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「コーズマーケティング」 詳細解説

読み:
こーずまーけてぃんぐ
英名:
Cause Related Marketing

環境対策や、少子高齢化などの福祉、都市化、貧困など、私たちの社会は多くの課題を抱えており、その原因や求められる対応はさまざまだ。これらの社会的な課題を、企業などが事業を行いながら解決しようという取り組みが「ソーシャルビジネス」で、日本でも着実に広がりつつある。ソーシャルビジネスの一環として、企業が社会に貢献し得る方法で商品やサービスを提供するマーケティング手法が、欧米を中心に注目されている。このような仕組みを「コーズ・リレーテッド・マーケティング」といい、「コーズマーケティング」とも呼ばれる。略称は、英名の頭文字を取った「CRM」だ。「コーズ」(cause)とは、「原因」や「目的」「大義」などを表す英語だが、専門家によると、CRMにおけるコーズは「支援が必要な対象」を指す。

社会的な課題を解決するには、そのための活動経費や資材費などの資金調達が不可欠だ。しかし、関心をもつ人が少なかったり、行政が予算を確保できなかったりすると、課題は解決されないままになってしまう。かといってNPOなど市民の力だけで、その資金を集めるのは難しい。一方、社会で大きな影響力をもつ企業が、自社の事業を社会貢献に結びつくかたちで行うことができれば、事業収益の確保と課題解決を両立することも夢ではない。また、消費者は自分の生活に必要な商品を購入したりサービスを利用したりすればよく、目的のために自腹を切る必要はない。この点でCRMは、単なる寄付と一線を画する。

CRMは、このような発想をもとに1980年代前半の米国で誕生した。クレジットカード大手のアメリカン・エキスプレスが、サンフランシスコ地区における芸術振興というコーズに対して、カードが使用されるごとに2セントを寄付するというキャンペーンを実施。これを「コーズ・リレーテッド・マーケティング」と呼んだ。同社はその後、自由の女神像の修繕費用を集めるのにこの手法を応用し、約170万ドルの資金を得るとともに、カード利用額を大幅に上昇させることに成功した。その後、CSRCSV(Creating Shared Value)の広がりとあいまって、多くの企業が同様のCRMを仕掛けてきた。

日本では、1960年代に始まったベルマーク運動を、CRMの先駆けのひとつであると指摘されることがある。協賛会社の商品に付いているベルマークを集めてベルマーク教育助成財団へ送ると、点数に応じた金額がベルマーク預金として蓄積される。その預金を使って学校に必要な教材や設備を協力会社から購入することで、購入金額の1割が財団による教育援助活動に生かされる。全国のPTAと企業、そして銀行の協力を受けたこの仕組みは、まさに「ちりも積もれば山となる」を地で行くCRMの好例といえよう。

ほかにも、大手スーパーのイオンが、旧ジャスコ時代から行っている「幸せの黄色いレシートキャンペーン」や、企業の本業に貢献する寄付付き商品を赤い羽根共同募金が紹介する「募金の百貨店」など、さまざまな試みがある。(一社)京都ソーシャルビジネス・ネットワークのように、CRMを含めたソーシャルビジネスの普及に力を入れる団体もある。

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