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展覧会にワークショップ、ソフトボールチームまで? 多様性あふれる地域の活動

  • 2018年7月6日
  • コロカル
イベント、ワークショップ、フォトコンテスト! 各人がやりたいことをやる

岩見沢の山里を舞台にして、自分たちに何ができるのか。それを探ろうと始めた〈みる・とーぶ〉という活動も、2年目を迎えた。メンバーは10名にも満たないが、時が経つにつれそれぞれの個性が際立ってきており、多様性あふれる展開が起こっている。

そのなかのひとつ。わたしが言い出しっぺとなって続けている企画が〈みる・とーぶSchool〉だ。現在、毎週木曜日に、毛陽の森をひとりで開墾したトシくんと一緒に畑で英会話という企画を開催するほか、1か月に1本のペースでゲストによるワークショップを開催している。

5月のワークショップは、ドイツ発祥のボール運動プログラム「バルシューレ」。地元に住み〈スポーツ ライフ デザイン いわみざわ〉というスポーツクラブを運営する辻本智也さんをゲストに招いた企画。

5月のワークショップは、ドイツ発祥のボール運動プログラム「バルシューレ」。地元に住み〈スポーツ ライフ デザイン いわみざわ〉というスポーツクラブを運営する辻本智也さんをゲストに招いた企画。

また、メンバーのひとり、地域おこし推進員(協力隊)の上井雄太さんが中心となって昨年に続き企画しているのが〈みる・とーぶフォトコンテスト〉。山里のひとコマをおさめた写真を募集し、入選者には賞品として、地元の商店のしめサバやラーメン券などをプレゼントするという企画だ。

昨年のフォトコンテストは、岩見沢の毛陽地区にある〈ログホテル メープルロッジ〉で展示を行った。今年は札幌市資料館で開催する『みる・とーぶ展』で展示予定。

昨年のフォトコンテストは、岩見沢の毛陽地区にある〈ログホテル メープルロッジ〉で展示を行った。今年は札幌市資料館で開催する『みる・とーぶ展』で展示予定。

フォトコンテストの企画から募集、展示などは、上井さんが中心となって進めている。6月末まで行った今年の募集は、予想以上の反響があった。

フォトコンテストの企画から募集、展示などは、上井さんが中心となって進めている。6月末まで行った今年の募集は、予想以上の反響があった。

そして、7月6日にいよいよ開催となる1年1度の大イベント。札幌市資料館で行われる展示では、メンバーであるインテリアデザイナーの吉崎祐季さんが、会場の展示プランを考えたり、地元の陶芸家や木工作家への声かけを行ったりしている。

展覧会にそなえて、作家の出品作をチェックしたり、展示什器をつくったり。大忙しの吉崎さん。

展覧会にそなえて、作家の出品作をチェックしたり、展示什器をつくったり。大忙しの吉崎さん。

イベント運営のほか、会場で展示販売をするために、吉崎さんと〈東井果樹園〉の東井永里さんは、蜜蝋キャンドルの制作にも励んでいる。ここまで紹介した4人がコアメンバーとなり、さらにはこの展覧会での配布をしようと「みる・とーぶマップ」という、地域の人々の活動を似顔絵つきで紹介したマップの改訂も行った。

〈みる・とーぶ〉はどこに向かおうとしているのか?

いま展示に向けて1週間を切った段階。それぞれ自分の仕事を抱えながら、合間を見つけての作業になることから、どうしても準備はギリギリになってしまう。しかも、集まったメンバーの性格からなのか、打ち合わせはいつも“ざっくり”。一応この会の代表であるわたしが、すぐに「まっ、当日なんとかなるでしょう!」と言ってしまうことも原因かもしれない。

イベントの搬入スケジュールやマニュアルなどはほとんどつくっておらず、急に前日にわたしが慌てたりするのだが、さりげなくメンバーの誰かがフォローしておいてくれるなど、いい加減に見えて意外にちゃんとやっているというような感じで、不思議とまわっていくところがおもしろい。

みる・とーぶは、これまでわたしが関わった団体のなかでも、特別な存在だ。以前、わたしが雑誌の編集長や副編集長だった頃は、明確に上下関係があり、会社組織であることから目的もハッキリしていた。その目的とは、雑誌の読者の興味をそそる特集をつくって売り上げを上げることだった。

対して、みる・とーぶの活動は、関わるメンバーですら「どこに向かおうとしているのかわからない……」と言うこともあるほど、曖昧な部分が多い。

大まかには岩見沢の山里のPRではあるが、観光協会が行うようなPRをわたしたちがするというのは、どうもピンとこない。いまのところは、とにかく自分がやりたいと思うことを“楽しみながら”やって、それが結果的にPRとなればよいというスタンスだ。

こんなふうに書くと、いい加減な団体と思われそうだが、例えば上井さんがずっとやりたいと思って温めてきたフォトコンテストの企画は、まさに自分のやりたいという気持ちと地域のPRという目的がピッタリと重なって実現したものだし、何か行動を起こし、それを発信することこそがPRにつながっているんじゃないかと思っている。

一方、経済的な側面を考えると、難しいと思う部分もある。いまのところ、この活動が生活の足しになっているかというと、なかなかそうも言いがたい(どちらかというと、持ち出し部分も多いかも……)。また、イベントやワークショップなどで、自分たちの時間がとられてしまうことから、本業への影響も少なくない。

本来なら、継続的に運営資金を得ていくために、もっとイベントなどでの売り上げを上げたり、ワークショップの料金を高めに設定したりしないとならないだろうが、もともと代表のわたしがビジネスとして成功させようとする思考が苦手なことも手伝って、どうも売り上げを伸ばす方向には向いていかない。

「う〜ん、こういう状態のままだと、続けるのは難しい?」と、自分でツッコミを入れることもあるのだが、一方で、ビジネス方向に向かわず、曖昧な部分を残したままで活動をすることに興味を持っている。

というのは、都会から田舎へ移住して、もっとも価値観が変化したのは「お金をそれほど稼がなくてもいいんじゃないか」という点だからだ。都会に住んでいると、ちょっと外へ出ただけで1000円、2000円と使ってしまう。また、家賃や教育にかかる金額も大きく、仕事をずっと続けないと暮らしていけないと心の底から思っていた。

けれど岩見沢に引っ越してみて、驚くほどお金を使わなくなったし、野菜や着られなくなった子どもの服をもらったりする機会も増えた。こうした地域だからこそ、ビジネス一辺倒ではない、みる・とーぶの活動ができるんじゃないかと期待しているのだ。

ソフトボールチームが地域の交流を生み出す

みる・とーぶという名前は、わたしたちが行っているイベントやワークショップ開催の活動だけでなく、実はもうひとつ、地域のソフトボールチームにも使われている名前だ。

昨年より栗沢ソフトボール大会に出場。出場するチームは町内会単位がほとんどだが、みる・とーぶは岩見沢の山あいの地域の人々で結成されている。もちろんみる・とーぶのコアメンバーも選手として参加(私は応援だけ!)。ピッチャーが吉崎さん、ショートにエリさん。

町内の名前が並ぶなかで、みる・とーぶという名前はかなり異色。しかも、ほかのチームは男性ばかりだが、女性がスタメンで登場するということもあって、目立っているところがとてもおもしろい。

昨年に続き、今年も1回戦で敗退。残念な結果ではあったが、悔しがりつつ、最後には笑顔。メンバーは以前から地域に住む人だけでなく、つい最近移住してきた人たちも参加しており、自然と交流が生まれていることが何より重要なことだと思った。

「みる・とーぶの“ぶ”って、部活の“部”なんじゃない?」ある友人が私にそう言ったことがあるが、あながち間違ってはいないのかもしれない。仕事か部活か? 曖昧模糊としているが、答えをすぐに出そうとせず、このまま試行錯誤を続けていきたいと思っている。

まずは、7月6日から始まる札幌市資料館の展示という、1年で一番大きな山を超えてから、新たな展開について考えていきたい。

information

北にあつまる手しごと展

会期:2018年7月6日(金)〜7月8日(日)

会場:札幌市資料館(札幌市中央区大通西13丁目)2階ミニギャラリー3〜6

開館時間:11:00 〜18:00(最終日は17:00まで)

writer profile

Michiko Kurushima

來嶋路子

くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長となる。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務というかたちで仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う〈ミチクル編集工房〉をつくる。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。http://michikuru.com/

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