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「工場立地法」 詳細解説

読み:
こうじょうりっちほう
英名:
Factory Location Act

工場立地法は、工場が周辺の環境との調和を図りつつ適正に立地されるために、工場敷地面積に対する生産施設の面積率、緑地の面積率、環境施設の面積率の基準を、製造業などの業種区分に応じて定めた法律だ。具体的には、敷地面積9000m2以上、または建築面積3000m2以上、業種では製造業、電気・ガス・熱供給業(水力、地熱発電所は除く)の工場が対象である。これらを新設または増設する際に、工場が設置されている市町村へ事前に届け出ることを義務づけている。

同法に基づく「工場立地に関する準則」では、主に次のことを定めている。1) 生産施設面積の敷地面積に対する割合は業種により15%から40%以下で、これを超えて生産施設を増設することはできない(法施行日以前から立地している企業に関する特例措置あり)。2) 緑地面積の敷地面積に対する割合は20%以上。3) 環境施設面積(噴水、屋外運動場、広場などの施設と緑地面積を合わせた面積)の敷地面積に対する割合は25%以上とし、そのうち15%以上は敷地の周辺部に配置すること。

工場立地法は、1959年に制定された「工場立地の調査等に関する法律」を前身としている。当初の目的は、工場立地に関する方針の確立と、そのための工場適地に関する全国的な調査の実施だった。しかし、高度経済成長に伴う公害問題の深刻化を受けて、工場の周辺住民や立地予定地域の住民に心理的な不安が増加し、四日市公害裁判などの公害訴訟の影響もあって、工場立地に対する反対運動が各地で起きた。こうした社会状況を受けて、1973年に同法が改正され、名称も現在の工場立地法となった。改正法では、規制事項に関する進出企業の届出を義務化し、届出内容に対する勧告や、勧告に従わない場合の命令などに関する規定が設けられた。

その後、1997年の改正で、全国一律だった緑地面積率等の基準に代わり、都道府県などが条例によって、緑地や環境施設の敷地面積に対する割合を一定の範囲で強化、緩和できる「地域準則」が導入された。また、特別配置施設に関する規制を廃止し、公害物質排出量の低減を勘案して生産施設面積率の業種区分を見直した。さらに、工場集合地について工業団地に類似した特例制度を導入したほか、一定の緑地整備を条件として既存工場の立て替えを促進する制度を導入した。こうした規制により、国内の工場における緑地や環境施設が増加した。

一方、国の規制改革の動きに関連して、工場立地法に関する提案、要望が各所から出た。具体的には、同法に基づく緑地・環境施設面積率の緩和や、地域準則によって都道府県等の条例で制定できる面積率の範囲の拡大、緑地・環境施設の定義の拡大、生産施設面積率に関する業種区分の見直しなどだ。また、地域準則の導入も進んでいなかったため、2004年3月に工場立地法施行規則と工場立地に関する準則、緑地面積率等に関する区域の区分ごとの基準などの関連規定が改正された。なお、工場立地法のあり方について審議を行っている経済産業省の産業構造審議会工場立地法検討小委員会は、2006年にまとめた「今後の工場立地法のあり方に関する主な論点」の中で、面積規制を主体とする現行制度の枠組みのあり方について検討を加えるべきであると指摘している。

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