サイト内
ウェブ

「TPP(環太平洋戦略経済連携協定)」 詳細解説

読み:
てぃーぴーぴーかんたいへいようせんりゃくけいざいれんけいきょうてい
英名:
Trans-Pacific Partnership

国同士、または地域同士での自由貿易協定としては、EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)が有名だ。輸出入を行う際にはWTO(世界貿易機関)で決められた関税を各国が支払う必要があるが、EPAを結ぶと国や地域同士で輸出入にかかる関税を撤廃したり削減したりして、通常の取引よりも低い関税率を適用することができる。また、FTAは国や地域同士で主にサービス業や物流に関する規制を撤廃する協定で、EPAより対象が狭い。現在、日本をはじめとして多くの国や地域がEPAなどを結んでいる。

一方、経済や貿易をめぐる国際関係は流通やサービス業だけでなく、知的財産権や投資、旅行など多くの分野にまたがっており、より広域での経済連携を模索する動きが活発化している。そのひとつが2006年に発効したTPP(環太平洋戦略経済連携協定)だ。TPPは当初、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリの4カ国による「P4」と呼ばれる経済連携協定として始まった。その後、米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加し、2010年3月から本格的な政府間交渉が開始された。

TPP交渉の参加国は原則として、2015年までに貿易額と品目数の双方で関税を100%撤廃することになっている。対象分野は、市場アクセス(市場への参入機会や条件)、工業製品、農業、環境、繊維、原産地規則、投資、サービス、金融・税関協力、通信・電子商取引、政府調達・競争、知的財産権、労働、キャパシテイビルデイング(能力構築)、救済措置TBT(貿易の技術的な障害)、SPS(衛生植物検疫)など幅広い。TPP交渉の場では、これらの分野のそれぞれについてワーキンググループが設置されて話し合いが進められる。

TPPには、APECが貿易・投資の自由化の象徴として構築を目指す、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)構想の核としての期待が寄せられている。米国がTPPへの全面的な参加を決めたのも、将来的なFTAAP実現の布石ととらえたことが大きい。2010年時点でのTPP交渉参加国の日本との貿易に占める比率は、輸出で日本の輸出総額(7700億ドル)の24.9%、輸入で同じく輸入総額(6943億ドル)の24.3%に及ぶ。一方、TPPの交渉に参加している国の平均関税率は、シンガポールが0%(ビールと薬用酒のみに課税)、米国が3.5%、ベトナムが9.8%とさまざまだ。

日本では、TPP交渉への参加をめぐって2010年と2011年に国内世論を二分する大論争が相次いで起きた。輸出産業などが大枠でTPP交渉への参加に賛成しているのに対して、農林漁業などは「安い農産物などが海外から流れ込んでくれば国内産業が大きな打撃を受ける」として強硬に反対した。政府は明確な姿勢を打ち出せない状態が続いていたが、2011年11月のAPEC会合で、交渉参加に向けた協議を開始すると表明した。また、すでに参加している9カ国はTPPについて大枠での合意を得た。さらに、カナダとメキシコも参加を表明した。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。