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学童保育がなければどうする…? そこで、働き方を変えてみた!

  • 2018年2月15日
  • コロカル
状況が変わらないなら、自分が変わればいい!

伊豆下田に移住した津留崎さん一家。娘は4月から小学生ですが、学校近辺に学童保育がないことが判明。市長に直訴もしてみましたが、事態はすぐに変わるわけではありません。ならば、自分の働き方を変えるしかない!と、自宅でできる仕事を探すことに……。いくつものナリワイを持ちたいと考えていた津留崎さんの働き方に注目です。

自宅でできる仕事はないか?

東京で積雪があり交通網が大混乱した日。下田は降らず積もらずでした。屋外で作業していたら上着を脱ぐほどの暖かさ。同じ伊豆でも内陸の天城周辺はかなり積もったようですし、下田と同じ東海岸でも下田より北のほうでは積雪があったようです。

わが家はこの連載でもお伝えしていたように移住先を探す旅を経て、昨年4月にここ下田に移住してきました。移住先を決める条件のひとつが「暖かいところ」でした(寒いのが苦手なのです)。下田の冬のあまり厳しくない寒さに安堵しています。

そんな温暖な下田にはバナナの木があちらこちらに植わっています。知人に株をもらったので庭に植えました。少し苦くもほんのりとした甘さがおいしい実がなるようです。楽しみ!

そんなこの冬、僕の状況に動きがありました。

昨年秋頃より、「4月に小学生になる娘の学校近辺に学童保育がない」(vol.024参照)という事情から、自宅でできる仕事をつくらなければと考えていました。

学童保育がないので娘は昼過ぎに家に帰ってきます。共働きの僕ら夫婦は家事、子育ての分担は半々がモットー。なので、僕も週の半分は昼過ぎから自宅にいられるようにしたい、ならば自宅でできる仕事を、と考えていたのです。

家でできる仕事といえば移住当初から考えていたゲストハウス、民泊があります。いよいよやるか? と動き出そうかとも思ったものの、諸事情によりいまの家での開業は持ち越しとなりました。また宿泊業という地元の人と競合する業種で開業するよりも、地元の人が必要としている仕事をしたいという思いもありました。

では、何があるだろうか……。考えあぐねていると、工務店をやっている人がスタッフを探しているとの話が舞い込んできました。その時点ではどんな業務内容のスタッフを探しているのかまったく情報がなかったのですが、とにかく話を聞いてみよう。そうして、工務店〈山本建築〉を営む山本剛生さんにお会いしました。

自分のやってきたことを生かし、自宅でもできる仕事を

山本さんは経営者ですが大工でもあり、さらには設計もされているそうです。同じく大工だったお父さんが1978年に創業された会社を2002年に引き継ぎ、下田を中心に住宅、店舗の仕事をされています。

実はこの連載でもたびたび登場する〈TableTOMATO〉、もともとは洋服屋だった店舗を飲食店にリノベーションする工事をしたのも山本さんでした(妻のパンのイベントをさせていただいたのがTable TOMATOです)。

下田では出会う人たちが知り合い同士ということが珍しくありません。つながるつながる。

山本さんは設計、積算、業者への指示資料づくりなどの建築の専門的なデスクワーク、現場での施工管理ができる人を探しているそうです。

これからはホームページやブログなどでしっかり情報発信をしたいのだけど、山本さんは現場に事務作業に忙しく、そこまで手が回らないという話も。

僕は移住前、建築家の設計事務所やリノベーション会社で設計から施工管理までを経験してきました。工務店のホームページの立ち上げや運営、ブログでの情報発信も経験があります。自分にとっては最適ともいえる仕事です。

そして、デスクワークはパソコンとネット環境さえあればどこでもできます。自宅で仕事をすることについて聞いたところ、事務所が狭いので逆にありがたいくらいで問題ないとのこと。

でも、仕事内容は最適でも建築にはいろいろあります。僕も建築の仕事は長くやってきたのでそれなりにこだわりがあります。安普請の家づくりを仕事にしたくない、そんな思いもあります。そこはしっかり判断したいのです。

そして、最近完成した山本建築の設計施工による住宅を見せてもらいました。

正直、工務店が設計する家は、仕上がりはいいけど垢抜けない家が多いイメージがありました。でも、そのイメージはうれしくなるくらい見事に裏切られました。山本さんはこう言います。

「ハウスメーカーのありきたりな家では満足できないけれど建築家に頼むほどの予算もない。でも、こだわりのあるしっかりとした家をつくりたい。そんな層が安心して頼める工務店を目指しているのです」

とても共感できるスタンスです。

案件が増えてきて手が回らなくなってきたこともあり、人を探し始め、まず引っかかったのが僕だったというのです。

家でできる仕事という意味でも最適、求められる経験としても最適、やりがいも充分にあります。山本さんとしてもタイミングよく現れた僕に興味を持ってくれたようです。そうして、昨年末に山本建築への転職が決まりました。

妻の下田での初めてのまとまった仕事『伊豆下田100景』で撮影した〈ケークスカノン〉の店舗併用住宅も山本建築の設計施工だというのです。やっぱりつながる……。

でも、お世話になった看板づくりの職場にはなるべく迷惑をかけたくない。退職の日程を相談して1月末まで働くことになりました。そして、この2月より山本建築に籍を置き仕事をしています。

複数の仕事を組み合わせて働く

もちろん、vol.28で紹介した養蜂家、高橋鉄兵さんとのミツバチの楽園づくりは続けていきます。こちらはすでにライフワークのような感じです。

地方移住のネックとして「仕事がない」ことが言われます。下田の人にもよく「仕事ないよ〜」と言われました。確かに、正社員になろうと思うとかなり仕事の数は限られます。でも、まったくないわけではなく、例えば下田のハローワークの募集を見ると、ホテル、飲食店の観光業か資格の必要な介護・医療などの募集は常に出ています(「下田 ハローワーク」で検索すると確認できます)。

さらには、正社員でなければもっと選択肢はひろがります。実際、高橋養蜂も山本建築も雇用形態としてはアルバイトです。もちろん正社員に比べると収入は少ないですが、妻と僕の収入を合わせればどうにかなりそうです(わが家の収支については前回、妻が検証しています)。

このようにいくつかの仕事を組み合わせる働き方は雇用側の負担も少ないという利点もあるように感じます。だからこそ自分が楽しめる仕事、自分が必要とされる仕事と出会えたのかもしれません。

いくつかの仕事をして感じた地方と都会のつき合い方の違いが、仕事上のつき合いの人でもすぐに家族ぐるみでのつき合いになるところです。

例えば、高橋養蜂の鉄兵さんとは、まさに家族ぐるみな感じ。妻も娘も鉄兵さんのご家族の方々にはよくしていただいてますし、鉄兵さんがわが家でごはんを食べていくということも。いまでは娘の友だちまですっかりなついてます。鉄兵さんは「娘さんのことを第一に考えて仕事してください」とありがたい言葉をかけてくれます。

4月には娘が小学生になります。学校が終わる昼過ぎに、僕か妻のどちらかが自宅にいる態勢をつくることができました。「学童保育がない」という悩ましい問題があったからこその新しい展開ともいえます。

正直なところ、「学童保育がない」という状況に腹をたてていた時期もありました。でも、状況に腹をたてても仕方ない、自分が変わればいいのだと思い直してからは、すんなりとうまくいった気がします。物事は意外とそんなものなのかもしれません。

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram

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