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無印、トヨタ、富士フイルムに学ぶコロナ補助金の正しい使い方…失敗する企業の特徴とは?

  • 2020年10月13日
  • Business Journal

 みなさん、こんにちは。元グラフィックデザイナーのブランディング専門家・松下一功です。

 新型コロナウイルス拡大感染によって資金繰りが難しくなり、助成金や給付金に頼らざるを得ない企業が後を絶たない状況です。そして、夏頃から支給がスタートすると、各地で「助成金フィーバー」ともいえるような現象が起こりました。

 ある制作会社では、「自粛中の1カ月間は仕事がまったくない状態だったけど、助成金が下りてからは次から次へと依頼が重なって、仕事がなかった頃が嘘のような激務になった」という話も聞きました。

 それまでストップしていた事業を動かすために助成金を充てるのは、当たり前のことと思われるでしょう。しかし、ブランディング専門家としては、もらうことが目的になり、うまく事業発展に活かせていない企業が多い印象を受けました。そこで今回は、ブランディングの観点から見た「助成金の上手な使い方」をお教えしましょう。

各種補助金は「何に使うか」が重要に

 コロナに関連する助成金や給付金は、実に種類が豊富です。自己申告が原則である上に対象となるラインも微妙なので、自分は当てはまるかどうか、必死で計算した人も多いことでしょう。

 対象者である以上は助成金や給付金を受ける権利があるので、何も問題はありません。ただ、ひとつ気になるのが、受け取った「助成金や給付金を何に使っているのか」という点です。

 個人であれば月々の出費の補填に使う人も多く、特に問題はないと思いますが、企業がそうした使い方をしている場合は少し危険です。コロナが終わるまでの辛抱だと思って支出の補填に回したい気持ちもわかりますが、いったいコロナの終わりはいつ来るのでしょうか? 果たして、コロナの終わりまで助成金や給付金でカバーし続けることはできるのでしょうか?

 これらの問いに対しては、おそらくほとんどの人が「いいえ」もしくは「わからない」と答えるしかないでしょう。

 事業を長く続けていくためには、助成金や給付金を受けることも大切ですが、それを何に使うのかの方が大切なのです。

無印、トヨタ、富士フイルムに学ぶ使い道

 では、助成金や給付金をどんなことに使えばいいのでしょうか? その答えとして妥当なのは、「経営資源集中」と「経営革新」のどちらかでしょう。

 経営資源集中とは、展開している事業の中から最も価値のあるものを選び、そこに資源を充てて育てる方法です。経営資源集中に成功した例としては、「無印良品」が挙げられます。

 今は日本を代表するブランドに成長して、海外進出にも乗り出した無印良品ですが、実は2000年代初頭に経営不振に陥ったことがあります。実は、この頃は、100円均一のブーム到来、ファストファッションのユニクロの台頭などが続けざまにあった時期なのです。そこで、無印良品は「わけあって、安い」というブランドコンセプトの見直しに取りかかりました。

 赤字部門や不採算事業を取り締まったのではなく、ブランドコンセプトを新たに「これでいい」に据えて、経営マインドを変えたのです。そして、これまでのように安さを追求するのではなく、不必要な華美なものをそぎ落として、必要なものだけを残したシンプルさを追求した結果、経営危機を乗り越えて、今のような唯一無二のブランドへと成長できたのです。

 おそらく、首脳陣は経営不振のときにキャッシュフローの面で散々頭を悩ませたと思います。しかし、自分たちの強みをしっかりとつかんで、本気で再起に取り組んだからこそ、そのピンチをチャンスに変えることができたのでしょう。

 一方の経営革新とは、いわゆる方向転換であり、以前に別の記事でもご紹介した「トランスフォームブランディング」のことです。

(コロナ不況を乗り越えるヒントが「富士フイルムの化粧品“アスタリフト”」にある理由)

(コロナ危機でも生き残る企業は何が違う?トヨタも成功した“最強のブランディング”とは)

 トランスフォームブランディングとは、創立当初から持っている事業への思いや培ってきた能力を活かして、販売する製品やサービスを別のものに変えて、さらなる成長へとつなげることです。

 トランスフォームブランディングを上手に行っている代表的な企業といえば、「トヨタ自動車」と「富士フイルム」です。トヨタは、かつては機織り機をつくる会社でしたが、自動車の登場に伴い、強みである高度な技術力を武器に自動車という分野に乗り換えました。

 富士フイルムは、写真分野で培ってきた「人肌再現力」と、それをフィルムに美しく写し出す「溶剤技術」を活かして、「アスタリフト」というブランドで化粧品事業に参入しました。今では、立派な人気化粧品ブランドに成長しています。

 この3つの企業は、いずれも資金をその場しのぎのためには使っていません。未来への投資に使っています。そして、ピンチをチャンスに変えています。

 コロナ関連の助成金や給付金も、今をしのぐためだけでなく未来への投資に使うことで、コロナ不況を乗り越えることができ、さらにはブランドの成長にもつながるのではないでしょうか?

 ちなみに、私が今注目しているのは「星野リゾート」です。星野リゾートが助成金や給付金を受けているのかどうかは不明ですが、厳しい経営難にさらされながらも、さらなる進化を遂げようとしています。つい最近も、「星野リゾート・リート投資法人」というサイトで、コロナ危機におけるホテルのあり方や宿泊の価値の見直しにからめて、星野リゾートの今後のあり方や考え方を明確にされていました。

 コロナ禍による社会的変化のひとつに、テレワークの市民権獲得があります。実際に、私のまわりでも、出張は減ったけど、旅行先に仕事を持って行く「ワーケーション」をする人が増えてきました。

 都市・地方の関係なく、出張ビジネス客が観光客へとシフトしていき、仕事を抱えながら観光を楽しむ人々が増えていけば、リゾートホテルや観光業の未来は明るくなるでしょう。

 まだ助成金や給付金の使い道が決まっていない企業や、これから新たに申請するという企業は、ぜひ未来を見据えた使い道を考えてみてください。

(松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター)

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