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アピール上手な女子が有利で男子は不利? 中学校の内申点に「えこひいき」が発生しやすい理由とは

  • 2021年9月15日
  • All About

2018年、東京医科大入試において女子が不利になるように得点操作された事実が判明、その後、複数の大学の医学部入試でも同じような事例があったことが明るみに出ました。

2021年、東京都立高校入試では女子が不利になることがニュースになりました。私立中学入試においても男女の定員数に偏りがあったり、合格最低点が異なるなど、性別による有利・不利が存在します。

では、中学校の内申点における男女による有利不利はどうでしょうか? 内申点制度の問題点、先生による「えこひいき」の実態について紹介します。

■中学校の内申点は構造的に「えこひいき」が発生しやすい
そもそも中学校の内申点は、男女の性別関係なく、えこひいきが発生しやすい構造になっています。内申点は、定期テストの点数と“それ以外”で決まります。それ以外とは、実技試験や通知書の項目「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の評価です。

実技試験というのは、美術では絵画提出、音楽では歌発表、保健体育では運動能力計測、技術家庭科では作品提出など。定期テストの点数はもちろん、実技試験はある程度、客観的に評価しやすいものです。

一方、「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の評価は、科目を担当している先生からどう思われるかに左右されます。たとえば、いくら本当に主体的に国語の勉強に取り組んでいても、先生に「主体的に取り組んでいる」と思ってもらえなければ、低い評価がつけられます。

・字がうまく書けず、提出したワークをいい加減にやったと先生に思われたばかりに、低評価をつけられてしまった
・がんばって球技に参加したのに、大きな声を出せなくてやる気がないと思われて、テストで90点をとったのに「3」をつけられた

実際に、このようなことはよくあります。

字がきれいで、提出するノートにふせんをつけたり、マーカーを引いたり、メモの書き込みをしたりする生徒、実技教科の結果はどうあれ、がむしゃらにがんばっていると先生に思わせられる生徒は、高い評価が得られる傾向にあります。

背筋を伸ばして、明るい表情で先生の言ったことをうなずきながら授業に臨む生徒は、高く評価されやすく、肘をついたり、うつむきがちだったり、ほとんど挙手をしない生徒は、低く評価されがちです。

このように内心点は、筆記テスト以外、先生の生徒に対する印象で評価が決まります。特に東京都は、技能4教科の評定が2倍される換算内申点となって、都立高校入試の合否基準になります。9教科のなかでも技能教科は構造上、担当の先生に気に入られるかどうかが、入試結果を大きく左右する仕組みになっているのです。

■内申点の心理的問題、「認知バイアス」が先生のえこひいきを誘発する
内申点は、構造的にえこひいきを誘発しやすい仕組みであると同時に、評価する先生の心理も影響しています。評価は、多くの先生によって、厳正かつ多角的にされるわけではありません。ごく少数の先生の主観によって評価されます。もちろん多くの先生は、公平に評価しようと努めているはずでしょう。でも、意識しなくても、人は多かれ少なかれ思い込みによって評価を下します。

「認知バイアス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。人間は、直感やこれまでの経験に基づく先入観によって、実態を誤って認識する性質があるのです。

認知バイアスの代表例は「ハロー効果」です。これは、ある対象を評価するとき、ひとつの目立った特徴に引きづられて、他の要素も同じような評価をしてしまうことです。

たとえば、学級委員として積極的にリーダーシップを発揮しているように思える生徒は、勉強面も積極的だと判断されがちです。髪型や服装が中学生としてふさわしくないと思われた生徒は、勉強にも真面目に向き合っていないと判断されるようなことが挙げられます。

また「内集団バイアス」は、自分が所属している集団が、その他の集団よりも優れていると無自覚に判断してしまうという性質です。先生が顧問を務めている部活に所属している生徒には、教科の授業での様子に関係なく、高い評価をつけがちです。

ほかにもさまざまな認知バイアスがあり、人が人を評価する以上、認識と実態のずれが生じ、えこひいきにつながります。

■女子の方がアピール上手で高い評価がつきやすい傾向
では、冒頭で触れたように、男女による先生のえこひいきはどうでしょうか。中学の内申点は、大学医学部や都立高校、私立共学校のような構造的な男女の性別による有利不利はありません。

しかしながら、これまで実際に多くの中学の生徒と接してきた経験からいうと、男女によって先生にひいきされやすい傾向は明らかです。男子よりも女子のほうが、高い評価がつきやすいのです。

ある中学校の保健体育では、男子はひとりも「5」がもらえず、女子は「5」をもらえた生徒が大勢いるということが発覚。男子生徒の保護者達が校長に抗議に行ったものの、評価は覆らなかった、というケースがありました。

一般的に中学生は、男子よりも女子の方がコミュニケーション力が高く、先生に学習内容の質問に行くなど、授業の内外で、先生の担当教科への関心が高いことをアピールするのが上手な傾向があります。

きれいな字で、いろいろな色で装飾を施しながらていねいにノートをまとめたり、積極的に授業に参加しているという姿勢をわかりやすく先生に見せたりするのも、男子よりも女子に多い印象です。

■内申点評価という枠組みのなかで、自分の評価を最大化に
でも、そうはいっても、中学の内申点は、大学医学部や都立高校、私立共学校のように、構造的に不公平があるわけではありません。先生に評価される行動をとることができれば、男女関係なく高い評価をもらうことができるわけです。

どうすれば他者から評価されるかを考え、自身を客観視しながら、できることを精一杯やる。これは高い内心点を勝ち取るためだけでなく、社会に出てからも必要なことです。懐疑的に見られる内申点制度ではありますが、まだしばらく大きな制度変更はなさそうです。

中学生には内申点評価という枠組みのなかで、自分の評価を最大化できるよう努めてもらいたいものです。

西村 創(学習塾・個別指導塾ガイド)

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