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レジ袋有料化、逆にビニール袋消費量&プラごみ増えてる?企業にも消費者にもメリットなし

  • 2021年5月5日
  • Business Journal

 今年の3月上旬、デパ地下で勤務しているという人物のあるSNS投稿が注目を集めた。その内容は、レジ袋を有料化した代わりに、エコバッグの汁漏れ防止のため持ち手のないビニール袋を使う枚数が激増してしまっている……というものだ。

 昨年7月1日にスタートしたプラスチック製レジ袋有料化は、日本国民のライフスタイルの変化を否応なしに促した。しかし、それによって小売の現場では混乱が起こり、この投稿のように有料化の対象外であるビニール袋の消費量が増加するといった問題が発生しているようだ。

 投稿者は商品の汁漏れや弁当の中身こぼれを防ぐために、包装にも手間がかかるようになったとも続けている。さらに、この投稿に同調したコンビニやスーパー、ドラッグストアで勤務しているという人々からも、似たような対応を行っているという声が相次ぐこととなった。

 スタートからまだ1年も経っていないレジ袋有料化だが、対象外となっている袋の消費量が増加しているという本末転倒な事態が起きている現状、はたして本当に効果は出ているのだろうか。サステナビリティ・コンサルタントとして企業支援を行っている安藤光展氏に話を聞いた。

啓蒙・啓発の効果は大きいもののごみ削減については望み薄

 そもそもレジ袋有料化の義務は、2019年12月27日に改正された容器包装リサイクル法の関係省令で定められたもので、その目的は国民の環境問題やエコへの意識を高めることにある。つまり、最初からプラスチック製品の消費量削減というよりは、啓蒙・啓発に重点が置かれているのだが、啓蒙・啓発においては予想を超える成果が上がっているのだという。

「環境省が2020年に実施したレジ袋使用状況に関するウェブ調査結果によれば、1週間以内に店舗でレジ袋をもらわなかった、あるいは購入しなかった人の割合は3月が30.4%だったのに対し、11月が71.9%と倍以上に増えています。環境省としてはキャンペーンを通じてレジ袋を1週間使わなかった人の割合を60%以上にすることを目標としていたので、それ以上の成果が出たというわけですね。

 プラスチックごみ問題への関心が高まって行動や意識に変化があったと答えた人も29.5%と3割近くを占めていて、ここまで行動変容があったのは驚くべき結果です。

 環境省のこういったキャンペーンは今まで何度も行われていたのですが、目立った成果が出たのは2005年から始まったクールビズくらいでした。社会的に影響が出ているという意味では、現時点でも過去のキャンペーンと比べて充分に成果が出ているといえます」(安藤氏)

 本来の目的は一定の成果を収めているようだが、小売の現場で起きている諸問題を考えると、プラスチックごみの削減としては逆効果な側面はないのだろうか。

「レジ袋有料化以降のプラスチックごみの発生量についてのデータはまだ出ていないのですが、デパ地下などに限らず飲食店の持ち帰りやUber Eatsなどでも包装を厳重にしているので、以前よりも増えているように感じますね。

 また、100円ショップなどで発売されたレジ袋がそれなりに売れているという話も聞きます。小さなごみをまとめてごみ出しするときなどレジ袋が必要な場面はなくなったわけじゃないですし、プラスチックごみの発生量まで含めたこの1年でのトータルの成果については、期待できないというのが正直な印象です。

 そもそもこの政策の一番の問題点は、消費者にも企業にもメリットがないことにあります。消費者や企業にとって利点がある形で展開することができればプラスチックごみ問題の状況が一変するかもしれませんが、そうでなければ企業が問題の解決に注力することは今後もないでしょう」(安藤氏)

有料化してもプラスチックスプーン・フォークは使われ続ける?

 プラスチックごみ削減に関する動きとしては、3月9日のプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案の閣議決定が記憶に新しい。この法案ではプラスチックのスプーンやフォークの有料化が検討されており、報道された直後から大きな話題を呼んだ。安藤氏は、レジ袋有料化と同じ進め方では成果は上がらないと語る。

「レジ袋有料化が啓蒙・啓発のキャンペーンとして成功していることを受けて、今度はプラスチックスプーン・フォークの有料化に乗り出したのだと思うのですが、実は10年ほど前にも同じ議論は起こっていました。当時は割り箸の使用量を減らすことを目的として、マイ箸を持ち歩くことが推奨され、一時期はさまざまなところでマイ箸用の箸が売られるほどの大きなムーブメントになりました。しかし、箸を持ち歩く手間や衛生面の問題もあって、一部の人たちが積極的に取り組んだだけで、今はメインストリームから外れてしまっています。

 レジ袋と同じように消費者にも企業にも利点がないかたちで施行されるのであれば、プラスチックスプーン・フォーク有料化の試みはマイ箸と同じ道をたどって、最終的にはほとんどの人が有料でもらうようになるのではないでしょうか」(安藤氏)

 仮に新法案が成立したとしても、その前途はレジ袋有料化のとき以上に多難といえそうだ。では、国民の意識・行動変容の面では一定の結果を出したレジ袋有料化のほうはこのまま継続していくのだろうか。

「海外のトレンドとしてはレジ袋を有料化して使用量を減らすのではなく、完全に禁止にして使用しないようにしている国が多く、ヨーロッパを中心に50〜60カ国ほどあります。ただ、日本では当面の間は法律でレジ袋自体が禁止されるということはまずないでしょう。

 日本でのレジ袋有料化、ひいてはプラスチックごみ規制の動きは、ちょうど今が過渡期にあたります。衛生面とのバランスといった方法論だけでなく、このキャンペーンが根付いていくのか、あるいはフェードアウトしていくのかといった部分もまだ誰も明確な答えを持っていません。ですので、自分がどの方向を向いてこのルールを受け入れていくのか、『自分はこうしよう』という考えをいかにして持つかは、この過渡期のなかでは大事かもしれませんね」(安藤氏)

 日本の消費社会の行く先を占う分水嶺に立っているともいえる現在。レジ袋有料化政策、そしてプラスチックスプーン・フォーク有料化の法案がどうなっていくのか、より注目していくべきだろう。

(文=佐久間翔大/A4studio)

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