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新千歳など北海道7空港一括民営化、入札は出来レースか…地元企業びいきで他社は当て馬との見方も

  • 2018年10月13日
  • Business Journal

 国土交通省は、2020年6月から段階的に民営化を始める北海道内7空港の運営委託先の募集に対し、4陣営から応募があったことを明らかにした。そこから3陣営に絞り込み、2次審査を経て19年7月に委託先を決める段取りだ。

 民営化の対象となる7空港は、国が管理する新千歳、函館、釧路、稚内、道が管理する女満別、市が管理する帯広、旭川。空港の施設の所有権を国などに残したまま、運営を民間に委託する。

 委託開始時期は新千歳が20年6月1日、旭川が同年10月1日、稚内、釧路、函館、帯広、女満別が21年3月1日を予定している。7空港を一括して運営する方式で、委託期間は原則30年。災害など不測の事態が起きれば5年まで延長を認める。

 ドル箱は新千歳(16年度の収支は84億2600万円の黒字)だ。国が管理する函館(同2億5100万円の赤字)、釧路(同6億6800万円の赤字)、稚内(同6億3600万円の赤字)、道が管理する女満別(同7億8600万円の赤字)、市が管理する帯広(同2億8900万円の赤字)、旭川(同3億5600万円の赤字)の6空港は赤字経営である。

 請け負う側としては、欲しいのは新千歳だけだろう。そこで、募集にあたって縛りをかけた。7空港のうち、どこかひとつでも運営をやめると、委託契約そのものを解除できるようにした。つまり、7空港の一体運営が絶対条件なのだ。

●最低入札価格は720億円

 国交省は企業名を明らかにしていないが、報道によると1次審査を通過したのは3陣営。

 ひとつは、新千歳ターミナルビルを運営する北海道空港(HKK)や東京急行電鉄、三菱地所、日本政策投資銀行など10社で構成する日本企業の連合。

 外資系はフランス空港運営会社バンシ・エアポートが関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港の一体運営をしているオリックスと組んだ。16年4月に民営化した関西・伊丹空港は、バンシとオリックスが出資する関西エアポートが経営主体だ。

 もうひとつのフランス勢はフランスのパリ空港公団(ADP)。地元の加森観光や東武鉄道と連合した。ADPはパリのシャルル・ドゴール空港を運営しており、道内観光の担い手である加森観光が加わる。

 地元では民営化を、観光産業などを育てる好機と捉えている。道内の空港の年間利用者を15年度の2660万人から30年度に最大3500万人に増やすことを目標に掲げる。北海道を訪れる中国や韓国などの観光客が急増していることから、外資系が手を挙げた。

 しかし、空港の利用者は新千歳に集中しており、赤字が慢性化している6空港を浮上させるのは至難の業だ。

 どの陣営に運営が委託されるのか。過去の例を見てみよう。

●地方空港には政治的忖度が働く

 地方空港の民営化の第1号は16年7月の仙台空港。宮城県外の企業が代表となっている4グループが入札に参加。東京急行電鉄や東急不動産など7社が設立した「仙台国際空港」が運営権を得た。

 第2号は18年4月に民営化した高松空港。香川県を地盤とする企業などの地元連合や大手不動産会社など6グループが応札。三菱地所や大成建設が立ち上げた「高松空港」が運営することに決まった。だが、地場連合が敗れたことで、のちのち政治問題化する。

 19年4月に民営化予定の福岡空港が3番手。5グループが応札し、1次審査を3グループが通過。九州電力や西日本鉄道と、三菱商事、シンガポールの空港運営会社チャンギ・エアポート・グループが手を結んだ「福岡エアポートホールディングス」が優先交渉権を得た。

 福岡空港は、1次審査前にはオリックス・東急・三菱地所連合が最強と取り沙汰されたが、早々と落選。「政治決着が図られた」との声がある。

 というのも、オリックスは関空・伊丹・神戸空港を手に入れている。東急は仙台、三菱地所は高松の運営権を獲得。3社ともすでに利権を得たと認定されたのかもしれない。

 高松空港では四国のマンション分譲で首位の穴吹興産を中心とする地場連合が負けたため、「地方創生といいながら、地方をないがしろにしている」と強い反発が起きた。

 そのため、福岡では「国は地方を大切にしている」ことを示さなければならなくなり、早い段階で「地場連合で決まり」と取り沙汰されていた。

 20年4月に民営化する予定の熊本空港が4番手となる。三井不動産を核に九州産業交通ホールディングス、九州電力、テレビ熊本、再春館製薬所など九州連合がひとつになった。住友商事を中心とするグループや清水建設が束ねるグループが2次審査に進んでいる。熊本でも“地場連合”が優勢と伝えられている。

 こうした過去の審査過程を精査すれば、北海道7空港民営化の委託先が、おぼろげに見えてくる。

 新千歳の旅客ビルを50年以上運営してきたHKKを核とするグループが地の利を生かせるのか。「外資系は当て馬にすぎない。HKK企業連合で決まり」というのが関係者の見立てだ。
(文=編集部)

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