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初夏の伊豆下田がアジサイと金目鯛で賑わう理由。「観光のまち」で暮らすということ

  • 2018年7月4日
  • コロカル
下田が誇るふたつの日本一

伊豆下田に移住した津留崎さん一家ですが当初は「観光のまち」に暮らすというイメージはなかったそう。でも、観光のまちが日常という暮らしも悪くなさそうです。今回は、〈あじさい祭〉と〈きんめ祭り〉で賑わう初夏の下田について。

なぜ下田で〈あじさい祭〉なのか?

わが家が暮らす伊豆下田は「観光のまち」です。移住を考え始めたときには、東京ではできない自然と近い暮らしをしたいと考えていたので、「観光のまち」に移住するイメージはありませんでした。

そんななか、移住先探しの旅を経て、結果「観光のまち」下田にたどり着きました。

下田には黒船・開国の港、ジオパーク、温泉といくつもの観光資源があるのですが、やはり一番の魅力は「海」の美しさかと思います。

海の近くの暮らしも考えていなかったのですが、いまはこんな贅沢なことはない、そう感じています。わが家から徒歩圏内の「外浦海岸」も、夏以外は人もまばら、プライベートビーチのよう。

ということで、夏が観光シーズン本番。初夏はその本番前に徐々にまちが賑わってきている感じです。下田が誇るふたつの日本一「アジサイ」と「金目鯛」を楽しめる、〈あじさい祭〉と〈きんめ祭り〉も、初夏の下田を盛り上げています。

今回は、そんなふたつの祭りのこと、「観光のまち」に暮らすことについて書きます。

下田駅から徒歩15分ほどの下田公園には国内最多の15万株、300万輪のアジサイが咲き、6月1日から30日までは〈あじさい祭〉が開催されました。

正直なところ、僕は公園にアジサイが咲いているからといって、わざわざ足を運ぶタイプではありません。でも、下田の知人たちが続々と、アジサイで盛り上がっている下田公園の様子をSNSにあげています。下田公園はわが家から車で10分ほど。休みの日にちょっと行ってみようか? となりました。

さすが国内最多株数! 特にアジサイに思い入れのない自分でも圧倒されます。でも圧倒されながらも「ところで、なんで下田に国内最多のアジサイ?」という疑問を感じてしまうひねくれ者の自分……。ちょいと調べてみました。

いまでは世界中でみられる花、アジサイですが、実は原産は日本。その中でも原種といわれる「ガクアジサイ」は伊豆に多く自生していました。

装飾花が、花のまわりを額縁のように囲う「ガクアジサイ」。

その昔、ひっそりと咲いていたガクアジサイは、実はあまり人気がなかったらしいのです。いま主流の、装飾花が手まりのように集まったアジサイは、江戸時代にヨーロッパに伝わり人気の花となり、改良を重ねて、日本に逆輸入された品種。

下田公園にはもともと多くのガクアジサイが自生していたそうですが、これを新しい観光資源に育てていこうと植え始めたのが、50年以上も前のこと。

いまでは立派に花を咲かせて観光客を楽しませています。ひと世代前の人たちの努力でまちが潤っている。刹那的になりがちな観光資源つくりですが、次の世代にも残るようなこんな動きから学ぶもことも大きいように感じます。

下田の代表的な食材「金目鯛」

そして、アジサイとともに6月の下田を盛り上げるのが、下田港が水揚げ高日本一を誇る「金目鯛」。

一年中とれる魚ですが、もっとも脂がのるのが産卵直前の6月。その時期に合わせて6月1日から30日まで〈きんめ祭り〉が開催され、「ふるまいキンメ寿司」などのイベントで観光客を楽しませてくれます。

下田に暮らし始めて1年以上が経ちますが、金目鯛がわが家の日常の食卓にのることはほとんどありません。大きいものになると1尾2000円以上、日常の食材としては値が張りすぎます。

でも、友人知人が下田を訪ねてきてくれたとき、そんな非日常の食材「金目鯛」が活躍するのです。金目鯛といえば、まずは煮付け。

下田の飲食店の食レポをする「下田食べ部」にお誘いいただき活動しております。先日は千葉に住む兄が下田に来た際に一緒に食べた「金目鯛の煮付け」の食レポを投稿しました。

そして、干物も美味。

絶品干物を炭火で焼いて食べさせてくれる人気店〈ひもの万宝〉にて金目鯛の干物をいただく。東京の友人とも何度も足を運んでいて、皆さん本当に喜んでくれます。下田へお越しの際は是非〜。わが家からは徒歩圏内なのでビール飲めちゃうのがたまりません……。

来客時に、その土地ならではの食材やそれをおいしく食べさせてくれる店がある。これは、移住するまではその必要性すら考えていませんでしたが、いまではとてもありがたいことと感じています。

そして、アジサイに続き金目鯛についても、なぜ下田で金目鯛? という疑問が……。こちらもちょいと調べてみました。

その名の通り金色の目、そして赤い魚体という華やかな色合いの金目鯛。「鯛」と名づけられているものの、実は鯛ではないそうです。深海魚のため捕獲できるようになったのは明治以降、食用として一般的になったのは戦後のことといいます。

当初は価値はあまり見出されていなかったそうですが、船の保冷技術などの進歩で新鮮なものが届けられるようになった40年ほど前から高級魚としての地位が確立。関東東沖から小笠原諸島、沖縄までの太平洋沿岸で漁獲されています。

深海魚のため一般的には漁場が遠いのですが、伊豆は沖に出るとすぐに深海という地形的なアドバンテージがあり、その中でも水揚げ量日本一を誇る下田は「キンメのまち」というイメージができていったそうです。

そんな下田では漁場や漁法により「地キンメ」「沖キンメ」と呼び方が変わってきました。「地キンメ」は近海でとる鮮度のいいもの。夜中に出てその日の昼過ぎに戻ってくるそうです。大型漁船で沖に出て、1週間ほどの漁をして大量にとってくるのが「沖キンメ」。

地キンメは鮮度が命、ということで、ほとんどが地元で消費されていて、ほかの地域に出回る金目鯛は沖キンメがほとんどだそうです。地キンメはこの地でしか味わえないご当地グルメといえます。

こうした四季折々に行われるまちのイベントは、日々の暮らしに彩りをそえてくれています。

冒頭にも書いたように、東京ではできない「自然と近い暮らし」をしたいと移住しました。移住してから養蜂場で働き始め、米づくりを始め、そして家の庭でも少しずつ野菜を育てています。

こうした暮らしをしながらも、「観光のまち」らしい季節ごとのイベントや祭り、また、この土地ならではの食材を楽しむこともできるのです。

最近は仕事も遊びも下田周辺で過ごしています。移住前には、気分転換したくなり休日には遠出をしていたことを考えると、随分と暮らしが変わりました。

梅雨も明け、いよいよ下田一番の観光シーズン「夏」がやってきました。いま、あらためて「観光のまち」で暮らすことにわくわくしています。

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram

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