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働き方、カルチャー、移住。〈真鶴出版2号店〉から見えたこと。トミトアーキテクチャ&真鶴出版 対談

  • 2019年4月19日
  • コロカル

左から真鶴出版の川口瞬さんと來住(きし)友美さん、トミトアーキテクチャの冨永美保さん、伊藤孝仁さん。2年前の記念撮影と同じ場所で。

トミトアーキテクチャ vol.4

約2年前、〈トミトアーキテクチャ〉と〈真鶴出版〉が出会い、ともに歩んできたゲストハウス〈真鶴出版2号店〉のプロジェクト。オープンして半年ほどが経ったいま、あらためてプロジェクトを振り返るべく、4人が集まり対談を行いました。設計や施工中のこと、完成後に思うこと、そんな2号店の話題を起点に、真鶴のカルチャーや働き方にまで話は及びました。

いくつもの要素が共存する建築

伊藤: オープンから半年が経ちましたね。今日は真鶴出版のおふたりから見た2号店プロジェクトの振り返りや、完成後の日常についてもお話をうかがいたいと思います。

來住: 伊藤さんの声が懐かしすぎて、なんか泣きそうなんですけど……。最初からやばい……。

全員: (笑)

冨永: 初めてここを見学したとき、背戸道に入ったところからの風景の展開がすごくおもしろいなと思いました。独特な地形に沿って曲がった細い道に、この変わった形の敷地があって、建物にも増築された形跡があり、くびれをいっぱい持っていて。

トミトアーキテクチャの伊藤孝仁さん。

トミトアーキテクチャの伊藤孝仁さん。

伊藤: 僕も特徴的な物件ですごくポテンシャルを感じました。おふたりはプロジェクトに着手した頃、なにか印象に残ることはありますか?

川口: 早い段階で何パターンか設計プランを出してくれたことに驚きました。

來住: 模型がすごかったよね。

冨永: 普通は100分の1など、もっと小さいサイズから始まり、どんどん大きくしていくんですけど、最初から30分の1のサイズでつくりました。今回は改修なので構造から考える必要がなかったし、最初から大きくつくって空間イメージをお互い共有しながら進めたいと思ったからです。

伊藤: 2号店で一番検討した箇所として、玄関の横に設置した窓がありますが、実際にいまここで時間を過ごしてみてどうですか?

來住: すごくおもしろいですよ。背戸道が完全に借景になっています。室内から犬の散歩が見えたり、雨の日だと傘をさす人が行き交っていたり、真鶴の日常風景がここで一枚の絵になっているみたいです。

川口: 目線が少し下がる位置になっているし、気候がいい日はちょっと腰掛けられるし、またげる高さになっているのがいいですね。

來住: 最初は入り口付近に番台を置きたいとリクエストしたのですが、そうしなくてよかった。私たちがいることで通る人にとっては圧迫感になっていたんじゃないかなと思います。

冨永: 番台があると、サービスする側とされる側が明確に分かれてしまう。あの人に話かければいいと安心はできるけど、でも絶対この人が“主”と判別される強制力もあると議論していましたね。

來住: いま私たちがオフィス部分としている作業テーブルには自然とお客さんが座っていたりするんですよ。

伊藤: へぇ。それはおもしろい。

川口: もし入り口に番台を置いていたら、空間の使い方が限られていたかもしれませんね。いまのかたちだとシンプルで余白があるので、使い方をいろいろ考えやすいし、レイアウトを変えることができます。

冨永: なるほど。確かにオープンハウスのとき、複数の人の集まりがいろんな場所にあって、入ってくる人がいても出ていく人がいても、そんなに気になりませんでした。もし入り口に番台があったら、あんな集まり方にはならなかったかもしれませんね。

來住: 余白があるおかげで、来てくれた人が、朝ごはんの会ができるねと話を持ってきてくれたりして、やりたいことがすごく増えました。

春目前の2月のある日、真鶴で行われた本対談。梅の花がほころぶ。

春目前の2月のある日、真鶴で行われた本対談。梅の花がほころぶ。

伊藤: いままでの建築ってもう少し余裕があって、いろんな要素を混ぜなくても、部屋の単位で用途を分けやすかったと思うんです。だけど今回のような改修では、真鶴出版のやりたいことを全部詰め込んだらオーバーしてしまうから、どうしたら実現できるかと工夫が必要になるし、いろいろと共存させることがより建築のテーマになっていく。それがいままでの建築の考えと大きく違う部分で、そこに僕らも可能性を感じています。

冨永: もともとの相談内容もキオスクと宿と出版社という3つの違う要素を合わせた、複合建築みたいなものをつくりたいという話でした。でも建物は小さいわけで、最初からいろいろ重なった状態でスタートしていましたよね。

伊藤: オフィスの机にお客さんが座っちゃうっていうのは象徴的な話ですよね。

ハイライトは必要か?

川口: 塀を壊して新しく玄関を設けたのは、どんな発想から生まれたのですか?

伊藤: 実は初期案ではもっと大きな開口部があって、背戸道からふた間を通って反対側までスパッと抜けるようなものを描いていました。

冨永: だけど、おふたりにまち歩きに連れていってもらい話しているうちに、そんなダイナミックなこと必要なのかなあ? と思い始めました。ある意味、空間の特徴を一軸で貫いてしまうのが真鶴らしくないと感じるようになって。

塀を壊して新設した玄関。扉には、いかりの取っ手がついている。

塀を壊して新設した玄関。扉には、いかりの取っ手がついている。

伊藤: 最初の理想が現実にぶつかって、だんだん縮小していくのではなく、おふたりの生活の話やまち歩きからの気づきがあって、無駄な部分が削ぎ落されていった感じ。このプロジェクトを通じてなにが大切か、普段建築を考える視点も変わっていきました。それがいまの僕たちの根っこになっているなと感じます。

來住: うれしいなあ。

川口: どんなことが変わったのですか?

伊藤: これまでは、ドンっと強い建築のハイライトみたいなものを求めていました。いま振り返って感じるのは、例えば扉の取っ手になったいかりを触った瞬間とか、もっと小さな経験の中に大切なものを感じた。それは建築誌では切り取れないかもしれないけど、そういう小さな経験に興味を持つようになりました。

冨永: 真鶴を訪れた人が、この建築や真鶴のことを思い出すときに「あそこが良かった」という場所がみんなそれぞれ違うほうがいいなあと思うんですよね。酒屋の〈草柳商店〉がすごく良かったという人もいれば、釣りが楽しかったとか、干物がおいしかったとか、バラバラなほうが豊かなんだなあと思います。

トミトアーキテクチャの冨永美保さん。

トミトアーキテクチャの冨永美保さん。

冨永: だけど、同時に悩みでもあるんです。私たちはこの価値観にすごく意味があると思っているけど、建築業界の中でそれをどう伝えていくかが難しい。建築全体の議論になったときに、いわゆるハイライトがないと、「建築家として何をやったの?」と言われがちで。

來住: おふたりはいっぱい考えて、何度もプランを変更していたし、実際に最初から見ている私たちからすると、大きな変化を感じるんですけど、工事中を知らないお客さんにとっては、完成形の空間があまりに自然に感じるようで。最初にバンっとわかるのではなくて、あとから変化や良さがじわじわと伝わってくるようです。

冨永: それはうれしいですね。

伊藤: 先日、建築家の吉良森子さんがここを訪れてくださいました。吉良さんはもともと真鶴半島のことを知っていたのですが、真鶴出版2号店の空間を経験すると真鶴半島をより近くに感じて親密な体験に変わったと、こんな小さな建築を体験しただけで、半島の見方が変わったと言っていただけて、すごくうれしかったです。空間を体験して感じたことが、設計者の主張としてではなく、半島の体験の続きとして感じてもらうために、そこにどう補助線を引くかが私たちのデザインだったと思います。

人間関係で成り立つ仕事のシステム

伊藤: 施工期間を振り返ると、最初、解体から自主施工をして、その後、〈原田建築〉の原田登さんを中心とした真鶴チームが入って、最後に自分たちで仕上げをしていきましたね。建築家の僕らの責任としては、予算と理想をマッチさせる必要がある。だけど自主施工や読めない部分を最後まで先送りしながら進めてしまって、プロジェクト全体に負担をかけてしまったと反省しています。

一方で、最初から想定する規模で誰もが無理せずやろうとしていたら、きっといまのかたちにはならなかった。だけど、人が辛い思いをしながらどうにかでき上がる建築は負担が大きいし、それは良くない。難しいところです。

冨永: 郵便局の窓ガラスも、偶然にも施工期間中に出会えたじゃないですか。これもプロジェクトの期間が短かったら起こりえなかったことで、設計期間とでき上がるものの内容の差をどう捉えるか。今回はイレギュラーないろんなことが作用した特殊なプロジェクトだったなと思います。

郵便局からレスキューしたアルミサッシの窓。

郵便局からレスキューしたアルミサッシの窓。

來住: それって特殊だけど、真鶴だったらありえることだと思うんです。前に伊藤さんが「真鶴には日常の強度がある」と話していましたが、もしかしたら物は違ったかもしれないけど、何かしら集まってできるのは真鶴だったらありえるんじゃないかと思います。

伊藤: なるほど。僕らは原田さんをはじめとする真鶴の施工チームとのやりとりがすごくおもしろかったんですね。おふたりも真鶴に移住して暮らすなかで、干物屋さん、職人や大工さんなど、いろんな出会いがあると思うんですけど、今回のプロジェクトを通して、その人たちの生き方を見て、感じることはありますか?

川口: ちょうどいま原田さんに自宅の工事をお願いしているのですが、電気の見積もりを待っているとポロっと言ったら、原田さんから電気屋さんにすぐ連絡がいって、速攻で見積もりがあがって工事が始まって。本当に速いんです(笑)。

伊藤: それは原田さんの個性の話もあるけど、それだけじゃない気がしますよね。真鶴の建築のつくられ方や仕事の進め方は、都会のそれとはちょっと違う。

冨永: 無駄な経路がないんですよね。

來住 : 順序とかじゃなくて、もう電話すればいいじゃん! ってすぐに電話(笑)。私たちもここで暮らして思うんですけど、真鶴には暮らしと仕事の境目がないんですよね。原田さんと電気屋さんもすごく仲良くて、趣味の話を楽しそうにしていたり、ランチも一緒に行っていたりするし、職人さんたちには仁義があって、私たちが軽い気持ちで、お昼を出したり手土産を渡すと、必ず返してくれたり。それが真鶴らしさなのかなって、教えてもらった感じがします。

伊藤: 僕たちが別の案件でやった改修では、工務店が元請けとなって工程や見積もりを管理し、そこから各職人さんに仕事が発注されます。責任がよくできたシステムによって管理されている一方、人と人の距離を近づけすぎないものでもある。今回の真鶴では、大工さんを頭として、いろんな職人さんがいる。基本はまとめ上げるけど、全期間の管理をするわけではない。その仕事スタイルに驚いて、最初は戸惑いました。単純に古い、新しいとかじゃなくて、真鶴では人間的な部分で支えられている感じがすごくおもしろいなあと。いかりとの出会いもそうでしたね。

真鶴出版の川口瞬さん。

真鶴出版の川口瞬さん。

川口: 僕も真鶴に来てから仕事の価値観がちょっと変わりました。仕事ってスケジュールを立てて、まわりの人と調整して進めていくと思っていましたが、たぶん原田さんたちの世界では、工程表はいらなくて、信頼とか物理的な距離の近さがあるから、必要になったら電話で呼んだら来てくれる、みたいなことで成り立っている。それが実はアマゾンより速かったりする。

テクノロジーがなくても成り立っていたのが、だんだん分断して人と人との距離が離れていって、工程表をちゃんと決めないと仕事ができなくなり、スピードが遅くなり、いまそれをテクノロジーで近づけようとしている。実は前に戻っただけで、昔のほうが実は速かった、とも言えるかもしれません。

伊藤: 顔が見えるか見えないかって結構大きいですよね。

冨永: 真鶴でピザ屋さんをしている友人から「水道の調子が悪くなったとき、もともと頼んだ水道屋さんがすぐ来てくれたから、真鶴出版をお願いするときも、なるべく真鶴の人がいいと思うよ」ってアドバイスをもらったことがあります。一度やったから、最後までずっと見ていこう、という精神がある気がして、仕事としての時間の捉え方が長くていいなと思いました。

來住: それはきっと昔ながらの伝統を守るというより、必然的にこうなるのかなと感じます。どうしても真鶴半島だと、いいも悪いも噂が速いので、変な仕事ができないんですよね。どんな評判がどこでお客さんに伝わるかわからないことが大きいんだと思います。この前も商店街の魚屋さんが改修工事を原田さんにお願いしたみたいで、買い物で魚屋さんにばったり会ったとき、「原田さんにお願いすることにしたんだけどどう?」って聞かれたので、たくさん褒めておきました(笑)。

真鶴出版のドアに添えられたメッセージ「冷蔵庫に干物のお忘れ物はありませんか?」。

真鶴出版のドアに添えられたメッセージ「冷蔵庫に干物のお忘れ物はありませんか?」。

川口: この2号店をきっかけに、職人さんたちの別の仕事にもつながっていると聞きましたよ。

伊藤: 実は、僕らも継続して真鶴の施工チームと関わりたいと思っています。原田さんも、私たちとの図面のやりとりをスムーズにするために、ガラケーからスマホに変えてくれて(笑)。設計者と職人の距離感から、建築について考えたいと思っています。

真鶴を「自分ごと」にすること

伊藤: 2号店がオープンして、また新しい生活が始まったと思います。これからのライフスタイルとして「移住」のキーワードがすごく盛り上がっていて、おふたりはその文脈をどのように捉えているのか、都市と地方との関係のなかで、人が移動しながらどう新しい文化ができていると感じているか、聞いてみたいです。

冨永: 真鶴出版の場合は、地方にゲストハウスを構えてまちを歩いて案内するといったローカルに根ざした活動と、一方で出版という広いスケールの中で発信する極小と極大の2つのスケールを並走させている、そのミスマッチ感がすごくおもしろいなと感じています。

伊藤: 僕らも横浜の東ヶ丘で地域拠点型シェアハウス〈CASACO〉の運営に関わっています。そのなにがおもしろいのかというと、例えばスナックのイベントが始まって夕方頃に近所のお母さんたちが集まってきて、軒先でビールを飲んでいる姿を見ることで。それってなんか不思議な風景なんです。

冨永: 住宅地では珍しくて変な風景なんですけど、ここではこうしていいんだと思えるような場所があるのは、すごく豊かなことだなと思うし、ある意味、新しいカルチャーの芽生えを感じています。真鶴出版ではどうでしょうか。

真鶴出版の來住友美さん。

真鶴出版の來住友美さん。

來住: 最近、利用者からの話を聞いて気づいたのは、まち歩きをするとその人にとって真鶴が“自分ごと”になるということ。「自分もここで何かできるかな?」って考えたとき、真鶴ではすぐにアウトプットできる場があって、お店をつくったり、会を設けたり、何かできそうだとみんなが思えて、それをどんどん体現している気がするんですね。

この通りだったら、〈あけび屋珈琲〉さんとか〈ピザ食堂ケニー〉さんとか、逗子から美容師さんが来て月に1回美容室をオープンしてくれたり。業種や規模はいろいろあるけど、自分のやりたいことを実現していく人が、自発的に増えている感じがして。それは私たちがつくっているのではなくて、勝手に増えていっている。私としては、文化をつくりたいとか全然思っているつもりはないんですけど。

川口: 出版の部門では、まちを掘り起こすことをやりたいと思っています。この土地にある歴史や埋もれていたものを発掘して、人と接続できたらおもしろそう。それが文化なのかわからないんですけど、音楽や映画とかこれまでのカルチャーも歴史とつながっていると思うので、その一面はあるのかもしれません。

伊藤: めちゃくちゃおもしろいと思います。「自発性」って文化にとってすごく大事な言葉で、なぜなら、文化って計画できるかというとすごく難しいと思うんですよね。真鶴出版のまち歩きって、案内されている人にとっても大事な体験だし、一方で來住さんが歩き回る風景をまちの人が見ていて、それが繰り返されることがすごく重要。風景がまずきっかけにあって、そこから人が関心を持って、自発的にアクションできるプラットホームもある。そこに川口さんの編集の力で、土地の歴史や環境と結び直すことでより強度が出てくるんですね。

壁に設置されたライブラリーコーナーには、真鶴にまつわる書籍も並ぶ。

壁に設置されたライブラリーコーナーには、真鶴にまつわる書籍も並ぶ。

伊藤: おふたりにとって真鶴のエンターテイメントな部分は、どんなことがありますか?

川口: まちが変わっていくことや、偶然の出会いが楽しいですね。

來住: お客さんも毎回新しい人が来てくれるし、毎日誰が来るか誰に会うかわからないし、そこでどんな話をするかわからないし、本当にロールプレイングゲームみたいな状態です。この前は韓国人の方が来てくれたんですけど、それをきっかけに私たちがつくった干物の本の韓国版をつくってくれたんです。

伊藤: そんな出会いがあるんですね。

來住: なにが楽しいかって考えると、やっぱりベースは自分たちの暮らしにあるんですよね。いまのままでも真鶴がすごく好きなんですけど、パンがすごく好きだからパン屋さんあったらいいなあとか、気軽に髪を切りにいく場所があったらいいなぁとか思うから、新しい店ができるとうれしいし、自分たちが暮らしながら、もっと豊かになったら楽しいなぁって。

韓国語版『やさしいひもの』。

韓国語版『やさしいひもの』。

冨永: 変な質問ですけど、「今日はまち歩き面倒だな」と思うことはないですか?

來住: 私はすごく好きなので全然ないんですよ。つい長くやりすぎてしまうくらい。完全に趣味です(笑)。お客さんによって反応が全然違うのがおもしろくて。もっと見せたい場所があるのに時間が足りなくて消化不良なくらい。

冨永: 真鶴にどんどん若い移住者が増えているのはなぜなんだろう? とずっと不思議に思っていて、それが今日の「真鶴を自分ごとにする」という話で、ちょっと回路が見えたような気がしました。

真鶴出版2号店沿いの背戸道を歩く。

真鶴出版2号店沿いの背戸道を歩く。

來住: 私自身も移住者ですが、真鶴に来てから本当に価値観が変わりました。実家が横浜にあるんですけど、例えば選挙のとき、横浜では投票してもこの1票になんの意味があるんだろうって思っていたし、自分が生きていても、死んでいても、ほとんどほかの人には関係ないんだろうなと思っていました。

だけど、真鶴に来たら、昔の町長さんにすぐに会えたり、選挙で投票すると4票の差で町会議員が落ちちゃったり。自分のアクションが暮らしに反映されるし、ほかの人の暮らしにも影響するかもしれない。真鶴って小さいまちだからこそ、そんな感覚がすごくあって、生きている手応えを感じる。

それをここで小さく積み重ねていきたいし、同じ世代の人が、真鶴に2日間滞在するだけで、「まちに自分のことを知っている人がいる」という感覚を持って帰ってくれたらいいなあって思います。

伊藤: 歩いて回れるサイズの半島を共有して暮らすこと。その「近さ」が、都市とは違う人間らしさや信頼のかたち、生きている手応えの土俵になっているんでしょうね。観光はかつて非日常的なものに圧倒される経験でしたが、いまはむしろその手応えを確かめる経験という側面があるのかもしれません。

真鶴半島でいま起きていることは、新しい時代の手応えを探る数々の実践だと感じました。私たちも手応えのある建築をつくってみたい。そんなヒントを得ることができました。今日はどうもありがとうございました。

information

真鶴出版

住所:神奈川県足柄下郡真鶴町岩240-2

http://manapub.com/

writer profile

tomito architecture

トミトアーキテクチャ

冨永美保と伊藤孝仁による建築設計事務所。2014年に結成。主な仕事に、丘の上の二軒長屋を地域拠点へと改修した〈CASACO〉、真鶴半島の地形の中に建つ住宅を宿+キオスク+出版社へと改修した〈真鶴出版2号店〉ほか。受賞・実績として2018年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館出展、SD Review 2017入選、第1回LOCAL REPUBLIC AWARD優秀賞など。

credit

撮影:MOTOKO構成・文:中島彩

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