
年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は70歳まで嘱託社員の延長がありそうな方からの質問で、第3号被保険者の年下の妻の年金保険料についてです。
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。
今回は70歳まで嘱託社員の延長がありそうな方からの質問で、第3号被保険者の年下の妻の年金保険料についてです。
■Q:70歳まで嘱託社員の延長があった場合、第3号被保険者の年下の妻は65歳になったとき自身で年金保険料を払うように切り替える?
「私は今63歳で、60歳から嘱託社員で働いています。一応今のところ65歳までは働けるみたいです。また、65歳以降70歳まで健康状態や意欲次第では延長もありそうなのです。その場合、17歳年下の妻は第3号被保険者として、65歳で妻自身が支払うように切り替えないといけないのでしょうか? よろしくお願いします」(浩貴さん)
■A:相談者(夫)が65歳になると妻は第1号被保険者に切り替え、自分で国民年金保険料を支払う必要があります
60歳以降も厚生年金に加入して会社員として働く場合、年収などの要件を満たす配偶者がいれば、社会保険(厚生年金・健康保険)の扶養に入れることができます。
扶養されている配偶者のことを国民年金の「第3号被保険者」といいます。第3号被保険者は、20歳〜60歳までの人が該当し自分で国民年金保険料を支払う必要はありません。
ただし厚生年金に加入している本人が65歳を超えたら、配偶者を厚生年金の扶養に入れることはできません。つまり、扶養されていた配偶者は自分で国民年金保険料を支払う必要があります。なお、健康保険のみ、年収などの要件を満たす配偶者を扶養に入れることができます。
相談者「浩貴」さんの場合、会社に勤務し続けるのであれば、65歳以降、妻を厚生年金の扶養に入れることはできません。
「浩貴」さんの妻は17歳年下とのこと。つまり「浩貴」さんが65歳時点で妻は48歳なので、妻は60歳になるまで自分で国民年金保険料を支払う必要があるということです(ただし「浩貴」さん65歳以降も、条件を満たしていれば妻は健康保険のみ扶養に入れます)。
「浩貴」さんが65歳になるとき、妻を国民年金の「第3号被保険者」から「第1号被保険者」に切り替える手続きをしましょう。手続きについては勤務先の総務・人事部などに確認をしてみましょう。
文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)