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「LRT(ライトレールトランジット)」 詳細解説

読み:
ライトレールトランジット
英名:
Light Rail Transit

路面電車は、都市の道路上に敷いたレールの上を走る電車だ。19世紀末に馬車に代わる交通機関として米国で考案され、世界各地で利用されるようになった。日本では、1895年(明治28年)に京都で初めて運行されたのを機に普及が進み、昭和7年には全国65都市・82事業者が路面電車を運行し、路線の総延長は1479kmに達した。しかし、第二次世界大戦後の高度経済成長期を迎えると、モータリゼーションの進展やバスや地下鉄への転換に伴って、路面電車は相次いで廃止された。2010年現在で17都市・19事業者が存在し、路線延長は約205kmとなっている。

こうした中、都市づくりや環境保全の観点から、路面電車を見直す動きが盛んになっている。交通の機軸を担う自動車を路面電車へ転換することで、道路交通の円滑化や、環境負荷の低減などの効果が期待されるためだ。また、構造上、低床式車両の導入や停留所の段差解消などが容易で、高齢社会に対応したバリアフリー化を図ることが可能となる。これに加えて、既存の鉄道・地下鉄網やバス路線との乗り入れ、乗り換えを進めることで、公共車両優先システムの充実にもつながる。このような次世代型の路面電車システムを、ライトレールトランジット、略してLRTと呼ぶ。

LRTは、とくに欧州で環境にやさしい交通手段として高く評価されている。ドイツ、オランダ、フランス、スイスなど多くの国でLRTは市民の足として利用されている。日本では、2006年に富山市で富山ライトレールが、国内初の本格的なLRT運行会社として開業した。市内を走るLRTの「ポートラム」は、全低床車両の上、騒音・振動が少なく、車両だけでなくホームにも乗り換えを楽にする工夫が凝らされている。

宇都宮市や横浜市も、LRTの導入に向けた検討を行っている。また、既存の路面電車をLRT化しようという取り組みもある。豊橋市では、市内を走る路面電車をバリアフリー仕様に改修したり、最新車両を導入したりしている。路面電車のLRT化に力を入れる都市の市長が集まる、「LRT都市サミット」も開催されている。

2012年施行の都市低炭素化促進法では、公共交通機関の利用促進を図るため、LRTなどの公共交通機関を整備する主体に対して、鉄道事業法の特例を適用する規定が設けられた。

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