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ソフトバンクG、大規模施工不良で債務超過の「レオパレス」支援に乗り出した理由

  • 2020年10月9日
  • Business Journal

 経営再建中のアパート建設大手レオパレス21は9月30日、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループから総額572億円の出資と融資を受けると発表した。債務超過を解消し、経営の立て直しを急ぐ。

 レオパレスは11月2日までに、フォートレスを引受先に、普通株式で122億円の第三者割当増資を実施するとともに、同ファンドから新株予約権付きの300億円の融資を受ける。連結子会社のレオパレス・パワーがフォートレスを引受先に優先株で150億円の第三者割当増資を行う。実施後はフォートレス系企業がレオパレス株の25.71%を持つ筆頭株主になる。現在の経営陣は交代せずに引き続き経営にあたる。

 レオパレスは6月末時点で118億円の債務超過に陥っていたが、資金調達によりこれを解消し、銀行からの借入金も返済する。調達する資金572億円のうち340億円を施工不良物件の改修費用に充てる。

フォートレスはSBGが買収し、完全子会社化

 フォートレスは不動産ファンドを運営し、日本を含めて世界14カ国に拠点を置く。SBGが2017年、33億ドル(約3700億円)でフォートレスの全株式を取得し完全子会社化した。18年には三菱マテリアルの不動産子会社を買収。「ビレッジハウス」の名前で全国に賃貸住宅を持っている。公営の雇用促進住宅を買い取って改装した再生物件には、日本に働きにきている外国人や高齢者らが入居している。レオパレスとは賃貸住宅の分野での協業も視野に入れている。

 フォートレスは不動産・ホテルを手がけるユニゾホールディングス(HD)のTOB(株式公開買い付け)合戦で名前が知られるようになった。ユニゾをめぐっては、当初、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が敵対的TOBを仕掛けた。ユニゾはホワイトナイト(白馬の騎士)にフォートレスを呼び込み、フォートレスは19年8月、完全子会社を目指して友好的TOBを実施、HISを撃退した。

 その後、一転してユニゾはフォートレスを排除。EBO(従業員による買収)の方針を打ち出した。今年3月、フォートレスのTOBは不成立に終わり、ユニゾは国内初のEBOが成立して6月、上場廃止となった。次に、レオパレスがフォートレスを招き入れたことになる。

賃貸アパートの入居率が損益分岐点を下回る

 レオパレス21の2020年4〜6月期連結決算は、売上高が前年同期比8%減の1039億円、営業損益は68億円の赤字(前年同期は42億円の赤字)、最終損益は141億円の赤字(同57億円の赤字)。その結果、118億円の債務超過となった。債務超過を解消しなければ、上場廃止になる。決算発表と同時に、SBG傘下のファンドの支援を受けることを公表した。債務超過を解消し財務は改善するものの、再生が順調に進むかどうかは見通せない。本業の賃貸アパートの入居率が低迷しているからだ。

 2年前は9割を超えていた入居率は施工不良の発覚、改修作業の遅れが重なり、ジリ貧をたどっている。5月以降、入居率は損益分岐点である80%を下回った。

【レオパレス21の入居率】(単位%)

      20年4月  5月   6月  7月  8月

入居率   81.40     79.91    79.43   78.56   78.15

 レオパレスなど賃貸アパート各社は、郊外などの地主(オーナー)らに、節税対策としてアパートの経営を提案した。地主は銀行から融資を受けて物件を建てる。レオパレスはアパートをオーナーから一括で借り上げ転貸するサブリース事業の仕組みをとる。毎月、一度の家賃の支払いを保障する方式だ。

 8月末時点で物件オーナーから委託を受けている賃貸アパートの管理戸数は57万4846戸。うち契約済戸数が44万9414戸。残り12万5432戸が空き室になっている。空き室は1年で1万2373戸増えた。管理戸数に占める契約済戸数の割合が入居率となる。

 なぜ、入居率が落ちたのか。施工不良問題で入居率が急落して以降、レオパレスの頼みの綱は外国人入居者だった。外国人の入居者は3月末で2万3000人と、5年間で1万人近く増えた。個人契約に占める外国人の比率は1割を超えた。しかし、新型コロナウイルスのまん延で外国人留学生の入国がストップ。その影響で、5月以降、入居率は損益分岐点の80%を割り込んだ。

 レオパレスが入居者から受け取る賃料より、物件オーナーに支払う金額が大きい「逆ざや」の状態となった。危機的状況である。入居率を高める妙案はない。やれるのはコストカットだ。8月にはコスト削減のため1000人超の希望退職を募集した。全社員の18%に当たる大規模なリストラだ。

 物件オーナーに保証した賃料の引き下げ交渉が今後の焦点となる。大幅な引き下げになれば、オーナーの反発を招くのは避けられない。

 21年3月期の連結決算の売上高は前期比0.6%減の4311億円、営業損益は98億円の赤字、最終損益は80億円の赤字を見込む。債務超過は解消し、施工不良物件の改修費用は調達できたが、本業の再生のメドは立っていない。

(文=編集部)

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