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五輪延期、東京ビッグサイト“1年使えず”巨額損失…税金で穴埋めか、関連業界4兆円損失

  • 2020年5月2日
  • Business Journal

 東京五輪・パラリンピックが来年7月に延期となり、都内最大の展示会場「東京ビッグサイト」(東京都江東区)は、一般の利用制限が続く見通しとなった。展示会・見本市の関係企業などで構成する「日本展示会協会」(日展協)は先週、今後の見通しについて強い懸念を表明した。

 東京ビッグサイトは大会中、世界各国の報道機関が集まるメインプレスセンター(MPC)・国際放送センター(IBC)として利用される予定だった。そのため、4つある展示場のうち最大の東展示棟は、工事などのため19年4月から20年11月まで20カ月にわたって東京都が借り上げている。

 日展協によれば、19〜20年の2年間ですでに8万社が2.5兆円の売り上げを失うという。利用制限が最大1年間(21年11月まで)延長されると、さらに5万社が約1.5兆円の売り上げを失うと試算。3年間合計で13万社以上の売り上げ損失が4兆円に上るとし、多くの関連企業に倒産の恐れがあるという。

 また、今年2月下旬以降だけでも、新型コロナウイルスの影響で、約350の展示会が中止・延期に追い込まれているといい、展示会業界は踏んだり蹴ったりの状態だ。

 売り上げ損失には、展示会・見本市主催者、装飾会社やレンタル会社など展示会をサポートする支援企業に加え、商談の場として活用している出展社などが含まれる。宮城県ではスタジアムの売店で焼きそばなどを販売していた業者が3月31日付で事業停止に追い込まれたが、プロ野球やJリーグ、イベントなどの中止によるものだ。この業界にはこうした零細企業も多数含まれており、東京でも同様の倒産が起きても不思議ではない。

東展示棟の年間使用料、数十億円超過も都民負担か

 東京五輪が延期になって、一旦、一般利用に戻せないのかといえば、そう簡単ではない。放送用ケーブルの敷設や仕切り壁の設置など、大規模な内装工事に着手済みだからだ。それらの設備を取り壊して、再度作り直す時間的余裕はないという。

 東京ビッグサイトは国内最大規模の展示場として、首都圏でもっとも人気があり、12月以降は大規模な展示会・イベントが多数予定されていた。そのなかにはコミックマーケットや東京モーターショーも含まれている。ビッグサイトの運営会社はすでに22年3月分までの予約を受け付けており、数百件のイベントが中止や延期、会場変更などの影響を受けそうだ。

 主催団体と出展契約を済ませた企業もあるため、日展協は「予定通り開催できない場合は大きな補償問題となる。日本の展示会業界は再生不可能な痛手を負う」と懸念している。

 東展示棟の賃料は通常、一日当たり約2700万円。1年間の延期なら約100億円になる。運営しているのが都の関連団体なので、正規料金ではないにしても、都にとって莫大な損失であることに違いはない。将来的には東京都民の税金で補填されることになるだろう。

 日展協では今年12月からビッグサイトが予定通り全館使用可能になることを第一に望んでいるが、それが難しい場合、いくつかの代替策を要望している。例えば、IBCが使用する東展示棟・東新展示棟の約6万7000平方メートルと同等の広さを持つ仮設展示場を首都圏に建設することだ。それだけの用地がすぐに見つかるとも思えず、話し合いは難航するだろう。

 展示会・見本市は各業界の中小企業が自社の製品や技術を売り込む場として、また具体的な商談の場として、重要な役割を果たしている。そして、近年はMICEとしてもっとも重要な位置づけだ。MICEは、Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive travel(報奨・研修旅行)、Convention(学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語で、ビジネストラベルの総称だ。一般の観光旅行に比べ、訪日客の消費額が大きく、インバウンド振興策の一環として重要性が増している。

 それだけに、日展協ではビッグサイトの利用制限について、展示会産業だけの問題ではなく、中小企業の救済、日本経済の活性化など大局的に捉えてほしいとしている。

(文=横山渉/ジャーナリスト)

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