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キャンプの恵み

Vol.41 キャンプの効果と評価の時間軸

  • 2013年9月26日

 ニュースとしてはもうすっかり忘れられていると思いますが、6月のおわりに、ある民間登用の小学校長が就任から3か月で退職したという報道がありました。いろいろと批判もありましたが、登用の経緯とも関連してくることなので、ご本人の判断の是非をここでどうこう言うつもりはありません。ただ、3か月という判断を下すまでの時間の短さが気になって、“3か月”たってもモヤモヤとしています。

 スピードが勝負の証券マンだった方だとのことなので、彼にとっての3か月は、判断を下すまでの期間としてはむしろ長すぎるくらいなのかもしれません。しかし、小学校教育の場に同じ時間軸を持ち込まれたのは少々ショックでした。こんな調子で短期的な評価、判断が、教育のさまざまな場面で絶対的な意味を持つのはあまりいいこととは思えません。キャンプの立場から見ると、こういう性急さには危機感さえ感じます。

 もちろんキャンプでも評価は求められますし、どのような成果を上げるかについては意識します。ただ、あまりにも短期的な評価にどれだけの意味があるかは未知数です。たいていのキャンプは、特定の科目や技能を学んだりすることが目的ではありませんから、評価を数値化することがそもそも難しいものです。

 もっと言うと、キャンプの究極の目的は「よりよい社会づくりに貢献できる、まっとうな市民を育てる」ということなので、「結果は大人になってからのお楽しみ‥」と言っていいでしょう。そうなると評価の時間軸は、ぐ〜んと80倍(20年間)くらいには広げなければなりません。

 さすがにこれは極端な話ですが、評価の時間軸をどう設定するかというのは、悩ましい問題です。短い時間軸でエビデンス(統計学的もしくは科学的根拠)を求めようとすると、差異を明確にするために条件をある程度そろえることになりがちです。しかし、キャンプは一人ひとりの個別性も大事にされる場所なので、精緻なデータ分析をしようとすると目的からずれてしまうという矛盾が生じます。

 だから“3か月”という期間について、3か月の間、ずっとモヤモヤとしているのです。


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