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ZOZO、ついに年間購入者数が減少…しまむら「1年で退店」事件に透ける“深刻な内情”

  • 2019年9月7日
  • Business Journal

 衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOは7月30日、2019年度第1四半期(4〜6月期)決算を発表した。増収増益となるなど、一見すると好調のようだが、細部を見てみると、そうとは言い切れないことがわかる。成長の衰えが垣間見えるのだ。

 同社が特に重視する指標の「商品取扱高」は伸びている。19年度第1四半期は792億円と、前年同期から12.5%増えた。だが、前年度(18年度)が19.4%増、前々年度(17年度)は27.6%増だったため、伸び率は鈍化していることがわかる。四半期ベースで見ても鈍化は明らかで、19年度第1四半期より低い伸び率となると、4年以上前となる14年度第4四半期(10.2%増)にまでさかのぼらなければならない。

 19年度第1四半期の売上高は前年同期比6.2%増の281億円、営業利益は32.6%増の77億円だった。商品取扱高が増えたことや、前年度に無料で大量配布したゾゾスーツに関連するコストがなくなったことが影響した。

 利益率も深刻だ。19年度第1四半期の商品取扱高に占める営業利益の割合は9.8%だった。プライベートブランド(PB)事業の失敗などで揺れた前年度の7.9%よりは高い。しかし、前々年度までは5年連続で10%以上となっていたため、10%下回ったのは憂慮すべき事態といえる。四半期ベースで見ても深刻さがわかる。前々年度までの5年間の20四半期のうち、10%を下回ったのはわずか2四半期だけだ。

 直近1年以内に1回以上買い物をした人の数を表す「年間購入者数」が減少に転じたことも見逃せない。19年度第1四半期は812万1663人で、18年度第4四半期から約5000人減った。それまでは16四半期連続で増加していた。

 一方で、ゾゾタウンの出店ショップ数が再び増加傾向に転じたことは吉報だろう。19年度第1四半期末は1297ショップと、18年度第4四半期末から52ショップ増えたのだ。

 18年度第4四半期は、ゾゾタウンの有料会員向け割引サービス「ZOZO ARIGATO」において、ブランド価値の低下を嫌った出店ブランドが撤退したり、出品を一時見合わせたりする“ゾゾ離れ”が発生。出店ショップ数が10店純減する事態となった。だが、栁澤孝旨副社長は、7月30日に開かれた決算説明会で「商品出品を見合わせていたショップもARIGATOが終了してから販売を再開している」と話し、“ゾゾ離れ”が収束したことを強調している。これを機に、反転攻勢に打って出る構えだ。

 同社は5月に、ゾゾタウンに出店するブランドの関係者らを招待し、同社の考えを説明する「ブランドカンファレンス」を開催した。これにより、出店ブランドとの関係強化を図った。ゾゾ離れの発端となったARIGATOでは、サービスの開始にあたり十分な説明がなかったことに対して批判の声が上がった。それとは対極的に、こうした協調的で説明を尽くそうとする姿勢が好感され、“ゾゾ離れ”の収束につながった面がありそうだ。

PB事業の頓挫

 良い兆候と悪い兆候が交錯するZOZO。今後、どのように転ぶかはわからない。ただ、競争の激化で、以前のような大きな成長を実現するのはかなり難しいだろう。アマゾンが衣料品の通販を強化したり、ほかの衣料品通販サイトが台頭するなどしており、競争が厳しさを増しているためだ。また、アパレル各社が自社の通販サイトでの販売を強化しており、ゾゾタウン出店での手数料の支払いを嫌って“ゾゾ離れ”が将来的に起きる可能性が否定できないことも不安材料だ。

 その先例となりそうなのが、カジュアル衣料大手のしまむらだ。同社としては昨年7月に初のオンラインショップとしてゾゾタウンに出店した。だが、1年もたたない今年6月に退店している。

 4月8日付通販新聞は、しまむら社長の見解として「外部モール経由の販売はコストがかかり過ぎる」(北島常好社長)と報じている。また、同新聞はしまむらのネット通販戦略について「東松山商品センター内にEC専用倉庫の建設を進め、2020年秋をメドに自社ECをスタートする」とも報じている。つまり、ゾゾタウン出店で高い手数料を払い続けるくらいなら、初期投資がかかっても自社の通販サイトを立ち上げて販売していったほうが結局は安くつく、と判断したということだ。ゾゾタウンの手数料は高いことで知られており、今後、こうしたかたちで“ゾゾ離れ”が進む可能性がある。

 ゾゾタウンに続く事業が育っていないことも気がかりだ。第2の柱となるはずだったPB事業は頓挫してしまった。そのためかは不明だが、ZOZOは新たに「マルチサイズプラットフォーム(MSP)事業」を始めた。同事業では出店ブランドと共同で20〜50程度のサイズをそろえる商品を開発し、ゾゾタウンで販売する。今年の秋冬に「アース ミュージック&エコロジー」や「リーバイス」などのブランドから約100アイテムの販売を予定している。

 こうして始めたMSP事業の初年度である今年度の商品取扱高の目標は10億円と、かなり控えめだ。PB事業の初年度である前年度の目標が200億円だったのと比べると、MSP事業の小粒感のほどがわかる。PB事業では実績が目標を大きく下回ってしまったことから、意図的に目標を必達できる低い水準に設定した可能性が考えられるが、それにしても10億円というのは少なすぎる。今年度のゾゾタウン事業における商品取扱高の目標は3554億円なので、0.3%にも満たない規模だ。

岐路に立つZOZO

 現在の第2の柱となっているのがBtoB(企業向け)事業だが、それも厳しい状況にある。BtoB事業では、アパレルブランドの通販サイトの運営支援を行う。18年度の商品取扱高は90億円と、前年度からは19.6%増えた。近年は増加傾向にある。だが、ピークとなる14年度(177億円)の半分の水準にようやく達したにすぎない。BtoB事業は14年度を境に減少に転じるなど、一貫した成長軌道を描けておらず、波乱含みだ。

 同事業は支援先ブランドがサイトを自社運営に切り替えるなどで低迷するようになった。そこでZOZOはテコ入れを図り、それが奏功して盛り返してはいるが、自社運営化の流れを食い止められるかは不透明だ。セレクトショップ大手のユナイテッドアローズが、ZOZO支援での運営から自社運営に切り替えるなど、BtoB事業でも“ゾゾ離れ”が起きており、予断を許さない。

 中国への再進出も厳しいだろう。確かに巨大市場ではあるが、中国では無名のゾゾタウンが、日本以上にネット通販が盛んな同市場で存在感を発揮することは容易ではない。アリババ集団が運営する通販サイト「天猫(Tモール)」などが幅をきかせており、壁は厚い。

 こうした状況から、ZOZOは主力事業のゾゾタウンをテコ入れすることが急務といえる。テコ入れ策のひとつが、足の3Dサイズを正確に計測できる「ZOZOMAT(ゾゾマット)」だ。ゾゾマット は、足をマットの上にのせ、専用アプリの音声案内に従ってスマホのカメラで足の周囲を数回撮影すると、マット全体に配置されたマーカーをアプリが読み取り、足の長さや幅など複数箇所をミリ単位で計測できるというものだ。ゾゾマットを使って、ゾゾタウンで販売する靴を試し履きなしで販売するサービスを展開することを考えているようだ。

 ZOZOはこうした施策を通じて、ゾゾタウン事業のテコ入れを図る。成長に弾みがつくのか、鈍化傾向が強まるのか。ZOZOは岐路に立たされている。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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