このキャンプをなにより楽しみにしている10年選手、20年選手のボランティアが多くいます。
日本人とアメリカ人を比較したとき、ある社会的な問題に対して「これは行政の仕事だ」と考える比率は大きく異なるのではないかと思うことがあります。もちろん、アメリカ人の方が行政の役割を小さく見積もっていると言えるでしょう。だから、何か問題が生じたときに何らかのアクションを起こすのは、ごく当たり前の市民の仕事だととらえている人が多いような気がします。
El Tesoro de la Vidaは、Camp Fire USAという団体の主催するキャンプですが、その運営のほとんどは多くのボランティアによって支えられています。そして運営には1,000万円を超える費用が必要ですが、それも大部分は寄付によって支えられています。
「肉親との死別によって苦しんでいる子どもがいる」
これは社会的な問題と言えるでしょう。そこで「行政が対策をとるべきだ」と考えるのと、そんなことを考えもせず「これは市民の仕事だ」と行動を起こすのと、どちらがより正しいとは言えません。制度化される方が普遍的な対策が可能となるでしょうが、問題解消の着手には時間がかかってしまいます。やはり、どちらにも一長一短があります。
日本について考えると、社会的な問題に対してこれまでは行政頼みできたけれど、なんだか雲行きが怪しくなってきたぞというのが、多くの人の印象ではないでしょうか?その印象が正しいとしたら、「市民の仕事」が広がっていくのは時代の趨勢ということになります。
オリンピック中だから、ダンスパーティにシンクロチーム(?)が乱入。「市民の仕事」は楽しまなきゃソン!
このキャンプは、「肉親との死別によって苦しんでいる子どもがいる」という問題を前にして、「じゃ、とにかくキャンプをやってみよう」と始められ、25年をかけて大きな成果をあげてきました。そのフットワークの軽さは東日本大震災においても発揮され、私たちがグリーフキャンプについて学ぶ大きなきっかけを与えてくれたのです。
日本でもすでに多くの「市民の仕事」が始められており、それを支える層も少しずつ厚くなってきています。私たちもEl Tesoro de la Vidaをひとつのお手本として、キャンプを通じた「市民の仕事」を広げていきたいと思います。
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