A: 沖縄県宜野湾市にある米軍の普天間飛行場では、住宅地の上空でヘリなどの軍用機が朝から晩まで飛行訓練を行い、騒音による被害を引き起こしている。同市の資料によると、1996年に開かれた沖縄に関する特別行動委員会(SACO)による返還期限だった2003年までに、米軍機の飛行回数は1.5倍に増加した。軍用機の飛行時に発生する騒音は100db(デシベル)近くになることもあり、市民は「夜中なのに米軍機がうるさい」「子どもがミルクを飲まず寝つかない」といった被害を受け、墜落への不安と隣り合わせで生活している(注:航空機騒音の単位として一般的にはdbではなく「WECPNL」が用いられる)。一方、騒音の発生件数は米軍ヘリの墜落事故が起きた2004年にいったんは減ったものの、2008年現在で年間2万回を超える騒音が発生している。沖縄県も航空機騒音測定結果の中で、「周辺地域住民の生活環境に対し大きな影響を与えている」と指摘しており、早急な対策の強化が必要だ。
A: 沖縄県にある米軍の普天間・嘉手納両飛行場における米軍機による騒音被害を軽減するため、1996年に日米合同委員会は「航空機騒音規制措置(騒音防止協定)」を合意した。同協定には、飛行場への進入・出発にあたり学校や病院など人口密集地域の上空を避けることや、超音速飛行の禁止、深夜・早朝や日曜日などの飛行の原則禁止―などの定めがある。しかし、住民から地元の宜野湾市へ寄せられる苦情は年々増加しており、騒音の被害は軽減されていない。一方、住民が飛行場司令官を相手に起こした「普天間爆音訴訟」では、裁判所が騒音の違法性を認めて国に賠償を命じたが、飛行差し止めの請求は棄却されたため原告側の住民が控訴。2010年7月に言い渡される控訴審判決に注目が集まっている。