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大きな家から小さな家へ……!? 移住から2年半。再び家探し、始まる

  • 2019年10月11日
  • コロカル
「予算はないけど夢はある」家探しの旅

移住先探しの旅を経て、伊豆下田に移住した津留崎さん一家。念願叶って広い庭のある大きな家に暮らしていますが実際、暮らし始めるとそこには「理想」と「現実」のギャップが……。そして再び、家探しが始まりました。その理由は? そして今度はどんな家を探すのでしょう?

理想を求めて移住し、見つけた家

下田に移住して2年半。実はいま、引っ越しを考えています。下田以外の土地に移住したいというわけではありません。下田市内で、しかも同じエリアの中での引っ越しを考えているのです。

下田の海

下田の暮らしは楽しく、充実しています。しかも、いま住んでいる地区はとても暮らしやすく、近所の方々もよくしてくれています。娘も小学校生活を楽しんでいる様子なので、なるべく転校させたくないです。

では、なぜ引っ越しを考えるのか? ひと言でいうと、家に対する「理想」と「現実」を思い知った、ということになります。

紅く染まった庭の紅葉

移住先探しの旅でたどり着いた伊豆下田。そこで偶然、出会ったのが、いま暮らしている家です(詳しくはvol.12をご覧ください)。この家との出会いが移住の決め手だったといってもいいほど、当時の我々にとっては条件のいい家でした。

では、移住先探しの際には具体的にどんな条件の家を探していたのか? 振り返って移住先探しの旅のときに考えていた条件をあらためて紹介します(vol.3より抜粋しコメント追加)。

1 自給的生活のベースとして。(←自分たちで食べる米や野菜をつくれるようになりたい、というのが移住の大きな目的のひとつでした)

2 井戸水・沢の水が飲める。または日常的に汲みに行ける距離に湧き水がある。(←ペットボトルの水を買うことや遠い浄水場から水道管を通って運ばれてくる水を飲むことに違和感を感じていました)

3 東京へのアクセスのよさ。(←妻は東京の仕事を続ける予定ですし、ふたりの実家もあります)

4 小学校・中学校が近くにあり、徒歩圏内に駅やバス停がある。(←田舎暮らしと言えども車に頼りすぎる暮らしはしたくない、そう考えていました)

5 温暖な気候。(←寒いのが苦手なのです)

6 なるべくお金をかけずに生活を始められる物件価格・賃料。(←基本的に賃貸で探していました。いきなり「買う」のはリスクが高すぎる、と。その考えは正しかったと思っています)

そして、このとき条件には挙げていなかったのですが、理想は古民家で大きな家。古民家には妻も僕も憧れがありました。部屋がたくさんあったら民泊をしてみたいとも考えていました。

移住先探しの旅をしてたどり着いたのは、海沿いのまち、伊豆下田。下田で家を探し始めてからは万が一の津波のことも考えて「高台」という条件も加えました。

要するに、高台で駅かバス停に近くて、畑があって古民家で大きい家で安く借りることができて、井戸があるか湧き水が汲める家を探していたということです。

いま、あらためて振り返ると、なかなかハードル高い……というか非現実的? とも思います。でも、あったのです! 条件的にかなり揃っている家が。

植物に囲まれた我が家。築50年以上

古民家とも言えなくない築50年以上の風格のある大きな家(そもそも築何年から古民家なんでしょうか?)。大きな庭もあり、畑スペースもあります。小学校へも徒歩圏内。日々の買い物に行く商店がある駅周辺までも自転車で行ける距離です。そして、下田暮らしが始まりました。

地元で評判の湧水スポット

さすがに井戸や湧き水は徒歩、自転車範囲にはありませんでしたが、原付で通う職場の近くで評判の湧水スポットがあり、仕事帰りに汲んで帰っています。

暮らし始めてわかる、理想と現実

当初は、畑で野菜をつくるぞ! 民泊をやってみたい! と期待に胸を膨らませていました。

……で、実際はどうだったかと言うと。野菜は畑や庭のほんの一部分でつくっているくらいでほとんど稼働することはありませんでした。というのも、米づくりを始めたことや、日常の仕事や家事育児で、庭の野菜にまで手が回らないのです。

畑仕事中の妻

わが家の畑、昨年の様子。僕が田んぼでテンパっていたので妻がやっていました。でも、とても全部はやりきれません。やっていないスペースには草がどんどん生えてきます。今年はふたりとも忙しくて手をかけられず、耕作放棄地状態。畑を管理するって大変なんですね……。

野菜と米、どっちもやってこそ目指していた自給自足ではないか! とも思うのですが、田んぼと仕事と子育てがあるなかで「自分たちにはそこまではできない」と、2年半でよくわかりました。引っ越しの相談をした人には「できない」とわかったことが収穫だよ、と言われ、妙に納得。

でも、野菜に手が回らなくても広い庭と畑には草がどんどん生えてきます。庭の木もどんどん伸びてきます。あっちの草刈りが終わる頃にはこっちがボーボーという状態です。

頭のどこかで常に「あそこの草刈りしなきゃ……」と考えている状況はあまり心地のいいものではありません。

我が家の庭の草木

草木の勢いって本当にすごいのです。夏には刈っても伐ってもこの通り……。

いままで大きな庭に縁のなかった都会育ちの自分には庭の維持管理の大変さが想像できていなかったのです。

そして、大きな家ということで何部屋か使わない部屋があります。そこで民泊を、と当初は企んでいたのですが、実際に暮らし始めるとなかなか難しいことに気づきました。

大きい家といっても、民宿のようなつくりになっているわけでもありません。もしもここで民泊をするとなると、プライベートの空間と民泊の空間が完全にまぜこぜになるわけです。なかにはそのようにして民泊をしている人もいるそうなのですが、自分たちにはそれはできないということがわかりました。

廊下をモップがけする娘

さらには、大きい家ということで掃除も手間がかかります。

また、家が大きいとどうしてもモノが増えていく。モノを買わないほうではあると思うのですが、何かを買い替えたときに古いモノの置き場所がある。すると古いモノを何となく捨てない。そうしていくと、使わないモノが身の回りに溢れていく。そんな悪循環に陥りました。

日々、整理していればそんなことにはならないのでしょうが、なかなかどうしてできないもの。これも大きい家に縁のない暮らしをしていた自分には想像できないことでした。

また、つくりの古い家で海に近い立地、広い庭に囲まれている、そして裏には川、という条件も揃い、湿気や虫も想像以上でした。大きくて掃除に苦労するのに、すこし掃除をサボったり、しばし家を空けたりすると部屋がカビだらけ、蜘蛛の巣だらけ……ということに。

蜘蛛の巣はともかく、カビに関しては健康にも影響することです。わが家には娘もいます。娘は親が選んだ家に住むしかないのです。親としてはこれはどうにかしないといけない、そう感じるようになりました。

梅仕事をする妻と娘

古い家は風を通すことが本当に大切なのだと思い知りました。わが家は仕事や旅行で週末や長い休みに家を空けることが多い。帰ってくるとしばらく閉めきっていたこともあり、カビや虫がわさわさ……。日々、ちゃんと風通しができていればこんなことにはならないはず。わが家のライフスタイルに合った家とは? あらためて考えています。

再び、家探しスタート

そんなこんなで、家に対する「理想」と「現実」のギャップを思い知りました。

ひと言で言うと、わが家の場合は、大きな庭のある大きな家に暮らすことで「不自由」になってしまったのかもしれません。

もちろん、庭仕事が好きで家事育児の合間にこつこつとできる人もいると思いますが、私たちにはそれはできないと思い知りました。

管理しきれない庭や家の管理を外注する、という考え方もあるとは思います。ただそれを続けることは金銭的な面でも現実的ではないですし、さらには、この連載の冒頭の説明にもある、「自分たちの暮らしを自分たちで丁寧につくりたい。そんな思いから移住を決意した一家」というわが家の移住の原点を考えると、さすがにずれすぎているように感じます。

建築の世界では家は3回建てないと成功しない、とよく言います。わが家は建てたわけではありませんが、その言葉の意味を痛感しました。

庭でバーベキュー

もちろん、広い家、庭だからこそできる楽しみもたくさんあります。庭でバーベキューができるなんて贅沢ですよね。

というわけで、家探しを始めました。今度は移住先探しの旅をしていたときとは条件を変えて探しています。

まず、大きな家も庭も求めない。家の広さも家族3人がちょうどよく暮らせるくらいであればいい。そして、湿気のない立地、つくり。そこを重視しています。

この先、民泊なりゲストハウスなりをいつかやりたいとはいまでも思っているのですが、それも別の場所でやれたらと考えています。畑もできるくらいに暮らしに余裕が出てきたら別で借りればいいのです。

東京から下田に訪れてくれる親戚や友人に家に泊まってもらうこともありました。それは広い家があってこそできることで、とても楽しいことです。

でも、家が狭くて泊まってもらうことができないのであれば、下田でできた友人たちがやっている民泊や貸別荘、民宿、ペンションに泊まってもらえばいい、そう思っています。

デッキのある宿泊施設の外観

さすが観光地下田です。宿をやっている友人がたくさんできました。下田に訪れる知人には、料理のおいしい民宿、絶景のペンション、みんなでバーベキューができる貸別荘や民泊、どれがいい? と紹介すれば、下田をより楽しんでもらえるのではないかとも感じます。ちなみに写真は友人が営む民泊で、僕が仕事をしている工務店でデッキとデッキにかかる屋根の工事をさせてもらいました。ここなら雨でもデッキを楽しめます。

また、どんな家がよいか? 妻と夜な夜な話し合っています。

ちょうどよい賃貸や中古物件があればいいのですが、同じ学区内で情報を集めてもなかなかありません(理想は変わらず賃貸ですがエリアを限定していることもあり、かなり物件数が少ない。売買も含めて探しています)。

何軒か見に行きましたが、立地はいいけど状態が悪すぎてリフォームに費用と手間がかかりすぎるとか、湿気がすごそう……と、条件が揃う物件がなかなか見つかりません。

でも、おっ!これは!! という土地は少なからずあります。

では、土地を買って家を建てる? それは悲しいかな予算オーバーです(この不安定なご時世とわが家の不安定な収入を考えるとローンを組みたくはないですし、そもそもローンを組めるのか? という問題もあります……)。

ということで、いろんな方向性を探るべく考えをめぐらせていたときに、下田の隣町、河津町の建築会社〈天城カントリー工房〉がつくるトレーラーハウスのことを思い出しました。

〈天城カントリー工房〉がつくるトレーラーハウス

写真提供:天城カントリー工房

家はもっと自由でいいはずだ!

もともと、トレーラーハウスには興味がありました。そんなトレーラーハウスをつくる会社が偶然にも隣町にあったのです。しかも、妻が以前、取材させてもらった縁もあり、勝手に運命を感じてさっそく連絡を取り、先日、家族で見学に行きました。

〈amagear トレーラー〉の内装

天城カントリー工房の〈amagear トレーラー〉の内装。高さがあるのであまり狭く感じませんでした。こちらのトレーラーは宿泊することができます。これはぜひ体験したい!(写真提供:天城カントリー工房)

コンパクトなトレーラーはどこか秘密基地のようで、娘もかなり気に入った様子です。といっても、家族3人で暮らすには1台では狭い。でも、収納小屋を別に設置するとか、2台をデッキでつなげるとかすればどうにかなるのでは?

〈amagear トレーラー〉のラウンジスペース

写真提供:天城カントリー工房

たとえば、1台を子ども部屋にして、子どもが成長して巣立ったら売ることもできるし、民泊として貸すこともできます。

そんな暮らしの変化に合わせることができる「自由」さに惹かれます。そして、地面との間に空間があるので湿気はなさそうです。

これは……いいではないか! 妄想が膨らみ始めました。

キャンピングトレーラー

「トレーラーハウス」よりキャンピングカーに近いつくりの「キャンピングトレーラー」であれば金額的にはかなり抑えられます(中古で100万台からあるようです)。

法律的な話でいうと、家と車の中間のような存在らしく、設置方法によっては建築物として扱われず固定資産税もかからないようです(自治体によってかなり判断が変わるようなので気になる方は自治体に確認お願いします)。

トレーラーだったら土地を買わなくても借りて置くということも可能性としてはあるわけです。

こうして、トレーラーを視野に入れ始めたら家に対する概念が軽くなりました。そのときそのときに応じて買い足したりつくったり売ったり移動したり。家はもっと自由でいいはずだ! と。

でも、惹かれてはいるけど「トレーラーに決めた!」というわけでもなく、空き家情報が入ると気になって見に行ったりもしています。

そもそも、こんな大きい家から、いきなり小さい家での暮らしに変われるのか? 不安がないわけではありません(トレーラーハウスといまの家、床面積で比較すると10分の1ほどにもなるのです。別に収納を用意するとしてもかなりの覚悟が必要です)。そして、金額的には、条件のよい賃貸物件が見つかることが理想だったりもします。

着地点が見えずに行ったり来たりしています……。

ということで「予算はないけど夢はある」、家探しの旅が再び始まりました。さあ、どうなっていくのやら。

土地情報、家情報ありましたらぜひお寄せください〜。

高台から下田の海を望む

せっかく下田に暮らしているのだから海の見えるところで暮らしたい! なんてSNSでつぶやいたら、強風で大変だからやめときな、と地元の方からアドバイスをもらいました。先日の台風被害を見ると確かにそうかも、と思ってしまいます。さあ、わが家の家探しの旅、どこに着地するのでしょうか?

information

天城カントリー工房 Tiny Base

住所:静岡県賀茂郡河津町浜390-1

TEL:0558-34-0555

Web:Tiny Base 公式サイト

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram

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