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キャンプの恵み

Vol.66 『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』

  • 2014年9月25日

花  この夏は、大雨とそれにともなう災害や事故のニュースが何度も流れ、強く印象に残りました。
 観測史上最大の雨量を記録した地点も多くあり、確かに、異常だなぁと感じることもありました。しかし同時に、テレビの報道の中には、異常気象であると強調するあまり、誤解を招くことになりはしないかと感じるようなものもありました。
 自然災害は、思いがけない自然の変化によって引き起こされます。自然の中の事故も、その影響を受けている場合が多いものです。しかし、どんな災害や事故にも、人災の要素は必ず含まれています。異常気象、異常気象と繰り返す様子に、そこばかりにフォーカスを当てることで、本来、改善しうるはずの人が関係する要素に目をつぶることになりはしないかと懸念を抱きました。

 『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』というのは、江國香織さんの小説のタイトルです。アメリカのとある川のほとりで見かけた「It’s not safe or suitable to swim」という看板から取ったとのこと。その表示は、概ね「遊泳禁止」を意味しているのだけれど、「そうは言ってもね‥」という緩さが残されているところがおもしろいなぁとおもいます。
 実際のところ、自然というのは人が完全にコントロールできるものではなくて、どこか「安全でも適切でもない」要素をはらみます。そのことを理解して、事故を起こさず楽しめるように工夫をするのが知恵というものです。そして、キャンプのような自然の中での活動は、そうした知恵を身につけるためのものでもあります。

滝  「異常」とか「想定外」という言葉は、時に、人を「どうにも対処しようがない」という思考停止に導くことがあります。そうした思考停止ワードが大量に流れる時代にあっては、多勢に無勢ということになってしまいますが、キャンプを通じて、時に安全でも適切でもないことのある自然の中へ子どもたちを連れて行くことが、いっそう大切になってくるのだろうとおもうのです。


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