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「太陽フレアの電磁波が心配です」実際のリスクと、頭痛などの予防法は?【脳科学者が解説】

  • 2024年6月22日
  • All About

太陽フレアによる電磁波の影響で、脳や体に害が出るのではないか、頭痛などの体調不良が起こりやすくなるのではないかと、心配な方がいるようです。わかりやすく解説します。
■Q. 太陽フレアによる電磁波は有害ですか? 頭痛などが心配です
Q. 「太陽フレアが、今後も頻繁に発生するそうです。電磁波の影響で頭痛などの体調不良が起こると聞いたのですが、脳や体に悪いのでしょうか? 有害だとしたら、どうやって気を付ければいいのかが知りたいです」

■A. 脳や体への影響はありません。不要な心配の方が、健康によくありません
今年2024年は太陽の表面で「太陽フレア」と呼ばれる大きな爆発が起きて、話題になっていますね。

5月にはその影響で、日本国内では珍しいオーロラが何度か観察され、感動的な自然現象を見ることができたと、喜びに沸いた地域もあるようです。

その一方で、太陽フレアが放出する電磁波が地球に到達すると、通信網などに障害をおよぼす恐れだけでなく、人体にも有害で、悪い影響があるのではないかと心配な方もいらっしゃるようです。

結論から申し上げると、脳や体への悪影響を心配する必要はありません。

私たちの地球に常に光を降り注いでくれている太陽は、常に内部で核融合反応を繰り返している巨大なエネルギーの塊です。そのエネルギーが溜まり過ぎたときに、爆発的に外部に放出する現象が「太陽フレア」です。

ものすごく簡単に言ってしまえば、私たち人間のオナラのような現象です。太陽も時々ガス抜きが必要なのです。小規模なものは毎日3回ほど、大規模なものでも数年毎に起きているので、そこまで特別なものではありません。

また「電磁波」というと、「体に悪い怖いもの」というイメージを持たれている方がいるようですが、それは誤解です。そもそも電磁波とは、電場と磁場の変化を伝える「波」の総称です。

波長によって呼び方が変わり、長波長側から、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線(あるいはガンマ線)などと呼ばれます。

レントゲン撮影に利用されている「X線」は頻繁に浴びない方がよいでしょうし、「紫外線」を強く浴びすぎると皮膚がんの原因になることなども指摘されていますが、これはその他の電磁波全般に当てはまることではありません。

「可視光線」は私たちが物を見るのに必要ですし、「電波」はラジオやテレビなどの通信にも利用されているとても便利なものです。家の中にある電気製品のすべてが電磁波を出しています。

さらに付け加えると、私たち生き物が活動するときには生体内電流を利用しているため、微弱な電磁波を自ら出しています。脳波や心電図が記録できるのもそのためです。

ですので、電磁波そのものが有害で怖いものと考えるのは間違いです。

2025年は、太陽フレアが近年で最も大規模になる「極大期」にあたるという点で警戒されていますが、電磁波が直接我々に降り注ぐわけではありません。

心配されているのは、通信などへの影響で、人体への影響ではありません。

太陽から放出された大量の電磁波が、地球の大気上層にある「電離圏」に影響を与えて不規則な乱れが起こると、衛星を利用した通信などに障害が引き起こされるのではないかと心配されていますが、一方で、電磁波のうち短波長であるX線は、地球を取り巻く分厚い大気の層で吸収され、地上にいる私たちには届きません。

脳が悪影響を受けるなどということは考えられないのです。

ただ、宇宙で起こる現象に対して「100%絶対」は言い切れない、という考えもあるかと思いますので、万が一にも、脳に悪影響があるような強力な電磁波が地上に降り注いだ場合はどうなるか考えてみましょう。

そのときはおそらく人間だけではなく、すべての動植物が害を被り、場合によっては生態系だけではなく地球そのものが滅びるかもしれませんね。

もしも本当にそんなことが起こったとしたら、それはもう宇宙の成り行きなので仕方ないのではないでしょうか。現在の人間の力でどうにかできるものではありません。

情報過多の現代は、とかく不必要な不安を扇動されがちです。知らなければ気にせず幸せに過ごせているようなことでも、余計な情報のせいで心配ばかりつのって楽しく過ごせないこともあります。

太陽フレアや電磁波の影響よりも、「過度に心配する」ことの方がよっぽど脳にはよくありません。「余計なことは考えすぎない」のが、頭痛対策や日々の健康には一番です。

▼阿部 和穂プロフィール薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。

阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)

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