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「家選び」より「場所選び」?東京、地価が上がるor下がるエリアの見分け方

  • 2018年5月11日
  • Business Journal

 2018年3月下旬、国土交通省が同年の地価公示を行いました。全国2万6000地点の地価を国土交通省の土地鑑定委員会が調査、1月1日現在の正常価格を公示するもので、市場へも大きな影響を与えます。

 その結果をみると、地域によって地価の優勝劣敗がますます鮮明になっています。これから住宅選びを行うのであれば、その資産価値を考えた場合には、地域選びがたいへん重要な問題になってきます。そこに永住するのだから、資産価値は関係ないというのなら問題はないのでしょうが、いずれ売却の可能性もあるという人は、ぜひ注意しておいていただきたいところです。

●住宅地の全国平均は10年ぶりに上昇

 まずは図表1をご覧ください。18年の地価公示、住宅地の全国平均は前年比0.3%の上昇で、リーマンショック以前の08年以来、10年ぶりの上昇になりました。ただ、上昇率は0.3%ですから、まだまだ横ばいといっていいレベルかもしれません。底堅い動きになっているのかどうかは、19年以降の数値を見る必要があるのではないでしょうか。

 一方、商業地は1.9%の上昇と16年以来の3年連続での上昇を記録しました。それも、0.9%→1.4%→1.9%と着実に上昇幅が拡大しており、かなり底堅い動きになってきたといえます。

●住宅地の上昇の波は地方圏にも広がる

 さて、住宅地の動きを少し細かくみてみましょう。

 まず、都市圏別では、三大都市圏平均が0.7%の上昇で、東京圏は1.0%、大阪圏は0.1%、名古屋圏が0.8%の上昇でした。それに対して、地方圏は−0.1%とまだ厳しい環境ですが、それでも、マイナス幅は16年の−0.7%が17年には−0.4%になり、今回は−0.1%ですから、着実に改善に向かっていることは間違いありません。

●地方四大都市では前年比3.3%の上昇

 なかでも、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市平均は3.3%と東京圏よりも高い上昇率を記録しました。16年は2.3%、17年が2.8%でしたから、地方四市の住宅地は強含みで推移しています。

 しかし、それ以外の地方圏に限ると、18年でも−0.5%でした。16年の−1.0%、17年の−0.8%からジワジワと改善していますが、それでもまだまだ水面下の厳しい環境にあるといわざるを得ません。

●上がる土地と上がらない土地の格差拡大

 10年前の08年を100とした指数でみると、図表2にある通りです。全国平均では86.0ですから、まだリーマンショック以前のレベルにはほど遠い状況です。100を超えているのは、復興需要に沸いた宮城県の103.3と沖縄県の103.7のみです。次いで、愛知県が98.0と100に近いところまで戻っていますが、東京都は92.7でまだ低い水準にとどまっています。

 最も指数が低いのは秋田県の65.1で、次いで高知県66.0、徳島県66.7などが続いています。よくいわれているように、秋田県は全国のなかでも最も人口減少が激しい県であり、それが住宅地の動向にもハッキリと反映されているようです。

●人口減少と地価の下落は符合している

 この地価の下落は、秋田県だけの問題ではなく、人口の減少とみごとに符合しています。図表3は、国立社会保障・人口問題研究所が15年を100としたときの、総人口が30年、45年にどうなるのかを推計したものです。
 
 人口が増加する、あるいは減り方が少ない上位には、東京都、沖縄県、愛知県や首都圏の各県が上がっています。地価公示で上昇率の上位に上がっている宮城県、福島県は復興需要の影響であり、長い目でみればいつまでも上昇が続くものではないでしょう。

●秋田県では45年には15年の6割弱に

 反対には、総人口が減少するトップは秋田県で、45年には15年の58.8%にまで減少します。現在の6割以下の人口に減ってしまうわけです。これでは、土地へのニーズが出てきようもありません。こうしたトレンドを見込んで、地価が下がるのは当然でしょう。そのほか、地価下落率上位の四国の各県や東北各県が人口減少の上位にランクされています。人口減は地価下落に直結しているのです。

 これは、都道府県単位だけの話ではありません。同じ都道府県内でも人口の増減は起こっており、それが地価に反映されることになります。

●都心からの距離で変動率には大きな差

 各都道府県内の自治体別にみてみましょう。

 地価公示において、東京都では荒川区の6.1%をはじめ、高い上昇率を記録した市区町村が多いのですが、あきる野市と青梅市だけはマイナスでした。これをやはり国立社会保障・人口問題研究所の推計と対比してみましょう。

 東京23区では45年段階でも人口は増加する見込みですが、都下では減少が見込まれるところが多いのです。なかでも、図表4にあるように23区は45年でも、中央区は15年比で34.9%増加するなど、軒並み増加が見込まれています。それだけ将来性があるとみられているわけで、当然地価にもそれが反映され、公示地価の上昇率が高くなっています。

●東京都でも福生市の人口は4割近く減少する

 反対に、都下でも福生市などは人口の大幅な減少が見込まれており、地価の上昇率は低くなっています。なかでも、青梅市の公示地価は依然として0.8%のマイナスで、地域としての将来性の低さが地価に反映されているとみるべきでしょう。青梅市在住の方には申し訳ありませんが、それが現実のようです。

 隣の神奈川県でも、横浜市、川崎市、相模原市の政令指定都市の各区の公示地価はすべてプラスだったものの、三浦市−5.1%、南足柄市−3.0%、横須賀市−2.6%などマイナスの都市が多くなっています。何しろ、住宅地としても観光地としても人気の高い鎌倉市でも−0.1%ですから、大都市圏でも中心部への集中度が高まり、人口が減少する周辺部はジワジワと厳しくなっていることがわかります。

●大都市圏こそ駅近立地が評価される

 18年の地価公示において、国土交通省では最寄り駅からの距離別の平均変動率を算出しています。図表5をご覧ください。三大都市圏では最寄り駅から0.5km圏内の住宅地は1.7%の上昇であるのに対して、0.5〜1km未満では1.3%と距離が遠くなるほど上昇率は下がり、2〜3km未満では−0.1%になり、5km以上では−1.1%という結果でした。

 大都市圏ほど利便性の高い駅近、駅前の土地への評価が高く、大都市圏にあっても利便性の低い土地は上がらない、むしろ下がるということです。

●年々上昇率の格差が拡大している

 このあたりが、バブル期の地価上昇と異なる点で、一律に上がるのではなく、優勝劣敗がいっそう明らかになる、そんな地価上昇といっていいでしょう。

 実際グラフでもわかるように、この距離圏別の変動率の違いは、年々大きくなっています。上がるところだけは上がるけれど、評価の低い土地は見向きもされず、上昇の波から取り残されて、むしろ下がってしまう――そんな厳しい時代を迎えています。

 地方圏では首都圏ほど極端ではありませんが、やはり同じような現象が起こっています。最寄り駅から0.5km未満では0.7%の上昇ですが、1.5km以上ではマイナスになってしまいます。

 それなりの年収や資産などがあって、大都市圏の都心に近く、駅前や駅近の土地や住宅を買えればいいのですが、それが可能な人は限られます。多くの平均的な会社員にとっては、いよいよ選択が難しくなってきそうです。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)

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