真剣な顔で挑んでいるのは、カラフルなロウソクづくりです。
「ねぇ、遊んでもいい?」
朝霧高原でのグリーフキャンプの中で、子どもたちがスタッフにこうたずねる姿を何度か目にしました。もちろんほとんどの場合、答は「いいよ」です。なにしろ、キャンプでのいちばんの“仕事”は楽しむことなのですから。
確かに安全管理の面からは、子どもから確認してくれるほうが安心です。「子どもだけでは、広場より遠くに行かないでね」といったふうに、注意することもできますから。それにキャンプ中には、参加者全員で活動する時間があったり、食器の片付けなど分担して行う仕事もあることを考えると、大変お行儀のいい態度と言えるのかもしれません。だから、キャンプの運営者の立場ではありがたいのだけれど、個人的には「別にいちいち聞かなくてもいいのになぁ」とちょっと思ったのも事実です。
「今はこれがフツーなの。おじさんの時代の子どもとは違うよ!」ということなのかな?それとも、校庭に仮設住宅が建って遊び場が減っていたり、親戚のうちでの暮らしで彼らなりにがまんするところもあるから、遊びたくてうずうずしてて、声に出して言わずにはいられないのかな?そんなふうに考えつつ、「とまれ、安心して遊べる環境が提供できたのなら、よかった、よかった」と、子どもたちが騒いでいる姿を眺めていました。
霧雨の中でも、変わらず元気でした。
キャンプ2日目の夜には激しい雨が降り、テントの中はかなり騒々しかったはずなのですが、子どもたちは平気な顔で3日目の朝を迎えていました。淡い霧雨の中、楽しそうに歌をうたっている姿を見たとき、『雨に濡れても(Raindrops Keep Fallin' On My Head)』が口を衝いて出てきました。
不運をかこちながらも、文句を言って雨がやむわけでもないし、ぼくは自由なんだから心配することはないさとうたうこの曲は、バート・バカラックの弾むようなメロディの心地よさもあって、私のお気に入りのひとつです。こんなふうに「なんとかなるさ」という楽観的な心持ちで、子どもたちが毎日を過ごせるとよいなと、祈るような気持ちで見ていました。