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「渡り鳥条約」 詳細解説

読み:
わたりどりじょうやく
英名:
Conventions and Agreements for Protection of Migratory Birds

山野や水辺など自然の中で生息する野鳥のうち、繁殖地とそれ以外の地域との間を毎年定期的に往復する鳥のことを、渡り鳥という。渡り鳥は、ハクチョウを含むガンカモ類など冬に日本へ渡ってくる冬鳥と、ツバメやカッコウなど夏に渡ってくる夏鳥、シギやチドリのように一時的に滞在する旅鳥に分けられる。複数の地域間を移動する渡り鳥の中には絶滅危惧種も多く、調査や保護を進める上で関係する国同士の協力と連携が欠かせない。このため、いくつかの渡り鳥条約が結ばれている。

日本と米国との間では、1974年に「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」(日米渡り鳥等保護条約)が発効している。また、日本とロシアとの間では、1988年の旧ソ連時代に「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境の保護に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約」(日ロ渡り鳥等保護条約)が発効している。いずれも、渡り鳥の捕獲禁止、絶滅のおそれのある鳥類の輸出入に対する規制、共同研究計画の作成などについて定めている。

2013年12月に第7回日米渡り鳥等保護条約会議、第9回日ロ渡り鳥等保護・研究会議、日米ロ三カ国非公式会合が東京で開催された。日米両国によるアホウドリに関する共同研究の成果や、野鳥における高病原性鳥インフルエンザの調査システム、ロシアから日本へ渡ってくるガンカモ類の状況などが報告された。また、風力発電施設をはじめとする再生エネルギーと渡り鳥の関係や、ハクガンの個体数管理などが議題となった。

条約以外にも、日本と豪州との間で1981年に「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定」(日豪渡り鳥保護協定)が発効している。また、日本と中国との間で1981年に「渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国との間の協定」(日中渡り鳥保護協定)が発効している。日本と韓国との間では渡り鳥に関する条約や協約は締結されていないが、日韓環境保護協力協定に基づく「日韓渡り鳥保護協力会合」が開催されている。

2006年には日本と豪州環境省の主導により、「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」(EAAFP)が発足した。各国政府、国際機関、NGOなど20を超える主体で構成され、東アジア及び豪州地域において渡り鳥とその生息地を保全する国際的な取り組みを推進する。渡り鳥の重要生息地ネットワークの構築と普及啓発、保全活動を行っている。一方、渡り鳥を含めた移動性野生動物の保護を目的とする条約として、1979年の「移動性野生動物の保全に関する条約」(ボン条約)があるが、日本は加盟していない。

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