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任天堂、忍び寄る危機…GAFAMにゲーム開発メーカーを奪われてしまうのか?

  • 2022年3月19日
  • Business Journal

 任天堂の家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチの世界販売台数が1億台を突破した。同社のゲーム機では、最も売れたニンテンドーDS(1億5402万台)などに続いて4機種目となる。スイッチは17年3月に発売され、21年12月末時点での販売台数が1億354万台に達した。携帯型ゲーム機として楽しめるほか、テレビなどにつなぎ据え置き型としても遊べる。

 半導体不足で家庭用ゲーム機の成長は減速する。今後はメタバース(仮想空間)を舞台にした新たなゲームとの競争に突入する。任天堂の22年3月期連結決算は売上高が前期比6%減の1兆6500億円、純利益は17%減の4000億円と減収・減益の見込み。スイッチの今期の販売台数予測は2300万台。前期比20%減と陰りが見える。ソフトの販売は好調だったが、スイッチ本体の販売減が響き、スイッチの売り上げ、利益は前期を下回る。

 半導体不足は深刻だ。マイコンなどの調達が難航しているほか、世界的な物流混乱も影を落とす。期初に2550万台を見込んでいた販売予測は11月に2400万台に下方修正。さらに2300万台と見通しを引き下げた。

 半導体不足が原因ではなく、需要が一巡したとの指摘もある。任天堂のゲーム機の累計販売台数が1億台を超えたのは、ニンテンドーDS、ゲームボーイ(1億1869万台)、Wii(1億163万台)だ。スイッチの1億台突破はまさしく大ヒットといっていい。

メタバースが最大のライバル?

 最大の懸念材料はメタバースに代表される強力なライバルの出現だ。米国の巨大IT企業のGAFAMの一角を占めるフェイスブックは21年10月28日、社名をメタに変更した。メタバースと呼ばれる仮想空間分野へ1兆円の投資を公表。社名変更でメタバースに注力する姿勢を鮮明にした。

 メタバースは英語の超(meta)と宇宙(universe)を組み合わせた造語。インターネット上で現実に近い体験ができる仮想空間を指す。メタのマーク・ザッカーバーグCEOは自社製のVR(仮想現実)機器向けゲームソフトを拡充する方針を打ち出した。1億人を超えるユーザーが集まるオンラインゲームが先行したが、近年は新たなSNS(交流サイト)や消費空間として注目されている。

 米マイクロソフト(MS)は過去最大の買収に動いた。米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードを687億ドル(約7.8兆円)で買収する。Xboxなどゲーム事業の強化が狙い。メタバースの普及を見据え、人気ソフトや人材を取り込む。規制当局とアクティビジョンの株主の承認を得て、23年半ばまでに買収を完了する。

 アクティビジョンが加われば、MSのゲーム事業売上高は中国のテンセント、日本のソニーグループに次いで世界第3位になる。世界3強を米アップル、米グーグル、中国のネットイーズ、日本の任天堂が追うという構図だ。アクティビジョンは1979年の設立。仏メディア大手、ビベンディ傘下のゲーム会社と合併して規模を拡大してきた。MSはコールオブデューティなど有力なソフトを手にすることになる。同タイトルは月々のプレーヤーが1億人を超す。他の作品も含めれば毎月4億人がアクティビジョンのゲームで遊び、メタバースとの親和性は高い。eスポーツの主要企業でもある。

 カナダの調査会社エマージェンリサーチによると、20年に約5兆円だった世界のメタバースの市場規模は28年には約94兆円まで拡大する。MSはメタバース市場で覇権を狙っている。メタバース参入に前向きな国内ゲームメーカーは多い。ゲーム機がVRに需要を奪われる恐れが出てきた。国内のゲームメーカーがVR開発に軸足を移せば、任天堂のハード機器向けソフトの供給が先細りになる懸念が出てくる。

 任天堂は27年3月期までの5年間に、ゲーム開発者の採用を増やすなど最大1000億円を投じる計画だ。ロシアのウクライナ侵攻によるウクライナリスクがゲーム業界に浮上してきた。半導体の原材料のネオンやパラジウムはウクライナ産とロシア産に頼っている。供給が事実上、止まっており、ウクライナ危機が半導体不足に拍車をかける。

(文=Business Journal編集部)

 

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