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キャンプの恵み

Vol.24 不安からの逃れ方

  • 2013年1月31日

 3度目のグリーフキャンプの準備が進んでいます。参加申込書が届く度にうれしい気持ちになるのですが、そこに見慣れた名前を見かけると、一段とうれしくなります。そんなうれしさに存分に浸れるほど、リピート率は優秀です。どうしてでしょうか?

 このキャンプは、東日本大震災で大切な人を亡くした子どもたちを対象としたものです。その体験は私の想像を超えるもので、彼らの本当の気持ちをわかってあげることはできないだろうと思います。ただ、彼らが寄る辺のなさを感じ、ときには大きな不安にさいなまれることもあるだろうとは想像できます。

安全な環境でココロの中を表現してみることも、不安から逃れる方法を学ぶことにつながります
安全な環境でココロの中を表現してみることも、不安から逃れる方法を学ぶことにつながります

 みなさんは、体が締め付けられるような不安を感じたことがありますか?思考の全部が不安にからめとられて、身動きがとれないような感じ。これを放っておくとどんどん泥沼化して、ときには自死のような悲しい結末に至ることさえあります。けれどこんなときは、あるひとつの選択肢にとらわれて、この先には最悪の結果しかないと思い込んでいるにすぎません。

 その状況で不安に負けないようにするには、まずは逃げることです。ただし、単なる現実逃避ではなく、「楽しんでいる自分」とか「建設的な自分」を自分自身に見せつけることのできる逃げ場所が必要です。たくさんの子どもたちがまた戻ってきてくれる理由のひとつは、このキャンプが彼らにとっての「希望ある逃げ場所」になっているからではないかと思います。


穏やかな海を眺めながら、いろんな話ができるといいね
穏やかな海を眺めながら、いろんな話ができるといいね

 「逃げる」というとネガティブな印象を与えるかもしれません。でも、目の前の不安はたくさんある可能性のひとつに過ぎないのですから、それに押しつぶされるくらいなら、ひとまず逃げて視点を変えてみるのもひとつの手です。不安のネタが転がっている日常生活とは違う環境の「現実の逃げ場所」が、不安から逃れる方法を学ばせてくれるのではないでしょうか。

 次のキャンプは瀬戸内海の小島で行います。お天気に恵まれれば、カヤックなどの海のプログラムも楽しめそうです。新しいことに挑戦して、楽しんで、大切な人のことをていねいに思い返す。そのことを通じて、不安とうまくつきあえる強さを身につける。キャンプがそんな場所になればよいなと考えています。


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