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移住者増加中!? 行政が変わりつつある下田市の移住事情

  • 2019年3月8日
  • コロカル
現在の下田市の移住事情は?

約2年前に下田市に移住した津留崎家。娘の小学校入学時には学童保育がなく、働き方を工夫していますが学童保育の整備も含め、少しずつ行政が移住に関する取り組みを始めたようです。津留崎さんが、市の移住担当者へ直撃インタビューしてきました。

学童保育にまつわるうれしいニュース

わが家が下田に移住してきたのが2017年の春、4月。その少し前、ちょうど2年前のいまごろ、現在の家に出会い下田移住を決めました。何かとその頃のことを思い出す季節です。

下田の海

移住先探しの旅の途中で立ち寄った、いま暮らす地区の高台からの眺め。こんな景色のまちに暮らすことにわくわくしたことをよく覚えています。

そして、春といえば桜。全国的には3月末からがシーズンですが、下田市を含む南伊豆地域には早咲きの河津桜があり、すでに桜シーズン真っ盛り。河津桜は2月中旬には咲き始めます。3月中旬まで約1か月という長い期間咲くのが特徴です。

河津町の河津桜

下田市内にもちらほらと河津桜はありますが、本場はその名前の通りお隣、河津町。多くの観光客で賑わいます。

南伊豆町の河津桜

そして、逆のお隣、南伊豆町の河津桜も負けてません。のどかな雰囲気がお好きなら南伊豆町がおすすめです。

そして、そんな春にうれしいニュースがありました。

この連載でも何度かお伝えしているように下田市の多くの地域では学童保育がありません。具体的には7校ある小学校のうち学童保育があるのは2校のみ。わが家の暮らす地域も整備されていません。

そんな下田市でしたが、来年度(2019年度)から新たな学童保育が1か所開設することになったのです(こちらは学校での学童保育でなく公民館での開催で小学校2校に対応するようです)。

さらに、もうひとつの小学校では学童保育を開設できる建物をつくるための予算が組まれ、来年度には建設が始まるといいます。つまり、7校のうち5校で、学童保育が整備されるメドがたったというわけです。

伊豆新聞

東京で暮らしていたときは自治体の予算がどのように使われるか? 正直、まったく興味ありませんでした。興味を持つには規模が大きすぎたのかもしれません。ちなみに下田市の予算は110億、杉並区1900億です。地方暮らしは自治体の予算がどう使われるか? が他人事でなく自分事なのです。その分、市民みんなが注目しています。(2019年2月21日付伊豆新聞)

そもそもは、地元の方の多くは親世帯が近くに住んでいることもあり、共働きであってもあまり学童保育の必要性がないのです。でも、親世帯が近くにいない家庭や子育て世代の移住者にとっては学童保育がないということは共働きができない、しにくいということ。

そして、わが家も共働きです。実はこの地域に学童保育がないということをちゃんと調べずに移住してきたという、抜けているわれら夫婦。都会の「学童保育はあるもの」という常識は地方では通用しないということに遅ればせながら気づき、ずいぶんと焦りました(移住を検討されている方はお気をつけください)。

下田の夕日

移住者に寄り添い始めた行政

そんな下田市は、わが家が移住した2017年4月に静岡県の市として初めて全域過疎地域指定されたことを受けて移住促進の取り組みを始めました。わが家はそうしたタイミングで移住してきたということもあり、下田市の移住促進のモデル家族に抜擢され、パンフレットや動画に出演。

下田市の移住促進パンフレット

このパンフレットや動画が完成したのは約1年前。完成に伴い、さまざまな移住促進の活動を開始するとも聞いていました。

でも、移住者を迎え入れる間口を広げるだけでなく、「学童保育の整備」というような移住後の暮らしやすさこそが大切なのでは? とも感じていたのです。

そんな思いもあり、娘の就学前には役所に出向いたり、「市長と語る会」という、市民と市長が話をできる場に参加して学童保育の必要性を訴えてきました。

市長と語る会

毎年開催される「市長と語る会」。こうした機会があるのはありがたいことです。

ただ、帰ってくる答えは、「ほかにも声はあがっているのですが、いまのところは予算がないのでできません……」という厳しいもの。

しばらく整備されることはなさそうな状況をみて、学童保育がないならば、と働き方を変え、家でできる仕事を見つけて対応しました。(vol.30参照)

でも、それはたまたま職場に恵まれただけで、多くの共働き世帯、または共働きを望む世帯にとっては「学童保育がない」ことはかなり厳しい状況といえます。

そんな声が少しずつ行政に届いたのか、娘が小学校に入学した昨年には、学童保育に関するアンケートがありました。これは……何か動きがあるのだろうか? そんな期待を胸にアンケートを提出。

そして、今回の学童保育整備の動きとなったわけです。

移住者だけでなく地元の方も含め、多くの希望があったからこその動きだとは思いますが、そうして声をきちんと拾い上げてくれる下田市の姿勢に、うれしくなってしまいます。

爪木埼灯台

移住に対する取り組みの話でいうと、実は、移住先探しの旅の途中、下田市役所に移住相談に行ったときには移住者向けのパンフレットもなく、具体的な話もあまり聞けずで、役所としての移住に向けての熱意はあまり感じられませんでした。

ただ、自然の豊かさとまちの人の温かさに惹かれ、そして、いまの家との出会いもあり、このまちに暮らすことになったのです。

わが家の庭の河津桜

家との出会いって本当に大切ですね。わが家の庭の河津桜も満開。

そして、わが家が移住して2年経ちます。先に紹介した下田市の移住促進のパンフレットや動画が完成して1年。完成に伴い始まった移住促進の活動は成果はいかがなものなのか?

移住後の暮らしやすさの向上ともいえる学童保育整備計画が発表されたこのタイミングで、市役所の担当者に、下田市の移住を取り巻く状況を聞いてきました。

下田市統合政策課・渥美大介さん

移住促進の担当の下田市統合政策課・渥美大介さん(お忙しいなか、ありがとうございました!)。

移住担当者にインタビュー

津留崎 率直にうかがいます。移住者は増えてますか?

渥美 移住者がどれだけいらっしゃるのか? って実はなかなか把握できないのです。もちろん市外から転居されてきた方の人数を調べることはできるのですが、その方が仕事で一時的に来られたのか、いわゆる移住なのか? は人数からはわかりません。

でも、市の移住相談窓口を通して移住を決める方は増えています。つい先日もいらっしゃいましたし、いまもう少しで決まりそうなご家族もいらっしゃいます。

津留崎 なるほど。移住促進事業の効果あり! なわけですね。では、移住の決め手となるのはよい家と仕事が見つかるか? にかかっているとも言えます。下田市は近隣の自治体ががんばっている「空き家バンク」制度がないのが気になりますが、こちらは何か動きはあるのでしょうか?(河津町や南伊豆町は「空き家バンク」が活発なのです)

渥美 近隣の自治体に比べて下田には不動産業者が多いので、移住者には業者さんを通じて探してもらうようになります。ただ、市ならではのネットワークもありますので「空き家バンク」の仕組みも整備する方向で動いてはいます。市内の空き家の持ち主さんに貸す意志があるか? 売る意志があるか? をヒアリングしているところです。

物件資料

この地区に暮らしたい! と決まったらその地区の人から情報をもらうと、掘り出し物物件に出会えるかもしれません、とのこと。先日、移住を決めた方は地区の方から家を紹介してもらったそうです。

渥美 仕事は観光と介護、看護の仕事は常に募集はありますし、最近はそれ以外の事務の仕事も増えてきました。

求人の検索結果

たしかに自分が移住してきた頃より多くの求人がありました。(下田のハローワーク求人情報)

津留崎 空き家バンクの情報が充実することは移住を検討している人にとってはとても魅力的なことですので、がんばって整備してください! ほかに移住者に有利な制度などありますか?

渥美 移住を検討するために下田市に滞在する場合、指定の宿泊施設であれば宿泊費の半額、上限1泊4000円を補助する制度があります。

民宿〈勝五郎〉

指定の宿泊施設には、この連載でも前々回取り上げた民宿〈勝五郎〉(写真)、前回の〈ガーデンヴィラ白浜〉など、わが家にとっておなじみの宿も。勝五郎もガーデンヴィラもオーナーさんは移住者なので、いろいろと相談に乗ってくれると思います。これは移住検討者にとってはありがたい制度ですね〜(わが家が移住先を探しているときにも使いたかった……)。

渥美 この制度は来年度も引き続き予算を組んでいるので、下田への移住を検討されている方はぜひご利用ください。あと、移住者に限られたことではないのですが、市内の所有物件のリフォームをする際には工事費の20%、上限30万円の補助金が出ます。(詳しくは下田市産業振興課 TEL:0558-22-3914)物件取得して移住をされる方は、リフォームされる方がほとんどかと思いますのでこちらもぜひご活用ください。ほかには、近隣のまちと合同で移住ツアーを企画したり、都内での説明会なども予定しています。

直売所南伊豆湯の花

先日行われた移住ツアーでは公共施設や直売所の見学、移住者との交流会があったそうです。そう、移住して大きく変わったことのひとつに「直売所」の存在があります。地物の新鮮な野菜、果物がとにかく安い! 食費が減って、そして豊かになりました(写真は直売所南伊豆湯の花)。

渥美さんにお話をうかがい、僕らが移住検討中だった頃とは市の移住に対する取り組みが大きく変わっていることを感じました。

こうした役所での業務と並行して、渥美さんはFacebookで「下田マニア」なるグループを主催されています。

多くは下田在住の方が参加しているグループなのですが、市に相談に来た移住検討中の方に下田の住民との交流のきっかけになってくれればとメンバーにお誘いしているそうです。渥美さんの話にあがった、最近移住が決まったという方もこちらのメンバーだったと。

この活動は個人としてのものですか? 役所としてのものですか? とお聞きしたところ、「半々ですね〜」と。

移住促進に役所の役割以上の関わり方をしている渥美さん。こんな取り組みが移住者増加の結果を生んでいるのでしょう。これはメンバーにならなければ……と入れていただきました。このグループを通じて移住が決まった方の歓迎会なども企画されていて、移住者歓迎のムードがうれしかったです。

下田の海。青い!

下田暮らしの醍醐味はなんといってもこの美しい海が身近にあること。仕事前にちょいと波乗り! なんて方もいらっしゃいます。

下田のこれから

ほかにも、建設中の伊豆縦貫道は、この2月に新たに一部区間が開通。沼津、三島といった地方都市や首都圏へのアクセスが向上(全線開通はいつ聞いても、あと10年……なのですが……)。これは、観光や物流の面からだけでなく、妻のように首都圏の仕事も続けるという移住者にとっても大きな利点となります。

またまた、いまテレビでよく流れている大物女優さんが出演するJRのCMは下田の絶景スポットを紹介しています。昨年、伊豆がユネスコ世界ジオパーク世界に認定されたこともあり、そのジオスポットが数多く点在する下田は、観光地として再び注目を集めているのです。

観光地として潤うということは雇用も生みますし、開業して商売を始めようという方にとっても可能性が広がります。

恵比寿島

CMでも登場した恵比寿島にはわが家もよく遊びに行きます。最近では娘の習い事がこの近くであるので遊びでなく日常的に行くようになりました。日常の中にある絶景。

なんだか今回は下田の宣伝みたいなことばかり書いていますが、学童保育の必要性を訴えてきた身としては、この学童保育整備のニュースはそれほどうれしくなる、希望に満ちた知らせだったのです。

「声があがれば変わるまち、下田!」

ということで、移住を検討中の方、さらに暮らしやすくなる「わがまち」下田へぜひ〜!!

チョコクッキーつくり

学校が終わると家に帰ってくる娘。近所に同級生が多くいるので放課後はお互いの家を行ったり来たり。子どもが歩いて行ける距離に友だちの家があるというのは田舎といっても田舎過ぎない下田のよさでもあると感じます。バレンタインデーはわが家でチョコクッキーつくりをしてました。本当は学童保育に預けるのでなく、こうして地域で子育てをするというのが理想なのかもしれません。

information

下田への移住相談

お問い合わせ:0558-22-2212(下田市統合政策課)

メール:tougou@city.shimoda.lg.jp

Web:下田市交流移住応援サイト応援サイト

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram

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