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「ファストフィッシュ」 詳細解説

読み:
ふぁすとふぃっしゅ
英名:
Fast Fish

近年、国民の魚離れが進んでいるという指摘が、関係する業界や行政、専門家などからある。消費者の食に関する好みが多様化し、貿易の進展などによって食料品の選択肢が増えたことが大きな原因とみなされている。魚を食べる時に骨などを取るのが面倒という人や、魚の調理の仕方がわからない人が増えたことも理由のひとつだ。しかし、周囲を海に囲まれた島国の日本は水産物に恵まれており、魚などの水産物を食べないのはもったいない。水産庁はこうした観点に立ち、消費者に水産物や魚製品を売り込んでいくための「魚の国のしあわせ」プロジェクトを、2012年に開始した。その柱といえる政策が「ファストフィッシュ」だ。

同プロジェクトは、魚にかかわっているあらゆる主体が一体となって、魚の消費拡大を推進することを目的としている。ファストフィッシュは、魚などの水産物を手軽に、気軽においしく食べられるように工夫した商品や食べ方のことだ。食についても利便性や簡便性を求める消費者のニーズにこたえて、商品の選択肢拡大に取り組む。このような考え方に基づき、同庁は2012年8月からファストフィッシュ商品の公募を行っている。第1回目の選定では58事業、第2回目では86事業を選定した。選ばれた商品にはロゴマークを表示することができるほか、同庁のホームページで公表される。

選ばれた商品をみると、ほぼすべてが加熱調理済で、トレーのまま電子レンジで温めるだけで食べられるものや、沸騰したお湯で湯せんするだけのレトルトパウチ、フライパンで焼くだけの魚、おやつにもなる練り物などさまざまだ。大手スーパーのイオンでは、ファストフィッシュ商品の販売に力を入れている。魚の調理方法がわからない人や骨を取るのが億劫という人向けに、火を通すだけですぐに食べられる点が売り物だ。同社のほかにも、多くのスーパーや販売店がファストフィッシュ商品を取り扱っている。

メニューや商品だけでなく、売り場やイベント、食育などに関する提案も多い。愛知県で水産加工会社の活性化支援事業に取り組むNPOは、伊勢・三河湾でとれる魚介類の消費を拡大するため、料理教室やサイエンス・ランチなどを行っている。また、大阪府の中央卸売市場では、事業提携している大学で魚料理のレシピを作製したり、小学生を対象にした市場見学会を行ったりするなど、魚をはじめとする生鮮食料品の消費拡大につながる取り組みを展開している。

ファストフィッシュは、地産地消を推進するための取り組みとしても注目されており、長崎県のように地元の水産加工品を積極的に広報している地方自治体もある。

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