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キャンプの恵み

Vol.32 キャンプにふさわしい場所

  • 2013年5月23日

 つい先日、夏に行うグリーフキャンプの会場を検討するために、秋田へ行きました。訪れたのは田沢湖畔の小さな集落。そこには40年ちかく前に廃校になった、小さな分校の建物があります。

 建物に入ると「わぁ、なつかしい」と思わず声が出ます。古い木のにおい、歩くとキシキシ音のする廊下、教室の黒板に柱時計。私が生まれ育ったのは瀬戸内海の小さな島ですから、秋田の小学校との共通点はあまりないはずです。それでも、節穴のある板張りの床や少し窮屈な机と椅子、校庭の大きな桜の木、校舎の脇を流れるきれいな小川などを見ては、喜々として「いいなぁ」「いいなぁ」と口にするのです。いっしょに出かけた2人も同じような調子で、「ここでキャンプしたいね」と意見が一致しました。


初めて来た場所なのになぜかなつかしくて、ほっこりした気分になります。


校舎脇の小川には、水芭蕉が咲いていました。
 もちろんその判断基準には、必要な設備が整っているかどうかや、キャンパーにとってふさわしい場所かどうかということがあるのですが、同時に「自分にとって心地よい場所かどうか」という基準も含まれていることを白状しなくてはなりません。自然と口をついて出た「いいなぁ」という感想は、あくまでも、そのときの素直な自分の気持ちです。

 「まずはキャンパーを考えるべき」と怒られてしまうかもしれません。でも、キャンプを行うとき、スタッフが機嫌よくキャンパーを迎えることはとても大切です。だから、スタッフにとって快適な環境も重視したいのです。

 ただし、快適と言っても、都会での生活で求められるそれとは違います。温度変化のない空調や5分おきに時刻表通りやってくる電車は、確かに私たちの生活の快適を担保しています。でも同時に、少々ナーバスな印象もあります。電車が10分遅れれば、簡単にイライラしてしまいますからね。

 そうではなくて、視界に入ってくる空の高さを含めた広々感、何らかの工夫が必要なことを前提とした便利さ(つまり、そんなに便利じゃない)なども加味しながら、キャンプにふさわしいのんびりとした快適を大事にしたいと思います。少々の予定変更には動じず、ご機嫌にキャンパーとの時間を過ごしたいものです。


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