グリーフキャンプは、少し風変わりなキャンプと言えるかもしれません。 もちろん、基本は楽しい活動なのですが、「なくなってしまったもの」をていねいに思い出すための時間が加えられているのは、ちょっと普通のキャンプとは言えない部分です。「覆水盆に返らず」ということわざは、「過ぎたことを嘆いても仕方ないのだから、考えるのはやめなさい」というニュアンスで使われることが多くあります。確かに、取り戻すことができないという意味では、嘆いても仕方ないのでしょう。でも、そこで「考えるのはやめなさい」としないのが、グリーフキャンプです。 「考えたっていいよ。でも、ひとりで苦しくならないでね」というのが私たちのスタンスですから、おのずとキャンプの雰囲気も少し変わったものになります。
今、私たちが行っているグリーフキャンプでは、いろんなタイプ(年齢や性格、経験もバラバラ)のスタッフが、たくさん参加しています。子どもは、そもそも一人ひとり違うものですが、「なくしたもの」について考えるとき、もっとずっと個別性が高まります。だから、気持ちを言葉にするときに「あのね」と話しかける大人には、いろんな人がいるほうがよいと思うのです。お兄ちゃんのような人と話したいときもあれば、お母さんのような人と話したいときも、おじいちゃんのような人と話したいときもあります。また、考える時間から離れて遊びたいときは、いっしょに跳びはねてくれる人がいいでしょう。
私たちは、学んできたことやこれまでの経験から「この方法がよい」と思っているのですが、別の立場から見れば「この方法は変」ということもあるわけで、「絶対的に正しいキャンプ」などというものが存在しないことを痛感するのです。 |