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東証再編、広がる失望、プライム市場「居座り組」企業リスト…ZHD、WOWOW

  • 2022年4月8日
  • Business Journal

 4月4日、東京証券取引所がプライム・スタンダード・グロースの3つの市場に再編された。東証1部に上場していた2177社の84.5%の1839社が最上位のプライム行きとなった。「片手(500社以内)に絞らなければ、プライムは看板倒れだ」と外国人投資家は厳しい見方をしている。

 株価は投資家の期待を映す鏡だ。新市場発足初日の日経平均株価は小幅な値動きに終始し、4日の終値は前週末比70円高の2万7736円。外資系証券会社のアナリストは「ご祝儀相場などという言葉は、もはや時代遅れだが、それにしても低調ぶりが目立った」と切って捨てた。

 4月6日には437円安の2万7350円。発足時の株価を下回り、元の木阿弥となった。60年ぶりの市場再編は時価総額で中国・上海市場にも抜かれた東京マーケットの地盤沈下を食い止める絶好の機会だったのに、日本取引所グループの清田瞭CEO(76)は、経過措置(執行猶予組)の解消の時期さえ、はっきりさせていない。中途半端な状態をずっと続けるというのは、いかにも日本的である。

 株価が弾まない理由ははっきりしている。プライム残留への計画書(適合計画書という)を出しさえすれば、それが「あくまで夢」の計画書だったとしても、東証がそれを信じて295銘柄をプライムに残留させてしまったからだ。

 明日が見通せない“執行猶予組”をバサッと切っていれば、海外のニューマネーが入ってきたかもしれない。しかし、今の状況では外国人投資家は、TOKYO市場はとりあえず儲けさせてくれる“国営の博打場”としか考えないだろう。中長期の視点に立ち、息の長い投資をすることは考え難いのだ。昔の名前で出ていたり、往時には優良銘柄だった企業が最上位のプライム市場に居座りを決め込んでいる、寒々しい現実を具体的に指摘したい。

居残り銘柄の具体的な名前

 傘下にヤフー、LINE、ZOZOなどを持つZホールディングスは、ソフトバンクグループが持ち株を手放さなければプライム市場に残るのは無理かもしれない。中小企業向け業務パッケージソフト「奉行シリーズ」で有名なオービックビジネスコンサルタント(OBC)、日本初の民間衛星放送会社WOWOWや三井E&Sホールディングスの子会社の三井海洋開発はテレビCMや経済ジャーナリズムで取り上げられることが多い。名前が通っている企業だ。

 金融・保険では、日本郵政グループのかんぽ生命保険、ゆうちょ銀行という超大物が居残っている。日本郵政と子会社2社の3社が一挙に上場したことの是非が今、問われている、との見方ができるかもしれない。

 地銀、第二地銀では、富山県の第二地銀、富山第一銀行、千葉県が地盤の地銀、千葉興業銀行、みずほ銀行、伊藤忠商事が大株主のオリエントコーポレーション、スポーツウエア大手で伊藤忠傘下のデサントなど。伊藤忠や三菱商事、住友商事、丸紅など総合商社の関連企業が名前を連ねている。

「桃太郎便」でアマゾンの荷物も運んでいた丸和運輸機関、日本製鉄・日本郵船系で日本製鉄が筆頭株主のNSユナイテッド海運、中古本首位のブックオフの持ち株会社ブックオフグループホールディングス、朝日新聞系のテレビ朝日ホールディングス、USENを傘下に持つ持ち株会社で宇野康秀社長が45.9%の株式を保有するUSEN−NEXT HOLDINGS、中国地方で都市ガス供給し「サハリン2」から一手にLNGを購入していることで最近にわかに脚光を浴びている広島ガスは、ロシアからのLNGが止まれば“ガス欠”になる心配がありそうだ。東映アニメーション(スタンダード上場)の親会社、東映は株式時価総額が子会社の半分で親子逆転だ。なんとかならないのか。

地に足がついた銘柄群もある

 思い切り良くスタンダート市場に移行したのは、「黄金の味」など焼肉のタレで首位のエバラ食品工業。会長と社長によるMBOが不成立となったため、上場を継続することになった片倉工業、さらには、大日本印刷の子会社で書店の丸善ジュンク堂を運営する丸善CHIホールディングス、鋼製物置で国内シェア4割の稲葉製作所がスタンダード組だ。

 リポビタンD、パブロン、リアップで知られる大正製薬ホールディングスはあえてスタンダード市場を選択して話題になった。米オラクルの日本法人、日本オラクルは米オラクルが74%を保有しており、プライム市場に昇格できるかどうかはオラクル次第だろう。最古の新聞輪転機メーカーでアジアインベストメントの買い占めがようやく解決した東京機械製作所、フォークリフト大手で三菱重工業が64.6%出資の三菱ロジスネクスト、上場している銀行で規模最小の島根銀行、三菱商事が51.1%出資の三菱食品もスタンダードだ。

 仏壇、仏具の小売り専門店で首位のはせがわ、近鉄グループHDが63.0%出資の近鉄百貨店などは筆頭株主が持ち株を減らさない限り株式の流動性の基準をクリアできない。

 TOBをめぐる争奪戦で話題が沸騰した新生銀行(SBIホールディングスがTOB)、消費者ローン専業最大手のアコムは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の子会社。MUFGとアコムの創業家の大株主同士の思惑の違いでスタンダードとなった。MUFGは、はたして「スタンダード市場で良し」としているのだろうか。

 映画「フラガール」で知られるスパリゾートハワイアンズ運営の常磐興産、近鉄グループで国内中心の大手旅行会社、KNT−CTホールディングス、クリーニング首位の白洋舎もスタンダード組だ。この3社は知名度が高い。

 株式の争奪戦で全国紙の社会面をにぎわした関西フードマーケット(旧関西スーパーマーケット)はエイチ・ツー・オー リテイリングの子会社になることが決まり、2月に社名を変更し、再出発したばかりだ。

 作業服から「#ワークマン女子」などに拡大中のワークマンや日本マクドナルドホールディングスもここに入る。ワークマンは創業家が運営するベイシアグループの唯一の上場企業だし、マックは米国本社の影響力が強い。

 東証マザーズからグロース市場に移ったメルカリのようにプライム入りを目指し、具体的な準備に入った新興企業が5社あると伝わっている。市場が再編された初日の4月4日、メルカリの株価が高かったのは「前向きな企業姿勢が評価されたからだ」(新興市場に詳しいアナリスト)といわれている。

(文=有森隆/ジャーナリスト)

 

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