3度目のグリーフキャンプは、3月末に余島という瀬戸内海に浮かぶ小さな島のキャンプ場で行いました。場所の選択は、私たちがどんなキャンプを行いたいかということと密接に関係します。実は、東日本大震災で大切な人を亡くした子どもたちを対象としたキャンプを始めるときから、「いつかは海のキャンプをやってみたい」と思っていたのです。 東日本大震災では、津波が多くのもの奪っていきました。しかし、津波の被害を受けた地域に暮らしてきた人たちは、ずっと海に愛着を感じ、海の恩恵に感謝しながら生きてこられたのです。子どもたちにとっては、海は楽しい遊び場所だったかもしれません。だから、海が怖い存在や、憎い存在のままであったら悲しいなぁと思っていたのです。もう一度、海との親しい関係を結ぶきっかけとなるようなキャンプが、いつかできたらいいなと考えていました。 もちろん、海に対する思いはそれぞれですから、「2年たったから大丈夫」といった単純なことではありません。実際、「やっぱり海が怖いから」とキャンセルした子もいました。保護者へのアンケートの中にも、海に対する不安がかすかに感じられるものがありました。ですから、私たちも少しばかり心配していたのです。
キャンプ最終日の子どもたちは、「本当に楽しかったよ〜!」というオーラを振りまいていて、海でのキャンプをエンジョイしたようでした。 「地震が起きたら、どこへ逃げるの?」と聞いてきたり、海のプログラム中に「ここで津波が来たらダメだね‥」などと言ってみたり、スタッフが内心ドキッとするような言動はありました。しかし、そのあとも浜辺で遊ぶことをやめるわけでもなく、少なくとも瀬戸内海の穏やかな海を怖がってはいなかったようです。 子どもたちがこの先、どんな未来を生きていくかはわかりません。けれど、ふるさとの自然とよい関係を結び直すことはとても大切だと思うのです。穏やかな海辺で過ごした楽しい時間が、彼らの未来につながることを願っています。 |