A: 「いぶき」は、日本が打ち上げた世界初の温室効果ガス観測技術衛星だ。搭載されたセンサーにより、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)とメタンの濃度を宇宙から観測することができる。CO2などの温室効果ガスの吸収・排出量は、地上でも観測することは可能だ。しかし、数千km 四方に及ぶ亜大陸スケールでの吸収・排出量の推定精度を高めるためには、地域ごとの吸収・排出量の状況や、森林吸収源の動向などを把握することが必要となる。「いぶき」が宇宙から地球を観測・収集するデータを利用すれば、温室効果ガスの地球全体における分布や時間的な変動はもちろん、地球全体における炭素循環のメカニズムなどに関する新たな科学的知見が得られると期待されている。また、CO2とメタンがどの地域でどれだけ排出され、吸収されているかもわかるようになり、地球温暖化対策を立てる上で重要なデータとなる。
A: 環境省などは2014年12月、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)が観測した、大都市などにおけるCO2データの解析結果を公表した。それによると、人為起源CO2による排出の影響を受けている観測点の多くが北半球に集中しており、世界の大都市などでCO2濃度が周辺の地域よりも高い傾向が見られた。これにより、「いぶき」が大都市などにおける化石燃料の消費によるCO2濃度の上昇をとらえている可能性が高いことがわかった。