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家具転倒防止&ブロック塀撤去…自治体の補助金活用マニュアル!高齢者には無料サービスも

  • 2018年7月3日
  • Business Journal

 またもや、痛ましい犠牲が出てしまった。6月18日に発生した大阪北部地震で、倒れてきたブロック塀の下敷きになり、高槻市の小学4年生の女児が亡くなった。同じく、民家のブロック塀の倒壊に巻き込まれた大阪市東淀川区の男性が死亡。ほかにも、倒れてきた家具に挟まるなどして2名の方が亡くなっている。心からご冥福をお祈りいたします。

 災害が起きたとき、普段は自分を守ってくれるはずの家やその付属物が凶器になることがある。1995年に発生した阪神・淡路大震災では、数多くの家が倒壊した。国土交通省の「阪神・淡路大震災による建築物等に係る被害」によると、死者5502人のうち、「家屋、家具類等の倒壊による圧迫死と思われるもの」が約9割を占めていたという。

 さらに、現在の耐震基準を満たしていない1981年以前に建築された建物の被害状況が大きかったとして、対策の必要性に触れている。1981年6月1日以降に建築された「新耐震基準」の建物より、同年5月31日以前に建てられた「旧耐震基準」の建物のほうが、耐震性はかなり劣る。そのため、自治体は主に1981年5月31日以前に建築された住居に対し、耐震診断や改修費用の補助を行っている。

 筆者も地震が起きるたびにこうした制度を紹介してきたので、ここでは多くの文章は割かないが、我が家あるいは実家が旧耐震の建物に該当すると思われる場合は、自治体の制度を早めに確認し、ぜひ対策を取ってほしい。

●ブロック塀の撤去等に助成金が出る自治体は多い

 しかし、今回の大阪北部地震は阪神・淡路大震災とは様子が違った。先に書いたように、死亡した方は建物ではなく、ブロック塀や倒れてきた家具によって命を失っている。

 この地震の後で自宅の近所を見て回ったが、道路との境に古いブロック塀を備えている一戸建てはかなりの数があった。特に、透かしブロック(模様の入ったブロック)を使っている塀は、内側に鉄筋が通っていない可能性があると聞くが、そういう仕様のものもかなり多い。国土交通省によると、倒壊の危険度を下げるために「ブロック塀には直径9mm以上の鉄筋が縦横とも80cm間隔以下で配筋されているべき」というのだが。

 ブロック塀の倒壊は人の命を奪うだけでなく、崩れたブロックが道路をふさぐことで避難や救助活動に支障をきたす恐れもある。耐震基準を満たしていない古い塀は、地域全体の防災面から見ても対策が必要だ。そうした事情もあり、ブロック塀等撤去工事にかかる費用を助成してくれる自治体はけっこう多い。

 建物の耐震改修には二の足を踏んでも、「ブロック塀なら」と前向きに考えられる人もいるだろう。また、倒壊の危険がある危険なブロック塀と知りつつ放置していた場合、もし他人に被害を与えたら損害賠償を求められるケースもあり得る。そうならないためにも、対策は急ぎたい。

 たとえば東京都の場合、台東区では道路に面した高さ1.2mを超えるブロック塀等で安全性に支障があるものを撤去・改善する工事に対し、工事費の2分の1以内で15万円を限度に助成してくれる。台東区のホームページには、わかりやすいイラスト付きでブロック塀の安全性がチェックできる点検表が公開されているので、ぜひ参考にしよう。

 ブロック塀の撤去だけではなく、撤去後に生垣をつくることで助成金が出る自治体もある。墨田区の「緑のへい助成制度」では、道路に面した沿道部分に新たに生け垣や植樹帯を設置する際、植え込み地の長さまたは面積に応じて補助金が交付される。

 生け垣の場合、植え込み地の長さ1mにつき2万円で限度額40万円だが、ブロック塀等を取り壊した後にこれらを設置した場合、1mにつき1万円が加算されるという。目黒区の場合は、ブロック塀などの撤去に長さ1mあたり9000円、その後の植栽は樹木に応じて長さ1mあたり1〜3万円まで(新しく植栽する場合)、最大40万円までの助成が受けられる。

 東京の例を挙げたが、全国の都市にブロック塀撤去の助成制度がある。お住まいの自治体ホームページで、「ブロック塀撤去助成」「生垣助成」などのキーワードを入れて調べてみるといいだろう。

●高齢者世帯向けには家具転倒防止の助成も

 大阪北部地震で死亡要因のひとつになったのが家具の転倒だ。この転倒防止に対しても、実は自治体の補助がある。

 墨田区では、家具転倒防止器具や割れたガラスが飛散しないための防止フィルムの取り付けを1回まで行ってくれる。家具転倒防止は1万4500円まで、ガラス飛散防止フィルムは1万7500円までが取り付け費用の上限だ。ただし、対象となるのは満65歳以上の人や障害を持つ人などに限られる。

 練馬区も同じ条件の住民を対象に、取付工事費用2万円を限度に助成(器具代は全額自己負担)。足立区は利用できる世帯の範囲が若干広がり、60歳以上の住民がいる世帯、障害を持つ家族がいる世帯、住民税非課税世帯が対象。3万円を限度に、家具転倒防止器具取付工事・窓ガラス飛散防止工事・ブロック塀倒壊防止工事の助成をしてくれる。

 このように、多くの自治体で助成対象を高齢者世帯など支援が必要な住民に限っているが、ユニークなのは渋谷区の補助。家具転倒防止金具等を購入した世帯に対し、1万円を上限に1回限りで補助を行うという。しかも、申請時に区内に居住し、住民登録している人なら対象になる。すでに器具を購入していても、領収書があれば申請できる。なお、高齢者等向けにはほかの区と同様、家具転倒防止金具の取り付け、ガラス飛散防止フィルムの貼付、寝室や廊下などにある家具の移動を無料で行っているので、それもあわせて利用したい。

●怪しげな業者の話を聞く前に、自治体へ相談を

 今回の地震では広範囲にわたる建物倒壊などはなかったものの、これまで見過ごされがちだった身近な危険性があらわになったようにも思う。どこにでもあるブロック塀や部屋の家具や窓ガラスが命を左右する、という危険性が。

 特に高齢者世帯では、家のメンテナンスがままならないことも多いだろう。さらに、こういう時期は詐欺まがいの怪しげな業者もやってくる。「防災の相談は、まず自治体にしてほしい」と親にも伝えておこう。

 耐震改修の相談やブロック塀の撤去、家具の転倒防止工事など、これだけ細かいメニューが用意されているのだ。自己判断で工事を始める前に、費用助成の対象になるものはないか、信頼できる業者のあっせんはしてくれるか、などを問い合わせることが肝心だ。自然災害は、いつ誰の身に降りかかるかわからない。公的な制度を利用することで自分のお金は節約し、いざというときのために現金を確保しつつ、災害への備えを固めよう。

※助成制度は2018年現在のものです。助成を受けるための詳細な条件や手続きは各自治体にお問い合わせを。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)

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