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日本一早い紅葉、大雪高原の沼めぐり。心を奪われるほど美しい絶景と秘湯へ

  • 2017年9月26日
  • コロカル
秘境と呼ばれる、大雪山の紅葉の名所へ

陽の光に輝く赤、紅色、黄色、オレンジ、深緑の織りなす心奪われるほどの紅葉が、登山道の先にある沼地を包むように、次々と現れます。

ここは日本の紅葉の始まる地、北海道の大雪山国立公園の深部にあたる大雪高原。ウラジロナナカマドやダケカンバなどの高山帯の落葉広葉樹と、針葉樹のエゾマツ・トドマツが入り混じった混交林が特徴で、秋には、火山活動によって生まれた沼とともに、独特の色彩豊かな紅葉が広がります。

この大雪高原に点在する大小10個の沼をめぐる「大雪高原沼めぐり」コースは、紅葉のピーク時は多くの登山客でにぎわう、北海道屈指の紅葉の名所です。

冬季間は道が閉鎖されるため年間123日しか営業していない秘境の宿〈大雪高原山荘〉。建物裏には硫黄の煮え立つ沼〈ボッケ〉が。散策のあとは日帰り入浴にぜひ立ち寄って。

沼めぐりの入り口、〈大雪高原山荘〉へは旭川空港から車で約2時間、柱状節理の峡谷で名高い層雲峡から40分。大雪山最高峰旭岳の真裏にあたり、上川国道と呼ばれる国道273号線から、川沿いの険しく細いダート道を20分ほど注意深く進んだ先、標高1260メートルの高所に位置しています。

北海道の中でもかなりの秘境、だからこそ残された美しい風景に出会えるのが沼めぐりの魅力。9月中旬から10月までの間に、ぜひ足を延ばして訪ねたい場所です。

〈ヒグマ情報センター〉の建物やコース内にトイレはないので、出発前には駐車場に設置されたトイレを利用して。

まずはヒグマ遭遇のレクチャーから

沼めぐりコースのスタート地点は大雪高原山荘隣の、周辺のヒグマの動向を毎日監視し発信する〈ヒグマ情報センター〉。大雪山は、かつてアイヌの人々に「カムイミンタラ」と呼ばれた理由を「クマの遊ぶ場所」とする説(『知里真志保地名小辞典』)があるのもうなずけるほど、ヒグマの多く生息する地です。入山前に15分ほどのレクチャーを受けて気を引き締めたら、沼めぐりへいざ出発。

ヒグマ情報センター内にあるヒグマ情報板。赤は個体発見、青は足跡、緑は食痕など、形跡があちこちに。本来一周できる右コースが台風被害で通行止めなので、現在は折り返すかたち。

国立公園として守られているコースの行き帰りには内外の種などを持ち込まない・持ち出さないため、小川で靴を洗います。

大雪高原山荘から最初の沼までは、澄み切った空気を吸い込み、水辺を覆う巨大なミズバショウの群落や紅葉を眺めながら歩いて1時間ほど。登山やトレッキング初心者でもトライできるコースです。今回は旭川の〈大雪山倶楽部〉のガイド、浦 幹生さんに見どころを案内してもらいながらコースをめぐります。

沼をめざして、トレッキングスタート

入り口ではほぼ緑だった木々は、次第に黄色や赤が入り混じっていきます。山歩きについ集中しがちですが、視線を上げると、高いところや山々にも秋の色合いが見つかります。

北海道で一番長い石狩川の支流、ヤンベタップ川を越えれば、沼はもう少し。川のそばにはヤンベ温泉と呼ばれる噴気孔があり、水蒸気の煙をもうもうと上げる姿も見ものです。手前には、ヒグマ情報板にも記載があった、1か月ほど前のヒグマの落し物が残っていました。大自然のなかに深く分け入っていることを実感しつつ、さらに進みます。

ヤンベタップ川からしばらく進むと深い森を抜け、広い高原に出ます。かつては沼だったというこの湿地帯の周りの木々は、思わずカメラを構えたくなるほど鮮やかな紅葉が始まっていました。

湿地帯を抜けると、ついに最初の沼〈土俵沼〉に到着。木道を進んだ先に広がるこぢんまりとした沼を囲む紅葉は、息を呑む美しさです。

沼の手前で振り返ると、江戸末期に北海道を探検した松浦武四郎に由来し、かつては〈松浦岳〉と呼ばれていた〈緑岳〉にきれいな赤い帯が見えました。

「あの赤は、主に高山帯に生えるウラジロナナカマドの紅葉による色。今日は雲に隠れていますが、その奥の〈白雲岳〉の紅葉も見どころのひとつですよ」

と浦さん。天候によって出会える風景は異なるものの、日に日に色づく山々は一期一会の姿を見せてくれます。

まだまだある、個性豊かな沼めぐり

紅葉の見頃には多くの登山客で混み合う大雪高原。細い道が多いので、譲り合いながら行き交いましょう。そして、多くの人がじっとカメラを向ける見どころ、3番目の〈滝見沼〉で山肌の紅葉と相まって錦絵のように広がる風景は、ずっと眺めていたくなる美しさです。

大雪高原沼めぐりコースは全長7キロ。最も奥にある〈大学沼〉までは往復で4〜5時間の行程で、今回は途中にある〈緑沼〉で折り返す往復3時間のコースを選択。下山時刻が決まっているため、天気、時間や体調によってコースのめどをつけておくのがベストです。最初の土俵沼から緑沼までは距離も近く、次々に現れる沼の紅葉を楽しむことができます。

コース内で飲食可能な3か所のうちのひとつ、緑沼にてしばし休憩タイム。浦さんが手持ちのお湯で淹れてくれたコーヒーは絶景の中で格別のおいしさ。贅沢なひとときを過ごしたら、来た道を戻り、再び風景を楽しみながら帰路につきます。

山の天気は変わりやすく急な雨も予想されるので、帽子や防水の上着、ザックカバーなど、特に天気の優れない日はしっかり装備して沼めぐりを楽しみたいところ。天候によっては足元がぬかるみ状態の場所もあるため、登山靴に防水のスパッツか、底の厚い長靴がおすすめ。大雪高原山荘のレンタル長靴(600円)も利用できます。最高峰の旭岳が9月上旬〜中旬に初冠雪を迎える大雪山では、寒さ対策も必須。フリースなどの防寒具も持参して。沼めぐりの最後はお楽しみ、大雪高原山荘の温泉で汗を流しましょう。

大雪高原山荘の温泉は100パーセント源泉かけ流し。硫黄が香る白濁したお湯はまろやかな肌あたりで、登山の疲れをすっきりと流してくれます。まわりの山々を眺めながらじっくり温まれる露天風呂もおすすめ。もちろん宿泊も可能で、ほかに光のない夜の入浴では、満天の星空が見られるそう。

営業時間は限られているものの、奥の食堂でのランチもおすすめ。山荘そばや高原カレーなど単品のほか、12時半までの来館で、入浴前にフロントで予約する〈日帰り入浴セット〉(1600円)が人気です。ニジマスの串打ちや山菜料理の折詰弁当とともにきのこ鍋というセットをめがけて、早くに沼めぐりをして温泉に浸かり、ランチをするのもよさそう。

営業は1年間で123日だけ!?

古くは大正時代から存在を知られていた大雪高原温泉。開かれたきっかけは、1954年の〈洞爺丸台風〉による大雪山の甚大な倒木被害を受け、処理のため地元上川町の林業関係者が分け入って発見し、活用されたことに始まります。やがて、作業に携わった山歩き好きな故・立岩吉松さんが、山荘の前身となる〈大雪高原ヒュッテ〉を建設。彼は作業中に大雪高原の多くの沼を発見したことから、登山客のための沼めぐりコースづくりも手がけたと伝わっています。

「狭い川沿いの道を登った先、開けた風景に佇む大雪高原山荘は、まさに非日常の空間。ここでゆったりとした時間を過ごしていただきたいですね」

と語ってくれた支配人の小林さん。深い自然とともに美しい景観に会える山奥の、心安らぐ湯宿。いつまでも記憶に残るような紅葉が待つ大雪高原沼めぐりと合わせて、123日の短い営業の間にぜひ足を延ばして訪れたいスポットです。

紅葉ピーク時期の9月中旬から10月頭までは、混雑緩和のためマイカー規制が行われ、大雪レイクサイトでシャトルバスに乗り換えて移動します。期間やシャトルバスの時刻などは上川町のサイトでチェックを。

information

大雪高原沼めぐりコース

入山時刻:7:00〜13:00

下山時刻:15:00

開山期間:6月下旬〜10月上旬

※紅葉の状況や大雪高原沼コースのオープン、クローズなど詳しい情報は、層雲峡ビジターセンター(01658-9-4400)へお問い合わせください。

※2017年紅葉期の大雪高原山荘までの車両交通規制は、9月21日〜10月1日(上川町のHPより)

information

大雪高原山荘

住所:上川郡上川町層雲峡高原温泉

TEL:01658−5−3818

営業期間:6月10日〜10月10日

食堂営業時間:11:30〜13:00(日帰り入浴セットLO12:30)

日帰り入浴:10:30〜17:00(最終受付)

入浴料:大人700円、小学生以下350円

宿泊料金:本館大人1泊12570円〜

駐車場:あり

Web:http://www.daisetsu-kogen.com/index.php

information

大雪山倶楽部

住所:旭川市豊岡2条8丁目4番21号

TEL:0166−31−8228(080−5591−0809/代表・愛澤美知雄)

http://www.daisetsuzan-club.jp

photographer profile

Asako Yoshikawa

吉川麻子

フォトグラファー。北海道苫小牧市生まれ。札幌市在住。2006年からのスタジオ勤務を経て2011年より独立し、フリーランスとなる。主にポートレイト、衣食住、それらに関わる風景など幅広く撮影。おいしいものといい音楽があると笑顔になります。気のいい犬1匹と現在二人暮らし。

writer profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。旅粒http://www.tabitsubu.com/

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