様子

刈った毛は、汚れやゴミをとる「スカーティング」をし、部位により毛質を仕分ける「ソーティング」、専用洗剤での「手洗い」を経て「乾燥」させます。その後色をつけるものは「染色」し、空気をふくませて毛を柔らかくする「カーディング」を行って初めて、「糸紡ぎ」の作業に移ります。

毛刈り後、羊毛を手洗いする様子。泥や糞がついているため匂いが強く、根気のいる作業。

毛刈り後、羊毛を手洗いする様子。泥や糞がついているため匂いが強く、根気のいる作業。

羊毛の草木染め。クワ科のゲレップで黄色に染めた後、藍を重ねて染めた色。

羊毛の草木染め。クワ科のゲレップで黄色に染めた後、藍を重ねて染めた色。

カーディングの様子。複数の色の羊毛を混ぜカーディングすると、グラデーションの糸や、新色の糸をつくることができます。どんな色ができ上がるか、染色もカーディングも一期一会で楽しい。

カーディングの様子。複数の色の羊毛を混ぜカーディングすると、グラデーションの糸や、新色の糸をつくることができます。どんな色ができ上がるか、染色もカーディングも一期一会で楽しい。

理想は「紡ぎ人口」が増えること

作品展は商品になった羊毛を手にとって使ってもらい、品質を実感してもらう場。〈aomori wool〉の主活動は、青森県産羊毛と毛糸の販売です。

作品展でも販売されていた青森県産の羊毛を手紡ぎした毛糸

作品展でも販売されていた青森県産の羊毛を手紡ぎした毛糸

糸にするまで時間のかかる作業ですが、自分たちの作品用のみならず、羊毛や毛糸の販売を行うのは、無駄にしたくないという思いがあるから。

「捨てられていた羊毛をたくさんの人につかってもらいたいんです。糸紡ぎも身近に感じてもらって、自分でも気軽にやってみようと思ってもらえたら」

会場にも展示されていた糸紡ぎ道具「スピンドル」。胸におさまるサイズで、値段も手頃。手軽に手紡ぎをはじめられます。羊毛を先のフックにかけてスピンドルをまわすと糸が紡がれていく仕組み。好みの色の羊毛で糸がつくれるのは魅力的です。

会場にも展示されていた糸紡ぎ道具「スピンドル」。胸におさまるサイズで、値段も手頃。手軽に手紡ぎをはじめられます。羊毛を先のフックにかけてスピンドルをまわすと糸が紡がれていく仕組み。好みの色の羊毛で糸がつくれるのは魅力的です。

〈aomori wool〉では、1年に2〜3回、「スピンドル」の講習会を開催、イベントに出店してワークショップを行うなど、糸紡ぎの普及に積極的です。実際、講習会を経て、自分で紡いだ糸でセーターやマフラーを編んだ人もいるそう。

「青森で育った羊毛が地産地消してくれたらうれしい。お肉もウールも、MADE IN AOMORIがいいね、って思ってもらえるように上質な製品をつくっていきたいと思っています」

作品展で販売されていた羊毛。糸はもちろん、フェルトもつくることができます。羊毛、毛糸ともに、草木または化学染めしたもの、染色していないものを販売。

作品展で販売されていた羊毛。糸はもちろん、フェルトもつくることができます。羊毛、毛糸ともに、草木または化学染めしたもの、染色していないものを販売。

作品を購入できるのは年に1度の作品展のみですが、羊毛や紡ぎ糸の販売は常時行なっており、現在では階上町のサフォーク種に加え、大鰐自然村(大鰐町)、北里大学(十和田市)で飼育されている希少種のマンクス・ロフタン種やコリデール種も扱っています。

階上町のサフォーク種(白)と、北里大学のマンクス・ロフタン種(茶)の毛で編んだ子ども用ベスト(清藤京子さん作)。左は白と茶の毛を混ぜて紡いだ糸がつかわれています。

階上町のサフォーク種(白)と、北里大学のマンクス・ロフタン種(茶)の毛で編んだ子ども用ベスト(清藤京子さん作)。左は白と茶の毛を混ぜて紡いだ糸がつかわれています。

「つくり手としては高価ですがマンクス・ロフタンの毛の色にも惹かれますし、サフォークは扱いやすいですが、チクチクするので、コリデールがあればマフラーや首に巻くストールもつくることができます。階上を発端に県内で羊飼いとのつながりも増え、作品の幅が広がりました」

草木染めした羊毛で糸を紡いでつくったホームスパンのストール。(中川さんの作品)。自身で白い羊毛を染めるときは草木染めと決めているそう。左からマリーゴールドとインド藍、紅茶、インド藍、マリーゴールド。

草木染めした羊毛で糸を紡いでつくったホームスパンのストール。(中川さんの作品)。自身で白い羊毛を染めるときは草木染めと決めているそう。左からマリーゴールドとインド藍、紅茶、インド藍、マリーゴールド。

羊毛または毛糸購入希望の場合、問い合わせは中川さん(090-7934-2041)まで。青森市内の工房で購入できるほか、郵送も受け付けてくれます。糸紡ぎ講習会やイベント出店の情報はfacebookページで告知されます。

青森の土地で育ったからこその、柔らかくてあたたかい〈aomori wool〉。ぜひ手にとって実感してみてください。そしてこの冬、糸紡ぎも始めてみませんか?

information

青森県産羊毛の会 aomori wool

住所:青森県青森市花園2-16-18 3F(工房)

電話:090-7934-2041(代表:中川麻子さん)

メンバー:中川麻子さん・大村知子さん・溝江美紀子さん・清藤京子さん・福田直美さん・葛西幸子さん

facebook:青森県産羊毛の会 aomori wool

*facebookのメッセンジャーでも問い合わせ可能

writer profile

Haruna Sato

佐藤春菜

さとう・はるな●北海道出身。国内外の旅行ガイドブックを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より夫の仕事で拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。暮らしを豊かにしてくれる、旅やものづくりについて勉強の日々です。

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