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セブンイレブン「24時間営業」破りの店舗オーナーへの同情論は正しいのか?

  • 2019年4月14日
  • Business Journal

「日本企業には優れた技術があるが、マーケティングのノウハウがないために海外企業に負けてしまう」という解説がよく聞かれ、書店にはマーケティングに関する書籍があふれているなか、本連載でもマーケティングの基礎の基礎を解説している。今回はセブンイレブンのフランチャイズ店舗である東大阪南上小阪店が、本部に無断で24時間営業から営業時間を短縮した一連のニュースに着目し、チェーン店とは何かを考えていきたい。解説は立教大学経営学部教授の有馬賢治氏だ。

●仕入れ価格の交渉がしやすいチェーン店

――チェーン店にはどのような種類があるのでしょうか。

有馬賢治氏(以下、有馬) まずは「フランチャイズ・チェーン(FC)」。FCは独立したお店が本部と一対一で契約をし、店舗名称、経営ノウハウを使用する代わりに、本部にロイヤルティを支払うチェーン形態で、今の日本ではもっとも一般的ですね。次に「レギュラー・チェーン(RC)」は、ひとつの会社が直営店を経営する形態で、11店舗以上で展開する百貨店、有名アパレル専門店、ホテルなどがそれにあたります。さらにスーパーの全日食や名古屋を中心に展開する家電のコスモス・ベリーズなどの「ボランタリー・チェーン(VC)」という独立した店舗が自主的に集まり、ゆるやかに共同しているチェーンもあります。

――チェーン店のメリットは?

有馬 まず、店舗運営や従業員研修などのマニュアルを一つ作れば、複数の店舗で利用できる点があります。また、店舗間で情報共有ができるので、売れ筋商品を見つけやすくなる側面や、顧客側からするとよく知っているお店だけに入店に心理的抵抗が少なく利用しやすい気持ちにさせられることも挙げられます。そしてなんといっても、本部が一括して大量に仕入れることにより、卸売業者やメーカーとの仕入れ価格の交渉がしやすくなるのが大きなメリットといえます。

――個人店よりも仕入れ面で有利になると?

有馬 そうです。マーケティングの4P(Product「製品」、Price「価格」、Place「流通」、Promotion(販売促進))における流通、つまり“マーケティング・チャネル”の話になりますが、コンビニ、個人店を含めた「小売店」とは基本的には仕入れた商品を販売するお店をさします。仕入れには問屋やメーカーから買いつける必要があるのですが、一店舗の小売店では販売できる量に限りがあり大量には仕入れられません。

 一方、チェーン店は一括して大量に仕入れられるので、販売者との値引き交渉がしやすくなるメリットが生まれるのです。また、物流の面を考えても、同じ理由でチェーン店のほうが利便性や効率のうえで有利であるといえます。

●世間のニーズに応じて変革が迫られるコンビニ業界

――物流システムもそれによって構築されているでしょうし、店によって営業時間や契約が違うと、本部としてはややこしそうですね。

有馬 東大阪南上小阪店の営業時間短縮の件は、契約上では店舗側のルール違反なのです。ロジスティクス(物流)の観点から見ると、コンビニでは全ての加盟店が24時間営業だからしっかりと回っているという現状があります。道路が空いていて店内にお客さんが少ない深夜帯に搬入することでピークタイムにしっかりと商品を陳列できるわけですから、これが崩れてしまうと本部は上質なサービスの提供ができなくなってしまうのです。

――世間は本部のために過酷な労働を強いられるフランチャイズオーナーに同情的な姿勢で、「コンビニは24時間営業である必要がない」との意見も多くあります。

有馬 労働力不足の観点から、現実にコンビニ本部のルールが合わなくなっている側面もあると思います。だとすれば企業としてはそれに対応しなくてはなりません。そもそも朝7時から夜11時まで空いているから「セブンイレブン」という店舗名だったのを、時代のニーズに合わせて24時間営業が拡大し、それに対応できるシステムがつくられました。

 現代は食品ロスによる環境問題や働き方改革について敏感な世の中でもありますから、企業としては今までのような一律の契約ではなく、店舗に合わせた柔軟な契約の締結や、物流を含めてそれに対応可能なシステムをつくらなくてはならない時代に突入したということでしょう。大変かもしれませんが、それが今のコンビニ業界に求められているのです。

――それには店舗側の協力も不可欠ですね。

有馬 はい。単独で小売店が生き残っていくには過酷な時代です。本部と店舗の間で自立的な意見交換や情報共有を定期的に実施して、小売店の必要性と地域社会での存在意義などを改めて広く議論するべき時代に入ったということでしょう。

――ありがとうございました。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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