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世界でも稀な日本の医療保険、支払う保険料「100万円」はまったく割に合わない

  • 2019年2月7日
  • Business Journal

 今回のテーマを見て、「医療保険が100万円?」と疑問に思った人はいませんか。テレビCMや新聞、雑誌の広告などで、みなさんにもすっかりお馴染みとなった医療保険は、安いものでも月1,500円程度の保険料になります。これは、年間で1万8,000円の出費です。30歳女性が平均余命の88歳まで支払うと、104万円になります。月3,000円の保険料を、40歳男性が同じく82歳まで支払うと150万円以上にもなるのです。これは、決して安い商品ではなくて、高額商品と言っていいのではないでしょうか。

 生命保険の保険料は、住宅ローンの返済額と同じように、月々の負担額を見るだけでなく、その総額を把握することが大切です。たかだか月に2,000、3,000円と思っていると、結果的に大きな金額を支払ってしまうことになるのです。

 したがって、医療保険は、月1,500円の商品として考えるのではなく、100万円以上の高額商品として、それを買うことの要否を真剣に考えてみなければいけません。

●医療保険の現状とその歴史

 医療保険の契約件数は、なんと日本全体で約3,700万件にもなり、老若男女、日本国民すべての3人に1人が契約している計算になります。これは、終身保険など他の保険種類を含めたなかで最多の件数です。

 なぜ、医療保険はここまで日本人に浸透したのでしょうか。

 そもそも医療保険という商品は、昔からあり、終身保険や定期付き終身保険という死亡保険の保障内容を補う「特約」というかたちでつけられていました。それが、医療保険単体として売られるようになったのは40年ほど前からで、特に21世紀に入って、米国の保険会社アメリカンファミリー生命(アフラック)が一生涯保障の終身タイプを大々的に売り出したことで、今や終身タイプが主流になり、各社がこぞって医療保険を販売しています。ちなみに、がん保険でもお馴染みのアフラックは、日本法人ではなく、米国の保険会社の日本支社にしかすぎません。なぜそんなことをわざわざ言うかといいますと、アフラックがここまで市場で知名度を上げたのは、日本における医療保険やがん保険の販売に、米国の圧力が少なからずあったからです。

●医療保険は何を保障してくれるのか

 さて、医療保険の一般的な保障内容としては、病気やけがで入院したら、日額5,000円とか1万円の定額の給付金が、入院期間に合わせて支払われる仕組みで、その他、手術をした際には入院日額をもとにした手術給付金が支払われるようになっています。

 最近では、入院の実費を支払う医療保険も登場してはいますが、入院日数や手術の形態をもとに定額の給付金が支払われるものが主流です。例えば病気で10日間入院し、手術をした場合は、日額5,000円☓10日+手術給付金5万円=10万円が支払われるというような商品です。

 こうした医療保険は、米国や欧州にはない日本独特の商品です。ここまで医療保険が日本で浸透した理由を考えてみますと、テレビや新聞を通してさんざん目にする広告宣伝によって、みなさんが医療費の負担に対して漠然とした不安を持ってしまっているからではないでしょうか。その不安が払拭され、医療保険の役割をしっかりと認識することで、医療保険の必要性に関して、みなさんなりの整理ができると思います。

 医療保険という高額商品を購入する前に、みなさんにぜひとも知っておいてほしい点は、次の3つです。

●1.医療費の負担には上限があります

 日本は国民皆保険制度で、みなさんはなんらかの健康保険に加入し、その証として「健康保険被保険者証(保険証)」を持っています。それがあることで受けられる保障の内容は、(1)窓口での3割負担、(2)高額療養費制度、(3)傷病手当金です。(3)については、前々回の就業不能保険のところでお話ししました。今回のポイントは、(1)と(2)です。

 医療費は決して安くありませんが、みなさんが病院やクリニックで治療を受けて、会計の窓口で支払うのは、実際の治療費の3割です。これは、処方された薬代も同じです。そして、入院や手術をして、3割負担の医療費すら高額になったときには、月々の負担の上限があり、その額は給与などの所得によって決まっています。年収が370万円以下であれば、おおよそ6万円、年収が770万円以下ならば、9万円です。しかも、負担が上限額に達した月が3カ月以上になると、上限額はそれまでよりも下がる制度になっています。つまり、健康保険のお陰で、医療費の負担が際限なく大きくなることはないのです。

●2.医療保険からの支払いには限度があります

 一方、民間の医療保険には、一般的に支払額に限度があります。最近の医療保険は、1回の入院日数の制限が60日のものが主流です。それは、保険会社にいわせると、入院日数が少なくなってきているからということです。

 したがって、どんなに重い病気やけがで、どんなに長く入院しても、医療保険から支払われる額は、日額5,000円の医療保険であれば、5,000円☓60日=30万円と、手術をすれば手術給付金が支払われるだけだということです。

●3.医療保険から得られる効用は保険料にまったく見合わない

 保険とは、そもそも起こってしまうと大きなお金が必要になることに備えるのが本来の目的です。死亡保険であれば、まさかのときに支払われるお金(保険金)は、1,000万円単位になることも珍しくありません。一方、医療保険は先の例のようにせいぜい数十万円です。

 保険は損得勘定だけでその必要性を考えるものではありませんが、医療保険から支払われる給付金は、みなさんが生涯に2カ月以上にも及ぶ入院を2、3回して、やっと支払う保険料に見合うということです。そして、支払った保険料に見合うわずかばかりの効用を医療保険から得られる人は、本当にごく一部の人だということです。

 これらの点は、みなさんが医療保険という高額商品の購入を考える際には、ぜひ頭に入れておいてください。しなくてもいい不安を抱いたり、テレビCMや新聞広告に踊らされたりしていては、家計は一向に楽になりません。
(文=藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表)

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