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“釣りガール”が営むゲストハウス〈Daja(ダジャ)〉に泊まる。シュノーケリングも魅力の南伊豆の旅

  • 2019年8月8日
  • コロカル
下田の隣町、南伊豆へのショートトリップ

伊豆下田で暮らす津留崎さん一家が友人家族とともにお隣の南伊豆へ1泊2日の旅へ。知る人ぞ知るシュノーケリングスポット「ヒリゾ浜」で遊んだあとは、元地域おこし協力隊の“釣りガール”が営むゲストハウスへ。細い路地が入り組んだ集落にある小さな宿のオーナーの思いとは。

1泊2日で南伊豆の旅へ

すっかり酷暑となって忘れてしまいそうですが、今年は本当にしつこい梅雨でした。

そんなスッキリとしない天気のなか迎えた、海の日を含む3連休。実は娘の同級生家族とともに、下田から船で行ける東京都、伊豆七島の式根島に行こうと計画を立てていました。島での釣りにシュノーケリングに海の幸に、大人も子どもも楽しみにしていました。

でも、出航予定の数日前にこんな連絡が……。「島に行くことはできそうですが帰りの日程が悪天候予報。船が出航できず下田に戻ってこれないかもしれません」

船が動かないのでしばらく島にいまーす! ってのができればそれはそれで楽しそうですが、2家族全員がそんな呑気なことを言っていられるわけもなく……。予定変更を余儀なくされました。さて、どうしたものか。

下田から見える伊豆七島

晴れた日には下田からは伊豆七島がくっきりと見えます(写真ではわかりにくいですが中央に見えるのが伊豆大島)。下田から船で3時間程度で新島、式根島、神津島へ。

待てよ、ここは自然豊かな伊豆半島です。海の向こうに見える島に行ってみたいというヒトの本能ともいえる欲求を棚に上げれば、わざわざ船に乗って島に行かなくても、近場で釣りもシュノーケリングも海の幸も堪能できるではないか。

そこで、下田の隣町、南伊豆町のゲストハウス〈Daja(ダジャ)〉のことを思い出しました。

Dajaを運営されている松原叔美さんは“釣りガール”にして南伊豆町の地域おこし協力隊だった方です。もともと地域のイベントなどで顔を合わせる間柄、そんな彼女が「漁村再生」を掲げて協力隊卒業後にオープンさせたのがゲストハウスDaja。ここに行けば釣りを楽しめることは間違いない!

また、南伊豆町にはシュノーケリングスポットとして有名な「ヒリゾ浜」があります。下田にもシュノーケリングスポットはありますが、ヒリゾ浜は別格との噂を聞きます。

ということで、1泊2日、下田発隣町、2家族で南伊豆を楽しむ旅をしてきました。

南伊豆町から見える海

伊豆最南端の南伊豆町。人口8000人の小さなまちです。町は移住促進に積極的に取り組んでいて移住者が多くいます。わが家も移住先探しの旅の際にはいくつか物件を見たり先輩移住者を訪ねたりしました。最終的には東京へのアクセスを考えて下田を選びましたが、その点がなければ南伊豆に暮らすのもいいなあ……といまでも思うことがあるほど暮らしやすそうなまちです。(南伊豆への旅)

秘境の浜「ヒリゾ浜」で魚と泳ぐ

当日は心配された天気もなんとかもってくれました。自宅から南西に車を走らすこと30分。ヒリゾ浜の入口、中木港に到着しました。

ヒリゾ浜は地形的に船でしか行けない秘境の浜。そうした環境ゆえに、抜群の透明度を誇る海には多くのカラフルな回遊魚やサンゴ礁が間近に見られるということで、シュノーケリングスポットとして人気を集めているそうなのです。

船でヒリゾ浜へ向かう

ヒリゾ浜へは中木港より渡し船で5分。

夏はかなり混雑すると聞いていたのですが、当日は、雨の心配もされる肌寒い天気だったこともあり、普段ほどではなかったそうです。といっても……

浜辺に密集するテント

こんなことになっていました。まわりの静けさもあってびっくりしました。浜はこの人混みですが、潜ると……別世界です。

潜ってすぐ魚に囲まれる

魚に囲まれて泳ぐって、なんて神秘的な体験なのでしょうか。天気と海の状況次第ではもっと透明度があがるそうです。あまりその世界のことには詳しくないのですが、本州を代表するシュノーケリングスポットらしいです。伊豆は自然の遊び場が豊富で、暮らしていて飽きません。

潜って泳ぐ津留崎さん

魚に囲まれて泳ぐ海坊主もいました!……というのは嘘で、僕です!! 我ながらなかなかの海坊主っぷり……。

ずっと潜っていたい気もしましたが、ウエットスーツなしではちと寒い気候です(そんな天気でもこの混み具合……。真夏は本当にすごいらしいのでお出かけの際は要覚悟で!)。

シュノーケリングはほどほどにして、ヒリゾ浜からゲストハウスDajaのある「子浦」へと向かいました。

子浦の港

中木から車で15分ほどで、Dajaのある子浦の集落に到着。入り江の中にある静かな港町です。港に面した細い路地を入って行きます。

手押し一輪車

車が入れないような細い路地が多いこの集落では、このような一輪車が必需品だそうです。

ゲストハウスオーナーの“釣りガール”と釣りへ

ゲストハウスDajaに到着。オーナーの松原叔美さんは、2014年に南伊豆町の地域おこし協力隊として神奈川県より南伊豆町に移住してきました。もともと“釣りガール”だった松原さんは「釣りが好きなんだから、伊豆に住めば」というお母様の何気ないひと言から移住を考え始め、地域おこし協力隊に応募することになったそうです。

Dajaオーナーの松原叔美さん

釣り好きが高じて伊豆に住むことになり、その地でゲストハウスを開業。人生、どこに転機が転がっているか? わからないものですね。

3年の地域おこし協力隊の任期中は「釣りガール倍増計画」を掲げて活動し、南伊豆町の祭りや催しにも積極的に参加。どんどんこの南伊豆町を、まちの人たちを好きになっていきました。

そして、任期が終了したあとには、空き家になっていた民宿をゲストハウスとして開業することを決意。「過疎化が進む南伊豆を盛り上げたい、自分の好きな釣りの楽しさをもっと広めたい」と、借金までして民宿を買い取ったそうです。

子浦集落の路地

Dajaがあるのは協力隊のときから居を構えていた妻良の隣の集落、子浦。小さな漁村です。

さらには2018年に行われた地方創生ビジネスコンテストの全国大会の場では、ファイナリストに選出されて、2000人を前に「漁村再生釣りガール」による「釣りガール倍増計画」として、漁村にゲストハウスをオープンさせる計画を語りました。

松原さんのこうした活躍は隣町、下田にも「パワフルな移住者がいるらしい」と漏れ聞こえていました。

そして、2018年7月にゲストハウスDajaをオープン。

ウェルカムボード風になった壁

玄関を開けるとこんな壁がゲストを出迎えてくれます。

Dajaの室内

海をイメージさせるブルーを貴重とした色使いが特徴的なインテリア。まちの職人さんや友人たちとともにリノベーションしたそうです。

ドミトリールームの二段ベッド

子どもたちはドミトリールームの二段ベッドに大興奮。ドミトリータイプが2部屋、和室が1部屋。

そして、いよいよ釣りです。宿近くの釣具屋で釣竿をレンタル(道具を持っていない初心者も安心して釣りに挑戦できます)。

釣りの準備をする子どもたち

釣りガール倍増中!? 釣れるかな?

お店の方と松原さんとのやり取りで、松原さんがいかに地域に溶け込んでいるか、地域の方に大切にされているかを感じます。

しばし歩くと、子ども向けということで松原さんが考えてくれていた堤防に到着(事前に予約していれば釣船の予約もしてくれるそうです。より本格的に釣りを楽しみたい方はぜひ)。

防波堤で釣りスタート

松原さんにコツを聞いて……いざ出陣!

海に竿を下ろす

海をのぞくと餌の周りに魚がうじゃうじゃ!でも……なかなか釣れない……。

釣り上げた子ども

釣れた!

喜ぶ釣りガール

釣れた!!

釣れずに粘る母

あれ? ママ、釣れないね……。

なんとか天気ももってくれて釣りを満喫。小魚ばかりでちょっとしたつまみにはなるけど、総勢7人のおかずとしては寂しい……、そんな釣果です。

そんなこともあろうかと、松原さんはこの港であがった魚の刺身盛り合わせを段取りしてくれていました(釣れなくても安心!)。さらには釣具屋のおばちゃんが様子を見に来てくれ、その寂しい釣果を見て釣れた魚を提供してくれました。

いただいた大きな鯖

いただいた鯖を手にして、まるで自分で釣りあげたかのようにうれしそうな子どもたち。

みんなでつくって、いただきまーす!

お次は旅のお楽しみ、晩ごはんです。Dajaは宿泊業の規定で食事を提供することはできず、キッチンを開放してゲスト自らがつくるスタイルとなっています。

釣った魚を調理中

みんなでつくる晩ごはん。このキッチンで知らないゲスト同士が親しくなることが多いそうです。

下ごしらえ中

釣った魚を天ぷらにします。

準備もできて、乾杯!!

大勢でテーブルを囲み乾杯

ほかの宿泊客や松原さんも一緒に食卓を囲みます。松原さんはこうしてゲストたちとの交流を楽しんでいるそうです。

釣った魚が天ぷらに

さっきまで海を泳いでいた魚をいただく。子どもたちにもとても貴重な経験です。

翌日の朝食もみんなでつくりました。友人家族との旅行でこうしてキッチンを使える宿に泊まったのは初めてでしたが、これは楽しいですね。

大根おろし中

娘は同級生の妹ちゃんとふたりで協力して大根おろしを。指をおろさないかヒヤヒヤ……。

その後、松原さんに集落を案内していただきました。

集落の細い路地を進む

松原さん曰く「伊豆の尾道」というまち並み。確かに!

入り組んだ細い道、階段沿いに家々が建っています。車が入っていけない路地がつくる集落。静けさと不便さのなかにいまの社会がなくしてしまった何かを感じます。

井戸を発見

井戸! なんともレトロですが、いまでも現役、生活用水として使われているそうです。子どもたちも興味津々。

猫も発見

道行く集落の方たちもDajaの宿泊客とわかるとすごく好意的に接してくれます。

釣りが目的のお客さんにも機会があればこうして集落を案内をすることもあるそうです。せっかく泊まりに来てくれたのだからこの集落のファンになってもらいたい。そんな思いからだと松原さんは言います。

出会う集落の方たちの温かさ、そしてゆっくりと流れる時間にすっかり癒されました。

路地でみんなで記念撮影

ゲストハウス開業にあたって、松原さんのお父様は最後まで反対をされていたそうです。自分も父親という立場で考えるとその気持ちもわからなくはない……。もっと商売やりやすいところでやったらどうか? と思ってしまいそうです。

でも、お父様がゲストハウスの船出を祝う会に来られたとき。多くの地域の人に支えられている松原さんを目の当たりにして一転、「こんなにたくさんの方が応援してくれるなら……」と認めてくれたそうです。

子浦の集落から眺めた海

「漁村再生釣りガール」の挑戦はまだまだ始まったばかり。この集落がどう変わっていくのか? 僕も楽しみでなりません。隣町、下田からその挑戦を応援していきたいと思います。

information

Guest House Daja

住所:静岡県賀茂郡南伊豆町子浦1626

宿泊料金:2名9800円〜、ドミトリー3800円〜(繁忙期、年末年始は価格変動あり、定員16名)

釣りガイド料金:ひと組1時間2000円〜(道具、餌代別)、釣船はひと組5000円〜(道具、餌、船代別)

Web:Guest House Daja Facebook

予約・問い合わせ:daja.minamiizu@gmail.com

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram

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