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年収1000万円以上あれば、本当に幸せ?

  • 2021年4月15日
  • All About

■年収と幸せの関係とは?
「年収が1000万円くらいあれば幸せなんだけどな……」という声をよく聞きます。確かに入ってくるお金が多ければ、できることが増えますよね。では、年収1000万円以上になったら、本当に幸せを感じるものなのでしょうか。

“幸せ”といっても、さまざま要素がありますので、ここでは「年収別の家計運営に関するデータ」を見ながら、年収と幸せの関係について探ってみたいと思います。

■年収1000万円以上でも「家計にゆとりがある」のは4人に1人
日々生活していくうえで、“家計にゆとりがあるかどうか”は、幸せを感じる要素の一つだと思います。毎月カツカツでアップアップ。お金を使いすぎて余裕がない状態だと、心にも余裕がなくなってしまいます。「年収1000万円以上なら、家計にも心にも、さぞかしゆとりがあるだろう」と感じるかもしれません。

そこで、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」(2020年)の「生活設計策定の有無、家計全体のバランス評価、家計運営の評価」より、年収別に「家計運営の評価」を見てみましょう。

条件を揃えるために、ここでは“一人暮らしの人のデータ”を見てみましょう。年収別に、家計運営の4つの評価(思ったよりゆとりがある、思った通り、思ったより苦しい、意識していない)が、どんな割合になっているか、ぜひご覧ください(一部、筆者がデータを再計算して掲載しています)。

●年収300万円未満
思ったより、ゆとりのある家計運営ができた……5.0%
思ったような家計運営ができた……18.0%
思ったより、家計運営は苦しかった……38.0%
意識したことがない……39.0%

●年収300万〜500万円未満
思ったより、ゆとりのある家計運営ができた……9.6%
思ったような家計運営ができた……28.0%
思ったより、家計運営は苦しかった……27.7%
意識したことがない……34.7%

●年収500万〜750万円未満
思ったより、ゆとりのある家計運営ができた……15.2%
思ったような家計運営ができた……36.2%
思ったより、家計運営は苦しかった……20.5%
意識したことがない……28.1%

●年収750万〜1000万円未満
思ったより、ゆとりのある家計運営ができた……8.3%
思ったような家計運営ができた……43.8%
思ったより、家計運営は苦しかった……10.4%
意識したことがない……37.5%

●年収1000万円以上
思ったより、ゆとりのある家計運営ができた……20.0%★
思ったような家計運営ができた……32.0%
思ったより、家計運営は苦しかった……8.0%★
意識したことがない……40.0%

確かに、年収が上がるにつれて「思ったより、ゆとりのある家計運営ができた」が比較的増えている印象があります。

ここで、★印をつけたところに注目してみましょう。

「年収1000万円以上」では、「思ったより、ゆとりのある家計運営ができた人」をよく見てみると、およそ5人に1人の割合と、意外と少ないのです。

また「年収1000万円以上」でも、「思ったより、家計運営は苦しかった」という割合が8%。他の年収の人に比べて割合が少ないとはいえ、1割近くの人が「苦しかった」と答えています。一人暮らしということで、例えば大きな教育費を負担している人は基本的にはいないでしょうし、「年収がそんなにあるのに?」と感じるかもしれません。

一人暮らしで年収1000万円以上でも、みんながみんな、心も家計もゆとりがあって幸せを感じているわけではないようです。

■「家計運営に満足している割合」は、年収500万円以上ではそれほど変わらない
では、「家計運営に満足している人」は、年収別にどれくらいいるのでしょうか。「思ったより、ゆとりのある家計運営ができた」+「思ったような家計運営ができた」の両者を足したものを「家計運営に満足している人」として、計算してみました(一部、筆者がデータを再計算して掲載しています)。

「家計運営に満足している人」
●年収300万円未満……23.0%
●年収300万〜500万円未満……37.6%
●年収500万〜750万円未満……51.4%★
●年収750万〜1000万円未満……52.1%★
●年収1000万円以上……52.0%★

年収750万〜1000万円未満の人は、52.1%と僅差ではありますが一番高い数値です(ちなみに昨年のデータでも、年収750万〜1000万円未満の人がトップでした)。年収1000万円以上の人(52.0%)と、年収500万〜750万円未満の人(51.4%)の人と数値がほとんど変わらず、むしろ年収1000万円以上の人の方が数値が低いくらいです。

“家計運営の満足度は、必ずしも年収に比例しない”ことがわかります。

■年収が増えると、出費がどんどん増えてしまうことに注意
今、年収1000万円以上の人も、新入社員時代からその年収だったという人は、ほぼいないでしょう。最初は少ない年収で、スキルアップやステップアップなどによって少しずつ年収が増えていったはずです。

ここで注意したいのが、入ってくるお金が増えると、それだけ出費が(いつの間にか)急激に増えてしまいがちだという点。

お給料が増えると「洋服やバッグ、身のまわりのものをランクアップしたい」「いい部屋に引っ越したい」「いい車を買いたい」などと、好みに合わせて出費が増えていくことはよくあります。

その勢いが身の丈を超えてエスカレートしていくと、「細かいことは気にせず、どんどんお金を使っちゃおう」「貯蓄がなくても、またお給料が入るからいいや」と、収入アップよりも急カーブで、出費が右肩上がりに増えてしまいがちなのです。

もちろん、がんばって稼いだ自分のお金。楽しみが増えていくことはうれしいもの。仕事が忙しくなれば1日の時間が貴重ですので、時間短縮のためにお金を使う機会も増えることでしょう。

でも、収入が増えた分、貯蓄も増えればいいのですが……貯蓄は以前と変わらず、出費ばかりがどんどん増えていく落とし穴に陥りがち。年収1000万円以上あっても収支がいつもカツカツ。自転車操業で貯蓄がまったくない……という方もいます。

いざというときに使える大きなお金がないと、年収が少なくて貯蓄が数百万円ある人よりも、心身の余裕がなくなってしまいますよね。

貯蓄が増えるにつれて、老後の心配度が減っているというデータがあります。年収も気になるかもしれませんが、心の安定にはある程度の“貯蓄”が大切だとわかります。貯蓄があるかどうかで、将来の自分ができることが、大きく変わりますから。

「年収が高くなれば、幸せになれそう……」というのは、実は幻想だったともいえます。「年収が高い人っていいな」と、うらやましく思っていても何も始まりません。日々自分のやるべきことにまい進しつつ、貯蓄が少ない人は「まずは貯蓄を始めてみること」で、幸せに一歩ずつ近づいていきませんか?

西山 美紀(マネーガイド)

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