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「グリーン・ウォッシュ」 詳細解説

読み:
ぐりーんうぉっしゅ
英名:
Greenwash

環境問題に対する認識や関心の高まりを受けて、企業による環境や社会的な問題への取り組みが盛んになっている。多くの企業が、CSRフィランソロピーに力を入れるだけでなく、環境に配慮した商品やサービスを提供し、そのことを表示したり宣伝したりしている。しかし、そのような商品やサービスの中には、どこが環境に配慮しているのかが消費者から見てわかりにくいものや、過度な表現を使用している広告などが少なくない。このように、環境への配慮が不十分であるにもかかわらず取り組んでいるように見せかけたり、実態よりも誇張した表現をしたりする行為を「グリーン・ウォッシュ」と呼ぶ。

この言葉は、英語で欠点や過失を隠す「ごまかし」を表す「ホワイト・ウォッシュ」と、環境を意味するグリーンを組み合わせた造語だ。欧米では1980年代から、企業や産業界による見せかけの環境活動を批判する用語として、環境活動家などが用いていたといわれている。最大の問題は、消費者が商品やサービスを選んだり、国や地方自治体がグリーン購入グリーン調達を行ったりする際の基準となる、企業のグリーン度自体の信頼性を揺るがす行為である点だ。

グリーン・ウォッシュの種類としては、さまざまなものが想定される。まず、環境や人の健康に影響がある物質を使用しているにもかかわらず、それを隠している例。また、商品に特定の環境性能がないにもかかわらずあるように表示したり、根拠もなく環境保全や省エネ性能の高さをうたったりする例もある。環境省の検討委員会は2013年3月に公表した環境経営に関する報告書の中で、グリーン・ウォッシュと指摘された事例とその後の対応を紹介している。

それによると、自然林を伐採していた企業が環境広告を出していた件では、環境団体の指摘や声明を受けてその企業が伐採をやめるとともに、さらなる環境活動の実施を誓約した。また、洗剤に用いられるパーム油に関しては、メーカーが「環境にやさしい」と宣伝する根拠などをめぐり、環境団体などとの間で議論が巻き起こり、不買運動にまでつながった。その結果、今では多くのメーカーが持続可能なパーム油の調達に取り組むようになり、生産現場と広報内容が一致しつつある。このように、グリーン・ウォッシュを指摘、告発することは、企業活動の改善につながる場合が少なくない。

日本では、大手広告代理店の電通が、2010年に社内向けのガイドブックを作成した。環境広告の増加に伴い、行き過ぎた表現や誤った情報発信まで行われるようになると、消費者をミスリードしてしまうという危険性があるという危機意識に基づく取り組みだ。一方、環境ではなく企業などが人道主義の見せかけを行うことを、「ブルー・ウォッシュ」と呼ぶ論者もいる。対外的には労働者の人権に配慮しているとうたっているにもかかわらず、生産過程で不当労働行為や人権侵害などを行っている例などがこれにあたる。

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