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ビフィズス菌に認知機能改善効果も【第3回日本抗加齢協会フォーラム④】

  • 2019年1月13日
  • Aging Style

第3回日本抗加齢協会フォーラムで「食・腸内環境と健康長寿戦略」と題したセッションが行われ、機能性食品素材として玄米やビフィズス菌、大豆ペプチド、大麦βグルカンが取り上げられた。座長はアジア太平洋臨床栄養学会の渡邊昌会長と大阪大学医学系研究科の中神啓徳准教授。

座長の渡邊氏が自らが登壇した「菌との共生」と題したセッションでは、腸脳相関からさらに一歩進んだ「microbiome-gut-brain axis」という概念が示された。近年、次世代シーケンサー等の遺伝子解析技術の革新的な進歩によって、腸内環境の研究が飛躍的に進歩し、腸が「第二の脳」と呼ばれる独自の神経ネットワークを持っていることや、腸の状態が脳の機能に直接影響を及ぼす「腸脳相関」などがわかってきた。さらに、今までは、消化管と中枢神経系の間で起こる生化学的なシグナル伝達であると考えられていた「腸脳相関」が、腸内細菌やそれらが産出する酢酸、酪酸などの代謝物も複雑に関係することもわかってきており、新しく「microbiome-gut-brain axis」と定義づけられたとのこと。しかし渡邊氏は、「これらの研究は未知の部分も多く、さらなる研究が求められる」とも述べた。

良い腸内環境は良い免疫につながっており、悪さをする菌が腸内にいても、腸内環境が良ければ腸内細菌同士の牽制で病原菌が繁殖できず、例えば同じものを食べても"食中毒になる人とならない人が出る"といったことが起こる。良い腸内環境を保つためには、腸内細菌の餌となる食物繊維などを多くとることが大事で、特に野菜は重要。また、玄米食は多くの酪酸産生菌の増殖を促し、良好な腸内細菌の維持に役立っている。渡邊氏はこういった米類の機能性に注目し、「Medical rice」の普及も行っている。

「ビフィズス菌と健康長寿戦略」と題した講演では、森永乳業株式会社 研究本部 基礎研究所腸内フローラ研究グループの小田巻俊孝氏が、腸内環境改善で有名なビフィズス菌の一種A1菌が、認知機能の改善にも効果があることを試験結果とともに報告。さらに、このビフィズス菌が母子だけでなく家族全員でも共有されることに注目し、浴槽の湯の中でビフィズス菌が生きていたことが確認できていることから、可能性のひとつとしてお風呂での共有もあり得るとの見解も示した。

「大麦と健康長寿戦略『大麦摂取による耐糖能変動ならびに腸内環境変動の評価試験』を中心に」と題して講演した株式会社はくばく 市場戦略本部 開発部の神宮寺謙二氏は、大麦の食物繊維は、水溶性と不溶性の相互作用によって、排便がスムースになる可能性に言及。さらに福島で行った2型糖尿病の男性109人を対象としたコホート研究では、麦ごはん30%の長期摂取によって、空腹時の血漿グルコースおよびHbA1cレベルが大幅に低下、さらに、インスリン治療を受けていた18人中5人、経口血糖降下薬治療を受けていた34人中17人が治療を中止できたとのことで、高食物繊維食が2型糖尿病の改善に有効である可能性があるとした。また、現在、大麦摂取による長期コホート研究を、はくばくの社員を対象に行っており、2年後に報告できる予定とのことだ。

「大豆により健康長寿を」と題して講演したのは不二製油グループ本社株式会社の河野光登氏。この中で、河野氏は「筋肉を維持するには、筋肉の合成と分解のバランスが大切。ちなみに、動物性たんぱく質は合成を促進するが、大豆たんぱく質は分解を抑制することがわかっている」と述べ、「動物性たんぱく質は吸収が非常に早く、BCAA(アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシン)が素早く血中に取り込まれて筋肉まで運ばれる。アスリートにとってはそれでいいが、普通の人にとっては早すぎて筋肉の合成が追い付かない」と解説。最近は、プロテインをブレンドして、分解と合成のタイミングにあわせた摂取によって効果的に筋肉をつけていこうということが言われだしてきており、分解を抑制する大豆たんぱく質を上手に使う事で、より効果的に筋肉を保持できる可能性があるとした。

さらに、会場の質問に答える形で「筋力と筋肉量は違う。ちなみに、自分たちの研究では大豆たんぱく質の方が、動物性たんぱく質に比べて筋力をつける結果となっている。特に、フレイル・ロコモ対策では、分解抑制に重点を置くという意味では、大豆たんぱく質の方が合っているのではないかと思う」と述べた。

セッションを通じて、食品素材の機能性研究が日進月歩で進んでいる現状が浮き彫りになり、常に情報のブラッシュアップが必要であることが改めて確認できた貴重な機会となった。(2018年12月15日、日本抗加齢協会フォーラム「食・腸内環境と健康長寿戦略」より/ 取材/文 継田治生)

医師・専門家が監修「Aging Style」

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