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「6次産業化」 詳細解説

読み:
ろくじさんぎょうか
英名:
Sixth Industry

農林漁業などの1次産業と、製造や加工を行う2次産業、小売や流通業などの3次産業を総合的かつ一体的に推進していくことで、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取り組みのことを、6次産業化という。6次産業化の概念を提唱したのは、東京大学名誉教授の今村奈良臣氏だ。わが国では、農業や林業、水産業、畜産業など主に自然の恵みを生かして生産する1次産業が衰退する一方で、サービス業などの3次産業が成長を続けている。こうした流れの方向性を代えて、1次産業の活力を取り戻すには、3つの産業を融合して、地域資源を活用した新ビジネスを創出することが必要であるという理念に基づき、6次産業化を目指す動きが20世紀末から本格化した。

当初、今村教授は「1次+2次+3次=6次産業」と考えていたが、3つの産業の有機的な連携が必要であるという認識から、足し算ではなく掛け算であると説明するようになったという。6次産業化は、2010年12月に「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」、通称「6次産業化法」が成立して、にわかに注目されるようになった。6次産業化法は、農林漁業者などによる地域資源を活用した新事業の創出や、地産地消の促進に関する施策を推進することによって、農林漁業の振興を図り、食料自給率向上に役立てることを目的としている。

6次産業化法に基づき、農林漁業者が農林水産物やバイオマスの生産、加工、販売を一体的に行う事業計画が「総合化事業計画」に認定されると、農業改良資金融通法に基づく償還期限や据置期間の延長などの特例を受けることが可能になる。全国で認定された事業計画の数は、2012年2月の時点で698件に上る。また、地産地消を促進するために、国による基本方針の策定や都道府県・市町村による農林水産物の利用促進計画の策定に関する規定もある。

6次産業化には、農林漁業者が生産、加工、流通・販売を一体的に行う取り組みと、農林漁業者が2次及び3次産業と連携して地域ビジネスの振興や新産業の創出につなげていく取り組みがある。農林水産省がまとめた先進事例集には、地元でとれたそば粉を生産地で加工して直売所やレストランで提供したり、自家製の飼料で育てた牛の肉を使った手づくりソーセージを自ら販売したりするなど、地域色豊かな事業が数多く紹介されている。また、北海道から九州まで全国各地に、6次産業化を進めるための地方ブロックがある。

2012年度予算の成立により、6次産業化に取り組む農林漁業者を支援する「農林漁業成長産業化ファンド」が創設されることとなった。また、新たな事業分野に進出する農林漁業者を支援する6次産業総合推進事業と、農林水産物の加工・販売施設などの整備を促進する6次産業化推進整備事業も動き出した。

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