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恋愛、子育て…人間関係が破たんする原因と対策

  • 2019年6月6日
  • All About

■信頼した相手との関係に執着してしまうのはなぜ?
恋人ができるとその人しか見えなくなり、2人だけの世界に執着していく。「私だけを見て」「すぐに会いたい」と強い要求を突きつけているうちに、相手から「重い」と言われ、別れを告げられてしまう……。

結婚すればパートナーとの関係に、子どもができればわが子との関係にのめりこみ、「この人さえいてくれれば」「この子さえいてくれれば」と執着していく。狭いカプセルのなかで家族を束縛していくうちに、いつしか家族の笑顔も健康度も失われていく……。

このように、恋愛や結婚生活、子育てなどを通じて特定の人間関係にはまりこんでしまうと、その執着力によって大切な人の自由を奪い、ついには関係を壊してしまうことが少なくありません。

こうして特定の人間関係に執着しがちになる人は、友だちや上司など、その他の関係においても、同じような付き合い方を繰り返している可能性があります。

たとえば、友だちができると「ずっと親友でいてね」と2人だけの友情にこだわる。信頼する上司ができると、その人を親のように慕い、どこまでもついていくと宣言する、といったパターンです。

しかし、特定の人間関係に執着しすぎると、その関係は閉塞的なものになり、不安定になります。

■満たされない思いを引きずっていませんか?
今回、冒頭でお伝えしたケースでは、「自己分化」への理解が重要なカギとなります。

自己分化とは、「情緒」と「知性」が分かれ、感情に巻き込まれずに物事を考えたり行動したりできる心の状態です。この「自己分化」とは、そもそも育ってきた原家族の影響から心理的に卒業し、自立的に行動できる状態を指します。

自己分化度の高い人は、親子関係による欲求不満や葛藤を引きずらずに成長しているため、自分らしく自分の人生を歩むことができるのです。

一方、自己分化度の低い人は、「親にもっと愛してもらいたかった」「自分を肯定してほしかった」など、原家族での満たされない思いを抱えたまま成長しているため、大人になっても満たされない思いが心の底でくすぶり続けています。

そうしたなかで信頼できる他者との出会いがあると、未消化な感情を相手に満たしてもらうことを求めすぎてしまうものです。

こうして、パートナーに「私だけを見て」「すぐに会いたい」と欲求をぶつけたり、子どもに「お前さえいてくれれば」と執着していくケースは、少なくないのです。

■愛情欲求を第三者にぶつけ、関係を壊してしまう背景
原家族との関係での欲求不満や葛藤を抱えたまま成長した人は、「親などいらない」と過剰に親を否定したり、原家族から距離を置くことにこだわっていることが少なくありません。

このように、原家族との接触や気持ちの交流を断とうとすることを「情緒的遮断」といいます。しかし、無理やり原家族から離れようとしても、そこで満たされなかった思いはそのまま心の中に残り、くすぶりつづけます。

そんな思いを抱えたなかで、信頼できるパートナーとの出会いがあったり、愛するわが子を授かったりすると、原家族に満たしてもらいたかった思いをパートナーや子どもにぶつけてしまうことがあります。

その感情は、子どもが親に向ける思いと同じような愛情欲求といえるものです。

■人間関係に潜む“家族の影響”に気づくことが解決の第一歩
こうした愛情欲求を受け続けたパートナーは、自己分化度の高い人ほど束縛感が強くなり、息苦しくなってしまいます。一方、相手の自己分化度も低い人であれば、2人だけの密着した関係に埋没し、健康的な精神的自立を阻害しあってしまうことが少なくありません。

また、その欲求をわが子にぶつけ続けると、子どもが親に気を使うようになり、子ども自身の素直な感情表現を妨げてしまいます。すると、子どもにも自分と同じような原家族の影響による不全感が生じ、その思いを第三者で満たそうとする連鎖を繰り返してしまうことがあります。

このように、特定の人間関係の中で執着と束縛が繰り返されている場合、自分の生きてきた歴史を振り返り、無自覚のうちにとっている人間関係のパターンを理解していく必要があります。

そして、親を否定したまま満たされない思いを抱えていないか、その思いを他者に満たしてもらおうとしていないか――こうした自分自身の心の軌跡を洞察し、自己理解を深めていくことです。

大切な人とのほどよい関係を保ちながら、自分らしく自立した人生を歩んでいくためには、こうした気づきのプロセスを踏むことが必要になるのです。

大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー)

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